麻薬・強奪計画
「貴様ら、女性プレイヤー二人連れか。珍しいな……。」
「どいてください! 人に会いにいくんです、ジャマしないで!」
「おい、そっちのエロい黒のライダースーツの女、どこかで見たことあるぞ……。」
必死に逃げ道を探すが、次々とモヒカンが集まってきてしまい、取り囲まれてしまった。静久は、もう観念したようで、先ほどから周囲を伺ったまま、じっと黙っている。
「あれー? この女、どこで見たんだっけな?」
「何だ何だ? どうした?」
「……あ! あああ! オレ、思い出したぞ!」
青海ひかるは、慌てて顔を両手で隠したが、遅かった。
「こいつら、『厨二病の覇王』の仲間だぁ! こないだ、覇王が誰かをぶっ飛ばしてる時、こいつらが側にいた!」
「なに、それは聞き捨てならねえ。」
ますます、モヒカンが寄ってきた。
「今日は大事な麻薬の強奪計画があるのに、覇王が出てきて、ジャマされたらかなわん。
「……っお前! 麻薬の情報は、絶対に漏らすなって、幹部連中があれほど!」
「しまった! なんてことだ! ……貴様ら、あろうことか、極秘情報を盗み聞きしやがったなあ~!?」
なんだか、勝手に話が進んでいる。とにかく、麻薬とかはどうでもいいから、この場を離れたいと青海ひかるは思った。覇王には、待ち合わせ時間をずらして、「十五分後」として知らせてある。あと少し、時間を稼がないといけない。
「おい、こいつらを逃がすわけにはいかねえぜ。覇王にチクるかもしれねえ。」
「PKするか?」
「それは意味がない、ゲーム内で死ぬと、初期ログインサーバにワープするから、そこから覇王に会いにいかれる可能性がある」
「とすると……拉致・監禁するか?」
「それが一番、いいだろうな」




