(ジェイ×ミチル)「汗は終わらない」
とても長い時間眠っていた気がする。
熱くて寒くて、とても疲れた。
だけど今はふわふわしてて、気持ちがいい。
「……ふあ」
眠りから覚めたミチルは目を開けた。
風邪で高熱が出てしまい、ずっと寝ていたのだ。
頭はスッキリしていた。きっと熱が下がったに違いない。
「ああ、ミチル。目が覚めたのか」
目の前には、ほっと安堵したような顔のジェイ。
すごく懐かしいような気持ちだ。ミチルはちょっとウルっと来たのを堪えて聞いた。
「ジェイ、ずっとついててくれたの?」
「もちろんだ。ミチルの汗を拭くのが、今の私の全て」
「……えへへ♡」
やだあ、嬉しい。愛されてるって実感するぅ。
ミチルは布団の中でもわかるくらいに、もぞもぞと恥じらった。
「顔周りにだいぶ汗をかいていた。きっと体も汗だくだろう。起きられるか?」
「ん……」
ジェイの手を借りて上体を起こす。ミチルの体にはパジャマがぺっとりと汗でひっついていた。
「うう……気持ち悪い」
ペタペタする体、はりつくシャツ。ミチルは思わず嫌悪を素直に表す。
「ミチル、こちらに着替えよう」
ジェイは洗い替えの清潔なシャツをミチルに差し出した。
「うん……今?」
「今だ」
「ここで……?」
「ここでだ」
……ジェイが見ているココで、シャツを脱ぐですって?
やだ、何それ、何のプレイ?
ミチルはまだ正常な判断が出来ないので、なんだかイヤンな妄想に支配されていた。
「新しいシャツを着る前に、かいた汗を拭こう」
大真面目でタオルを握るジェイ。
ミチルの体を拭く気マンマンである。
「え……っと……ぉ」
急にギシっと固まるミチルの体。
ジェイが、これからオレの体をタオルでさわさわするんですか!?
ごほうびですか、それともプレイですか?
「だ、だだだ、大丈夫よ、オ、オオオ、オレ、自分で出来るヨ……っ」
緊張でカチコチになってしまったミチルの呂律がおかしな事になっている。
だが、ジェイは譲らなかった。
「いいや、ミチル。背中などは一人で拭けないだろう?」
ど正論です!
ぽんこつのくせに、ど正論を吐きました!
「でも、でもでも、でも……へっくしっ!」
そんな問答をしているうちに、ミチルの体は容赦なく冷えていく。
もう一度熱が出たら目も当てられない。
「ああ、大変だ。すぐ脱がなくては」
言いながらジェイはもう強制執行。
ミチルのシャツを容赦なく剥いだ!
「きゃあああ!」
そしてふわふわのタオルでさわさわ!
「ああーん!」
ああ……
すごく気持ちイイ……♡
最後にズボっと新しいシャツを着せて完了!
「はれっ、終わった……?」
あっという間に着替えさせられたミチルは、最後にジェイの温かい手のひらを額に感じる。
ふわりとジェイのいい匂いがした。
「ミチル、頑張ったな」
「えっ、えええー? 大袈裟だよぉ」
そんな子ども扱い、ちょっと照れちゃう。
だが、ジェイはミチルの頭を撫でて笑った。
「ミチルの風邪が治って、本当に良かった……」
「ジェイ……」
じーん……
ジェイの愛情と献身にミチルは大感動。
そうだよ、ジェイに邪な気持ちなんかあるはずない。
ただひたすらに真面目に、看病してくれただけなんだ。
正気じゃなかったとは言え、興奮しちゃったオレがイケナイ子ッ!
「ふう……」
しかし、最後にジェイは大きなため息を吐く。ミチルは不思議に思って聞いた。
「どうしたの、ジェイ?」
「いや、その……」
ジェイは急に頬を赤らめていた。
「さっきはミチルの看病で必死だったのだが、改めて思い出してしまって……」
「何を?」
「ミチルの肌の……さと、桃色の……と、しっとりした……が」
「ぴえええっ」
ジェイの思い出し〇〇が止まらないっ!
「汗の匂いが……で、私は思わず……が」
「きゃあああ!」
興奮させるような事言わないでえ!
その後、さらに大量の汗をかいたミチルは翌朝、大全快していた。
注射が効いたようだ……
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「くしゃみのラブラブSS集め」シーズン2はここまでです!
本編最終章
「異世界転移なんてしたくないのにくしゃみが止まらないっ!
Final Meets 舞い降りた愛、生命そそぐ絆」は、
2025年11月初旬より開始します。
ノンストップでほぼ毎日更新の予定です!
本編の公開までもう少しお待ちください♡




