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4月10日 その⑤

【訂正】池本栄の情報②「智恵に恋している」を「村田智恵に恋している」とフルネームに変更しました。

 

 思っていたような「驚くべき情報」とは違った。マスコット先生によって言われた俺の情報②は「村田智恵に恋している」だった。


 俺は、智恵の方を見る。智恵の顔は、リンゴのように真っ赤になっていた。


「───本当?」

 智恵が、そう聞いてきた。皆が見ているこの場で「好きです」と言うのはかなり恥ずかしい。


 だが「好きじゃない」と言えば嘘になるし、智恵を傷つけてしまうだろう。


「俺は───」


 ”ガラガラガラ”


「スマホを見てきて戻ったよ!」

 俺と智恵が惚気る直前に、教室に入ってきたのは山本慶太を運ぶために家に戻ってきた拓人だった。


「これで、慶太以外の全員が戻ってきたよ!」

 皆のことを話してくれた康太が、そう述べた。


 これで、慶太が死んでいたら殺したのは拓人になるだろう。今、教室に慶太以外の全員が揃っているのだから。運んだ拓人が怪しまれるのは必然だ。


「で、えっと...今は?」

「栄の情報②で{村田智恵に恋している}と言う情報が出た。今から、その真偽を確かめるらしい」

 森宮皇斗が全てを要約して答えてくれた。


「そ、そうなのか...」

 拓人が、こっちを見てニコリと微笑み親指を立てた。拓人は、かなりのイケメンであるからかその爽やかな笑顔で数人の女子がざわめいている。具体名をあげるならば秋元梨花や睦月奈緒などだ。


「それで、どうなんだ?」

 チラリと、森宮皇斗がこちらを見た。智恵は、何も言わず少し恥ずかしそうにはにかみながらこちらを見ている。


「───俺は、智恵。アナタが好きだ」


 俺は、事実だけを述べる。本当に、俺は智恵のことが好きだ。


「えへへ...ありがとう」

 智恵は、可愛く笑う。そして、恥ずかしそうに頬を赤らめた。


「私も好───」

「本当に、栄は智恵のことが好きなのかな?」

「「───ッ!」」


 また、口を挟んできたのは裕翔だった。もう、やめてくれ。お前は黙ってくれ。


「だって、4割は本当だけどよ?6割は嘘なんだぜ?」

「───は」

 ウザい。ウザすぎる。


「6割は、嘘なんだぜ?信じられるのか?」

「智恵、耳を傾けるな」

「騙されてるかもしれないぜ?本当は、歌穂と付き合ってるかもしれない!」

「裕翔!」


「栄、私は...信じてるよ」

「───」

 智恵は、俺の手を握る。


「6割は嘘かもしれない...でも、4割が本当なら...私を好きでいてくれてるって可能性がゼロじゃないなら...私は、信じられる」

 智恵が、少し辛そうに微笑む。俺にはわかるんだ。


「───智恵」

 俺は、智恵の名前を呼ぶ。そして、智恵の頬に右手で触れる。このままキスでも───




 否。



 今、このキスは悪手。浮気した後、本当の恋人に勘付かれぬようよく笑いかけるのと同じ。逆に、疑われる可能性を増やすだけ。かける言葉は、ただ一つ。


「信じてくれてありがとう」

 智恵の心のわだかまりが解けたような気がした。


「2人でイチャイチャしやがって───じゃないですね。続いて、情報③───」

 マスコット先生の本音がぶちまけられつつも、情報③。ここまでは、まだ精神状態を保てている。



「───生徒会に所属している」

「ここでか...」

 俺は、そう小さく呟いた。ここで、しっかりと真実でも嘘でも困る情報が出てくる。


 しかも、今回は「情報①」と同じ事実無根な情報だが、愛香や紬のように庇ってくれる人はいない。

「おいおい、栄!生徒会なのか?オレの、一昨日の予想は大正解じゃないか!」


 一昨日───正確に言うならば、今は4月10日の深夜なので、3日前に値する4月7日のことだ。

 彼は、小寺真由美が死に、その犯人を俺だとでっち上げた。


 ───にしても、いちいち裕翔は突っかかってくる。かなり、ウザい。もう、コイツは教室の外に出て殺されはしないかな。


 そんな事を、考えて裕翔のことを無視する。


「あのバカのことは置いといて、マスコット先生次をお願いできますか?」

 俺は、先生に問う。


「えぇ、いいですよ」

「おい、栄!オレのことを無視するなよ!それともアレか?図星で言い返すことができないのか?」

「かなりウザいピョン」


「そうだな...誰か黙らせてくれないか?」

「妾が直々にボコボコにしてやりたいが、椅子から降りられない以上それも無理だしな」

「ホンマや、ワイも流石に栄に同情するわ」


 スクールダウトに参加している全員から、否定される裕翔。少し、可哀想にも思えるが性格的にしょうがないだろう。


「皆栄味方か?もしかして、皆生徒会だったりする?」

「よし、殺す!」

「ここで、殺したら余計に疑われるだけだよ!」


 愛香が、裕翔を問答無用で殺しそうになった。俺は、急いで制止する。


「だが、かなりウザいぞ?黙らせておいたほうが得策ではないか?」

「それはそうだけど...」

「裕翔、お前。うるさいぞ、静かにしろ」


 森宮皇斗が、バッサリと裕翔に言い張る。


「は?何偉そうに───」

「静かにしろ」


「───ひ」

 裕翔が、森宮皇斗の圧に負けた。そして、教室にはそのまま静寂が広がる。


 その静寂を待ちわびていた人物が一人───マスコット先生が、喧騒と喧騒の隙間を抜けて声を出す。


「では、情報④───」


 やってくるのは、驚くべき情報。だが、真偽の確かめることのできない情報。





「───親はデスゲームの運営に関係している」


 池本栄の情報

 ①小寺真由美を殺した

 ②村田智恵に恋している

 ③生徒会に所属している

 ④親はデスゲームの運営に関係している

 ⑤???

『スクールダウト』

情報の公開される順番 津田信夫・森宮皇斗・宇佐見蒼・森愛香・池本栄・村田智恵

現在 情報④の開示

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雨城蝶尾様が作ってくださいました。
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― 新着の感想 ―
[良い点] 裕翔、うぜええ。 もう此奴、死んでいいよ! そして皇斗、グッジョブ。 でも④に関しては真偽が不明ですな。 スクールダウト、なかなか表現力が豊かなゲームですね!
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