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カノッサ機関の制圧

 青海ひかるは水曜の夜に、トーギャンにログインしていた。


 覇王と、静久の待ち合わせ場所は、ひかるの独断と偏見でカブキチョーサーバではなく、ギロッポンサーバにした。少し大人の香りのする、ムーディな街並みが、夏の夜にきらめいていた。


 六本木で特に目立つ建物、ランドマークといえば、高層ビル「六本木ヒルズ」だろう。オフィスビルとしての側面もあるが、多くのレストランも入っており、恋人達のデートスポットになっている。青海ひかるは、ヴァーチャル空間の六本木ヒルズを見上げた。夜空を貫くようにそびえ立っており、なかなかの迫力だ。迫力があり過ぎて、見ようによっては、なんだか「帝王の城」のように見えなくもない。


 そんなことを考えていると、向こうに静久がやって来るのが見えた。いつもと違って、白いスカートがとても印象的だ。今晩は覇王と話すとあって、女性らしい格好を意識したのだろうか?


 「おーい! こっちです静久さんー!」


 その時だった。どこかで聞いたことがあるバイクの爆音が、聞こえ始めた。だんだんと近づいてくる。


 ……なんだこれは。とても嫌な予感がする、とひかるが思った、その時だった。


 「ヒャッハー! 汚物は消毒だー!」


 青海ひかるは、めまいがした。また出た、あいつらだ。ハーレー・ダビッドソンを乗り回す、モヒカン頭のカノッサ機関の集団が見えた。しかも今日は、いつもより人数が多い。


 「貴様らぁ! 今日、この六本木一帯は、このカノッサ機関様が制圧する! 立ち入り禁止だ、出て行けぇ!」


 たちまち、多くのプレイヤーが皆、コソコソと逃げ出した。青海ひかるは、慌てて走って行き、桐谷静久と合流した。


 「静久さん! なんか変なやっかいごとに巻き込まれないうちに、逃げましょう!」


 「キャッ!」


 言い終わらないうちに、モヒカンの一人が二人に接近していた。何か、気にさわるようなことをしたのだろうか。顔いっぱいに、下品な笑顔を浮かべている。

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