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短編とかその他

傲慢な聖女とばけものになった騎士

作者: リィズ・ブランディシュカ



 建物も道も、そこかしこが真っ白な国。


 そんな特徴的な白の国にはすぐれた聖女がいる。


 その聖女は、どんな病や怪我もたちどころになおす事ができたため、多くの人達に慕われていた。


「私になおせない病気はない。私にいやせない怪我はない」


 失敗したことのない聖女は、多少性格が傲慢だったが、自信に満ち溢れていた。






 そんな国である日、ドラゴンが暴れまわった。


 あちこちが壊れて、多くの人がけがをしてしまう。


 白の国の人たちが大勢困ってしまったため、王様が命令。


 国の中の有名な騎士が討伐することになった。


 さっそく腕利きの騎士が作戦をねり、装備を整えて、ドラゴンとの戦いへ。


 戦い自体は、騎士たちの勝利で終わった。


 しかし、問題があった。


 騎士の1人が、戦いの時に呪われてしまったのだ。


 その騎士は、聖女の想い人だった。







「私になおせない病気や怪我はないけど、呪いはどうかしら」


 はじめての不安を覚えながらも、聖女は力を尽くした。


 しかしどうやっても、戦いから帰って来たその騎士を呪いから解放する事はできなかった。


 呪いを受けた騎士は、姿を変えて、だんだんとばけものになっていく。


 心も、人間のそれではなくなっていった


 正義に燃えていた騎士は、凶暴なばけものになって暴れまわるようになってしまった。






「このままだと大切な人をなくしてしまう」


 傲慢だった聖女は考えを改めた。


 好いていた騎士をどうしても救いたかったから。


 聖女は、それらからは自分に足りないものがあると、自覚し、力を磨き始めた。


 今まではさして努力せずとも、力をこなす事ができたため、まともな修練をおこなっていなかった。


 最初はそうではなかったが、素質があり、才能があったため、自然と怠けるようになっていった。


 しかし、目的ができた事で、聖女は初めて、まじめに頑張るようになった。






 一か月ほどの間。


 真剣に修練に励んだ聖女。


 その努力は実った。


「聖女様、ありがとうございます。あなた力があれば、きっと今度こそ人間の姿に戻る事ができます」


 何度目かの解呪。


 聖なる力が騎士の体を包み込む。


 その光はあたたかく、きらきらと綺麗に輝いていた。


 あと数日で、完全なばけものになってしまいそうだった騎士は、聖女の力によって元の姿を取り戻した。


「やった! うまくいったわ!」


 聖女はほっとして、心をいれかえ、これからも同じ事があってもすぐなおせるようにと、力を磨き続けた。






 白の国の聖女は、今までも優秀だったが、それからはさらに優秀な聖女として育っていった。


 聖女はそれ以降、己の力を過信することなく、常に研鑽し修練に励んでいた。




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