表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/45

レアアイテム

 また、三人が飛びかかってきた。一人の攻撃を腕でブロックし、直後にグーパンチではじき飛ばす。だが、今度は二人の攻撃を腹と、頭部に喰らった。グラ、と視界が揺れる。ザン、と両足を踏ん張り、覇王はモヒカン二人をまとめてグーで突き飛ばした。二人が驚いた顔で、折り重なって飛んでいく。


 「今だ! 全員でかかれ! 秘技『熱殺蜂球』(ねっさつほうきゅう)!」


 号令を聞いたモヒカンが、一斉にとびかかった。覇王を360度、さらに上からも取り囲んで、まるで球のように二重三重に人が折り重なっている。中心部にいる覇王が、必死に一人ずつ吹き飛ばすが、とても間に合わない。やがて攻撃音だけが聞こえ、モヒカンで形成された球体の中で、少しずつ覇王が体力を削られているのが見えた。


 「ククク……! 『熱殺蜂球』、それは自然界で、ミツバチがスズメバチに対抗するための秘策だ! ミツバチは、個々の戦闘力では、スズメバチにかなわない。だが全員で、スズメバチに取り付き、一斉に筋肉や羽を震わせ体温をあげることで、スズメバチを蒸し殺すことがある……。」


 モヒカンの指導者のような男が、分かりやすく、親切丁寧な解説を始めた。


 「要するに……全員で飛びかかって、タコ殴りにする技だあっ! ここまでだ、覇王、殺ったり(とったり)!」


 球の中心で、少しずつ覇王の反応が弱まっているのが分かった。トーギャンでは、体力を削られたプレイヤーは各種ステータスが低下する。さしもの覇王も、低下したステータスでは、この局面を打開することは難しいように思われた。


 ところが次の瞬間、異変が起こった。


 球の中心部から、強烈な光が放たれた。モヒカン達の隙間から、光がもれて四方八方に飛散する。


 「な、なんだ……うわっ!」


 光がドーム上に膨れ上がり、ついに全方向にはじけた。同時に、覇王に覆いかぶさっていたモヒカン達が、全員吹っ飛ばされた。光が収まり――中心部には、覇王が立っていた。体力が、全回復している。


 「体力回復アイテムだ! 檄レアアイテムの、『帝王のブルゴーニュ』で全回復しやがった!」


 「さすが廃課金!」


 「そんなアイテムを、レアなボスキャラを倒すわけでもないのに使うとは! そんな、アホなあー!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ