(アニー×ミチル)「のぼせちまった……」
カエルラ=プルーマの最新魔法レジャー、温泉プール!
現代地球っ子であるが、ぼっちのもやしっ子でもあるミチルがそんなオシャレスポットに行けるはずがない。
まさか温泉プール初体験を異世界で出来るなんて!
ミチルは色々な事はとりあえず忘れてはしゃぎまくった。
「うひょー!」
パチャパチャお湯を掻き分けてプールに入るミチル。
最新魔法レジャーと謳われているので、怖がってまだやって来る客も少ない。
これが地球だったら、桶の中でジャガイモを洗うように混んでいただろう。
「アニー!」
ミチルはご機嫌でプールサイドに立っているアニーを手招いた。
しかし、アニーは困ったような笑みを浮かべるだけで、プールに入ろうとしない。
「どうしたの、入んないの?」
一向にやって来ないので、ミチルは一旦プールから上がってアニーを迎えに行った。
するとアニーはミチルが近づくにつれて顔を赤らめて焦り始める。
「キャァ、ミチルッ! まま、待って、タ、タ、タオルかけてっ!」
そんな風にどもりながらアニーはミチルに大きめバスタオルを掛けた。
「いやいや、すぐプールに戻るし。暑いんだけどぉ」
上半身をふかふかタオルに包まれたミチルは、口を尖らせて文句を言う。
「あーっと! あーっと! 濡れたままでキス待ち顔はここではちょっと!」
「待ってねえしぃ!」
アニーの過剰反応……エロ被害妄想が激しすぎて、ミチルは思わず怒鳴った。
こんな衆人環視の場で、何を一人で欲情しているんだ。アホなのか!?
……ああ、アホだったわ。
ミチルが頭の中で一人ツッコミをしている間にも、アニーはキョロキョロと周りを窺って落ち着かない。
「おのれえ、ミチルの♡♡肌をエロい目で見やがって、許さん……ッ!」
「誰も見てないよ!」
そんな特殊なのはお前だけだ、とミチルが言う前に。
「ミチルの♡♡ビがピンクに染まる瞬間を見せてたまるか……ッ!」
ホスト系アサシンの、アサシン部分が火を吹きそうで、ミチルは焦ってアニーの腕にしがみつく。
「アニー、落ち着いてぇ! そんなの誰も気にしてないからぁ!」
慌てて動いたため、ミチルが羽織っていたタオルは無慈悲にも肩から外れて落ちる。
アニーの腕に、ミチルは図らずも胸を押しつけてしまった。平らな胸と言えどもちょっとアレが触れちゃったのだ!
「……ッ!!」
アニーの全身に、ビリッビリで、ギューン↑な雷が落ちる!
「……」
そしてアニーは放心しながら棒立ち(←意味深)。
「ア、アニー……?」
ミチルが恐る恐る見上げると、キラキラに悟りきったような笑顔でアニーは言った。
「ミチル、帰ろうか」
「えっ! 今来たばっかなのに?」
「温泉プール、なんて恐ろしい場所! 入っていないのに、のぼせちまったんだよ、俺はぁ……ッ!」
そうしてミチルはアニーの「熱冷まし」に朝まで付き合わされた……