プロローグ
初投稿です。
不定期更新になります。
基本的に主人公視点時は一人称、その他は三人称になります。
今話は主人公視点です。
第一希望の進学校に合格したお祝いに最新機種のスマホを買い与えられた俺はMMORPGで一番人気のアプリ「漆黒の輪舞曲」をDLした。
俺には物心ついた頃から前世の記憶があった。
俺の前世の記憶の話を今世の両親は嬉々としてノート片手にメモったり、イラストを描いてみたり、と忙しなく活動していた。
そうして出来上がったのか「漆黒の輪舞曲」だ。
前世の俺は「漆黒の輪舞曲」の世界にあるレムリア王国の王族の近衛騎士だった。
数少ない女騎士だったので主に女性王族と成人前の王子や王女の護衛を務める事が多かった。
正騎士になってから数年は王妹殿下の近衛をしていたが殿下が隣国に嫁いだ後は第三王子殿下の近衛を務める事になった。
殿下が十三才、前世の俺が二十五才の時に殿下が通う学園の騎士科の演習場を兼ねた小規模ダンジョンでスタンピードが発生した。
その時に多分、前世の俺は死んだのだろう。
その日に魔物と戦い、あちこち切り裂かれて倒れた後の記憶が無いから。
DLとインストールが終わって直ぐに俺はアプリを起動した。
このゲームの世界観は俺の記憶がベースになっている。
でも俺の記憶だけでゲームが成り立つわけではないので九割以上はゲーム開発者である両親とその部下たちのオリジナルだ。
キャラクター作成画面に移行して様々な質問に答えて顔、体型、細々とした設定を決めていく。
最後に入力するのは名前と誕生日。
全ての入力が完了すると画面上には前世の俺と瓜二つな女騎士が完成していた。
「再現率ヤバいな!」
画面上の女騎士のステータスや操作を確認しながら俺は前世で好きだった歌曲を口ずさんでいた。
前世の言語で前世の歌を…
ミツケタ
スマホからそんな声がした。
そして女騎士の足下に魔法陣が生じ、それと同じ魔法陣が俺の足下にも現れた。
「何で?!」
思わずスマホを遠ざけて魔法陣から逃げるように移動するが遅かった。
俺は魔法陣が発する光に飲み込まれてしまった。