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愛を教えてくれた人

妹も生まれて家族らしくなった頃、食事中父の膝にも乗ってみたりした。

酒の肴が美味そうで分けてもらう為だが。

それでも父は少し嬉しそうにしてた。

お酒が入るとわずかに人間味が出るのだ。

おっちゃんみたいに無条件ではない。

顔色と状況を見ながら甘えないと、すぐ心を閉じてしまう。

結婚後、夫は志保の父母の愛の無さに驚いていた。

だって銀行融資が子持ちしかダメだったからだし、母は結婚できないと恥ずかしいから結婚しただけだ。

恥をかくのが何より嫌なのだ。

そんな2人に何を求めるのか?

が、志保がさほどダメージ受けてないのをまた驚いていた。

それは…5歳の時のあの体験があるからだ。

銀色の自転車でおっちゃんは、そこら中に志保を自慢する。

恥ずかしいくらいに「わしの娘や!可愛いやろ!」と。

関西弁がいつまでも話せるのは、あの時間が大事で愛おしいからだ。

組対へ行きたいのは、おっちゃんみたいなヒットマンを生まないためだ。

「ワシはアホやからなあ〜組織では生きれん。

殺ししか、ワシには出来んのや。」断片的な言葉の端々からおっちゃんの誰にも吐けない苦しみを聞いた気がする。


「目黒さん、今度飲みに行きませんか?」避けられまくる目黒さんを何とか捕まえた。

「旦那さんが家で待ってるだろ?俺なんかと飲む暇無いだろ?」と遠慮する。

「ちょっと〜バディの自覚あります?」志保が怒る。

「もう外回りは出来ないしなあ〜バディじゃなくなると思うぞ。」目黒さんが力なく笑う。

勤務で病気になったので警察を辞める必要はない。

だが、もう刑事課は外されるかもしれない、次の人事で。

刑事になりたくて警官になったのに。

結婚も消え、刑事でもなくなる…

やっぱり目黒さんはそう考えてる!

ダメだ!発想の転換が必要だ!

「目黒さんは、刑事課で1番話しやすい先輩です!

人が話しやすい、話したくなる先輩ってスゴい事じゃないですか?」志保は必死で目黒の心に言葉を届かそうともがく。

でも、目黒の瞳は暗く沈んだままだ。


無力を感じる。

私はおっちゃんに助けられたのに、私は誰も救えない。

私の言葉は届かない。

「生きるのは戦いだ。」とアニメのセリフを思い出す。

この人生(デスゲーム)で、何人見送れば良いんだろう?

不死身の杉元にもモデルの人物がいる。昨日渋谷のスクランブルで盛田書店の看板を見た。

この盛田さんが杉元のモデルだ。

戦場で仲間の死を見続けた人だ。

戦後、ここで書店を営みながら戦地へ行って仲間の骨を探して家族に届ける活動をずっとし続けた人だ。

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