(ルーク×ミチル)「繋がる赤い……」
【ファストフード店が出てくるので、多分、現代地球設定です】
手を繋いで歩く。
お互いの体温を感じながら、心まで繋がれる気がする。
「ねえ、ルーク。今日はどこ行く?」
目的を決めずに家を出て、手を繋いで会話をしながら今日の過ごし方を決める。
それが最近のミチルのお気に入り、スローライフというやつである。
「今日、とてもいい天気。公園行くの、どう?」
隣を歩くルークはちゃんと提案してくれる。
それが二人の未来をしっかり考えてくれているようで、ミチルの顔は嬉しさに綻んだ。
「いいねえ、それなら日向ぼっこでランチ食べたいなあ」
提案を出してもらったら、次の提案は自分が出す。それがミチルとルークの対等でいるためのルール。
二人の希望は二人で叶える。それが、ミチルとルークが一緒にいるための約束である。
「それじゃあ、途中でお弁当、買お」
「うん。ああ! モックみっけ!」
ハンバーガーのファストフード店を見つけたミチルは、ルークの手を引いて店に入った。
「ルーク、見て見て! カップルセット〜恋占いアイテム付、だって!」
それは、お子様セット(おもちゃ付)の大人バージョンのようなセットだった。
ミーハーなミチルは目を輝かせて即決する。
「ねねね、これがいい。これでもいい?」
そんなにキラキラと瞳を輝かせていれば、ルークに断る理由は見当たらない。
「もちろん」
「ワーイ!」
こうして二人はダブルなチーズバーガーと照り焼き的なハンバーガー、フライドポテトのLサイズ、シェイク二つのセットを買った。それからおまけの占いアイテムはピンクの紙箱に入っている。
「むっふふ、占いの結果は公園で食べてから開けようねえ」
「楽しみ、だね」
誰がどう見ても、本日来店した中では群を抜いてラブラブバカップルな二人は、再び手を繋いでハンバーガーの袋を下げて、シェイクが溶けないように少し急ぎ足で公園に向かった。
「あー、美味しかったあ」
フライドポテトをシェアして食べる幸せったら、この陽だまりのように暖かい。
そして火照った心を甘くて冷たいバニラシェイクが潤してくれる。
ミチルとルークの本日の散歩は大成功の予感がしていた。
「あとはあ……」
おまけで付いてきたピンクの紙箱。ここに恋占いとアイテムが入っている。
ミチルはワクワクソワソワで開封口に指をかけた。
「何が出る、かな?」
隣に座るルークは黙ってミチルの手元を見ながら微笑んでいる。
ミチルは幸せな視線に背中を押されて、紙箱を開けた。
『二人の相性はらぶらぶ100%です!!』
ハート型のメッセージカードが祝福するように、可愛らしい文字を踊らせていた。
「ヤッター!」
「良かったぁ」
ミチル大喜び、ルークは小さく拍手。
これは商品なので全部100%ってどうせ書いてあるよね、とかは野暮。
「へへへえ、アイテムも期待出来るんじゃなーい?」
ミチルはいそいそと紙箱を探って、チープな感触のおもちゃを取り出した。
赤いビーズで作られたブレスレットが二つ。何故か赤いリボンで繋げられている。
「これは……」
ルークは目を丸くしてそれを見る。そのメッセージ性を考えると、ちょっとアレっぽい。
「なんで繋がってんの?」
「ミチル、きっとこれ、赤い糸のつもり」
「おお……なるほど」
ルークの思考は良い子でロマンティック。
しかし、その瞳には少し悪戯っぽい光が宿った。
「ミチル、ちょっと付けてみない?」
「うーん、オレ達がつけるには可愛い過ぎない?」
ビーズ造りのブレスレットはちょっと少女趣味で、ミチルは少し躊躇う。
しかしルークの悪戯心はすでに膨らんでしまっていた。
「平気。ピッタリくっついて、手を繋げばあんまり見えない」
「そ、そうかなあ……?」
「ミチル、お願い……♡」
「うっ!」
クウン、と鳴く声が空耳で、しっぽがパタパタ揺れてる気がする。
ルークの最強ワンワン甘えである!
当然、ミチルはこれに逆らえない!!
「……見えないようにくっついて帰ろうね」
「わん♡」
ブレスレットを右手と左手にはめる。
それからルークはきゅっと指を絡ませた。そう、恋人繋ぎである。
「これでミチルと、赤い糸で繋がったね」
「にゃあん♡」
改めて言われると照れちゃう。
二人の手は絡めた指と、赤いリボンで強固に繋がれた。
繋がる赤い……らぶらぶ100%♡




