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それぞれの夜

 東京は、夜景がきれいだ。ひかるは、電車のドア付近に少しもたれかかって、横目で外を眺めた。今日も一日、頑張って仕事をした。心地よい疲労感だ。就職の記念にと、親に買ってもらった腕時計をちらと見る。もう夜中の十時を過ぎている。


 結婚相談所の仕事は、正直いって、あまり割りのいい仕事じゃない。給料は安いし、夜遅くまで仕事することも多い。マッチングが成立せずイライラした会員様から、ヒステリックなお叱りを頂くことだってある。


 ――でも、これから私はようやく「運命のカップル」を結びつける仕事をするんだ。


 青海ひかるは、大学三年生のときに、結婚相談所への就職を志した。理由は、やはり結婚という、ドラマチックなイベントに関われる仕事だからだ。出会いの機会が少ない男女に、素敵な異性を引き合わせて、それが結婚につながったら、きっと一生感謝されるだろう。そんなぼんやりとしたイメージがあった。


 運よく、東京の結婚相談所に就職が決まったときは、跳び上がって喜んだものだ。これから、たくさんの人の幸せを創っていくんだと思った。


 実際に入社してみると、数カ月は雑用の連続だった。「プレミアム会員の担当には、ベテランを優先してつける」という社の方針もあって、なかなか担当を持つことができなかった。でも今、南里主任のおかげもあって、ようやく担当を持って、活動している自分がいる。


 ――雁野さんの恋を、応援したい! がんばるぞ、私!


 ひかるは、電車の乗客にばれないように、こっそりとこぶしを握り締めた。


◇◇◇


 暗闇の中で、黒装束を着た不気味な集団が会議をしている。ロウソクの灯りがぼんやりと燈る中、モヒカン頭の兵隊が一人、報告のためにひざまずいていた。


 「……それで来週、大量の麻薬がギロッポンサーバに出回るというわけだな。」


 「はっ……。間違い、ありません。」

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