4月1日 その⑥
「では、1番から自己紹介を始めまーす。質問があったら、どんどんしちゃってくださいねー!それも、交流の一つですので」
一番廊下側の最前列の少女───俺の3つ前の席の人が立ち上がった。
「えっと...1番秋元梨花でぇす。アタシは、東京から来ました。えっと、好きなものはぁ、スタバの新作でーす。誕生日は4月15日です。1年間、よろしくおねがいしまーす!」
秋元梨花と名乗った、その少女。茶髪でツインテールをしていた。
秋元梨花が座ると同時に、その後ろの席での少女が立ち上がった。
「オレの名前は...安土鈴華。兵庫から来た」
安土鈴華と名乗った黒髪の少女。先程の秋元梨花よりかは背がデカいだろうか。
だが、この少女の特筆すべき点は、右目の眼帯だ。
先程から、教室にいたのはわかっていたのだが眼帯のことについては気付かなかった。
「この目は、喧嘩で怪我しちまった...」
制服の上からでも、彼女の筋肉が認識できる程度には鍛えている。
「誕生日は、3月9日。好きなものってか、趣味は喧嘩だ」
セーラー服にロングスカートを着ていてもらいたいのだが、生憎この学校の制服は、セーラー服ではなかった。スケバンの彼女には、少し似合わないだろうか。
───いや、そんなことはない。安土鈴華は右目に眼帯がさえてあれど、美人と認識できる程度には顔が整っている。美男美女は、何を着ようが似合うのだ。
「次は、オレだな。名前は安倍健吾。17歳で、宮城から来ました。趣味は...なんだろ、買い食いとかかな?皆と仲良くできたらいいなと思っています。あ、誕生日は10月18日です。皆、よろしく!」
健吾は、黒髪のイケメンだ。少し、髪がボサってしているが、それもまたセンスだ。
健吾の自己紹介が終わり、俺の番がやってくる。目の前の健吾が座ったことを確認にして、俺は立ち上がった。
「俺の名前は池本栄。年齢は17歳。これといった趣味はないけど、漫画は結構好きかもしれない。誕生日は10月26日で、愛知から来ました。1年間よろしくお願いします」
皆の視線が、俺に集まる中、無難な挨拶を終えた俺は席につく。辺りを見渡したが、緊張の表情は誰も解れていなかった。
「はいはーい!俺は岩田時尚でーす!東京から来ました、よろしく!梨花ちゃんも東京から来たって言ってたよね?どこ住みだった?俺は港区!誕生日は7月5日で、好きなものは艦隊です!あ、皆にオススメしたい艦隊は───」
メガネをかけ、黒髪の時尚。前髪が若干ペタンとしているような気もする。頬骨は、薄っすらと浮き出ているような気がして痩せているのが目に見える。
「岩田君、ありがとうございました」
「え、マスコット先生?まだ俺話し終わって───」
「岩田君、ありがとうございました」
「って、えぇ!先生酷いよ!俺にもう少し話させてよぉ!」
「宇佐見君、よろしくお願いします」
「わかったピョン!ボクの名前は宇佐見蒼だピョン!誕生日は7月30日で山形から来たピョン!皆と、仲良くしたいからよろしくだピョン!もちろん、好きなものはうさちゃんだピョン!」
男子にしては小さめ───と言っても、160cmほどはあるだろうが。宇佐見蒼と名乗った少年は、可愛らしい見た目をしていた。普通の男が「ピョン」だの言っていても許されないが、この少年なら許されてしまう。
宇佐見蒼の髪には、1房だけ、金色のメッシュが入っている。他は、黒髪なのでそこが以上に目立っている。
宇佐見が座ると、次に立ったのは一人の少女。
「名前は奥田美緒。誕生日は11月15日です。好きな作品は、ハリーポッターです。福井から来ました。田舎者ですが、よろしくお願いします」
奥田美緒と名乗った、その少女。黒い髪を肩甲骨の辺りまで伸ばした少女だった。
「なぁ...めっちゃ可愛くね?」
健吾が、そう耳打ちしてくる。
「あ、あぁ。そうだな」
「質問です。ハリポタは何作目が好きですか」
ここで、稜が奥田美緒に疑問を投げかける。
「個人的には5作目が好きです」
そう、答えてから奥田美緒が座った。そして、続いて立ち上がったのは一人の美青年。
「オレの名前は柏木拓人。埼玉から来ました。誕生日は10月21日です!好きなことは、走ることです!1年間、皆よろしくな!」
「ヤバ、イケメン...」
「タイプかも...」
そんな、女子からの黄色い歓声。だけど、彼に至っては納得してしまうほどにイケメンだ。
爽やか系イケメンと言えばいいだろうか。面食いな女性なら、皆揃いも揃って好きになるような顔だ。
彼の濁り一つない黒髪には、見ていて惚れ惚れしてしまいそうだ。漆黒故に、一切の不純物がない無垢な黒髪。
拓人が座ると、続いて立ち上がったのは9番の少女。
「菊池梨央です。年齢は17歳で、千葉から来ました!誕生日は5月10日です!運動はちょっぴり苦手です。あ、千葉県民だけど埼玉は敵視してませんから!よろしくお願いします!」
菊池梨央と名乗った、その少女。若干茶色くなっている黒髪が肩まで伸びている。穏やかな、顔をしている彼女が終わった後、稜の座っている方向から恋の音が聞こえてきた。
「稜...恋に落ちたんだな...」
そんな、呟きは誰にも届かず流されて、自己紹介は10番へと移る。
自己紹介、数話は続きます。