(エリオット×ミチル)「しっぽが見たい」
いっつもにゃあにゃあ言ってるから……
ホントにニャンコになっちまったんじゃねえの……?
「うにゃああああッ!!」
寝室から、着替えているはずのミチルの声がこだました。
黒いGでも出たかとエリオットは渋々様子を見に行く。
「どうしたミチル」
「ふにゃあ……エリオットぉ……」
涙目のミチルはいじめたい欲求を刺激される。可愛い。
興奮しかけたのをぐっと堪えたのに、エリオットはその姿に驚愕した。
「おまっ、なんだよ、それ……」
ミチルの頭にはネコ耳が生えていて、後ろにはネコのしっぽが揺れている。
どちらも毛色は真っ白。可愛い。
え? 着替えるってそういうこと?
誘われているならやぶさかではないエリオットだが、どうもミチルの様子がおかしい。
「わかんニャあい……着替え終わったらなんか生えたァ……」
「は? オメー、それ、本物だってのか?」
エリオットは半信半疑でミチルの頭上、白いネコ耳に触れた。
温かくて、触感はまさに本物。
「ニャ、ニャァ……」
「!」
ミチルの口癖には猫系の語尾がある。それを無意識で使い分けるのだから、こいつマジ……といつも思うのは置いておいて。ミチルがなんだかくすぐったそうに、「ニャァ」と言ったのは、いつもの感じと少し違っていた。
「……」
エリオットは無言でもう一度、ミチルのネコ耳をくいくいと左右に引っ張ってみる。
「ニャ、ニャアン……」
ちょっと聞き捨てならないイントネーションだ。
「……」
エリオットはもう一度無言でミチルのネコ耳を指でくりくり撫でてみた。
「ニャ、ニャニャ……ァン……」
おい、もう、こいつマジ。
エリオットは改めて大興奮スイッチが点火する。
調子に乗ったエリオットは、ミチルの首元をこちょこちょとくすぐってみた。
「あ、ふにゃあん……って、何してんだ、コラァ!」
「チッ、正気に戻ったか」
やり過ぎて怒ったミチルにエリオットは思わず舌打ちしてしまった。
ミチルはまるで毛を逆立てたネコにようにフーフー言っている。
「うう……」
しかしややもすると、ミチルは尻のあたりをモジモジし出した。
「どうした、ミチル?」
「うん、しっぽがね、根本のところが折れてて痛くて……」
ミチルのしっぽはズボンのウェストのあたりから飛び出しているが、おそらくズボンの中で折れ曲がってしまっているのだろう。
「真っ直ぐ出そうとすると、ズボンに穴開けないと。でも、すぐ引っ込むかもしれないし……」
正体の知れないネコのしっぽを受け入れて、すぐズボンに穴を開ける者はいないかもしれない。
ミチルが直面しているのは、喫緊の課題である。
「どれどれ、見てやるよ」
「ふにゃー!!」
即座に後ろに回ったエリオットは、ミチルのズボンのウェストをくいっと引っ張って、中を覗き込もうとした。
そこは、ハッキリ言ってデンジャラスゾーン。ミチルはパッと距離をとって抵抗する。
「なんだよぉ、見せてみろよぉ♡」
ミチルの反応に、エリオットはすっかり楽しくなってしまった。
「いいいい、イヤだねっ! 見るだけでじゃ済まないくせに!」
真っ赤になったミチルは墓穴を掘った。
「へええー、よぉーくわかってんじゃーん」
じりじりと近づくエリオット。追いつめられるミチル。
その様はネコがネズミを追いつめる様。ミチルの方がネコなのに。
「おしり♡にどうやってしっぽが生えてるか、見せろよぉお!」
「フニャー!!」
エリオットはミチルのおしり♡を見たのか、見れなかったのか!?
その正解は翌朝まで待て!
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「くしゃみのラブラブSS集め」シーズン1はここまでです!
本編最新章の公開日が決定しました。
「異世界転移なんてしたくないのにくしゃみが止まらないっ!
Meets Extra 孤独なヴィランと黒い皇帝」は、
2025年7月14日(月)より開始します。
本編の公開までもう少しお待ちください♡