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4月9日 その⑤

 

 津田信夫の情報

 ①デスゲームに参加する以前に人を殺したことがある

 ②予選では脅してポイントを手に入れた

 ③嫌いな数字は「5」だ

 ④平塚ここあを殺した犯人を知っている

 ⑤マスコット先生に賄賂を渡して生き残るようにしてもらっている


「「「───は?」」」

 やはり、響くは一同の驚く声。皆、「賄賂」という方法が思いついていなかった訳じゃない。


 森宮皇斗や森愛香などはいち早く賄賂を渡して生存するなどを思いついていただろう。

 問題はそこじゃない。問題は、ゲーム運営が自らのプライドを捨てて「賄賂」を渡せば生き残れる可能性を提示したことだった。


「わい...ろ?」

 これには、津田信夫を唖然。口をポッカリと開けて、驚いていた。


 ───なら、この情報はきっと(ダウト)


 きっと、デスゲームの運営はいくらもの大金を積んだってデスゲームで生き残るなんてことはしてくれない。だって、生き残るための取引を公式に行っているのだから。


 そう、その取引とは生徒会だった。


「───これは嘘だな。にわかには信じがたい」

「そうだな...」

「そうだピョン!本当の情報はデスゲームに人を殺したって奴と他1個だと思うピョン!」

 宇佐見蒼が、煽るかのように津田信夫の方を見る。


「あ、あの...栄...」

 森愛香と席を交換し隣になった智恵が俺の耳に顔を近付けてくる。そして、こそこそと話を始めた。


「わ...私はどれに投票すればいいかな...」

「どれって、本当だと思うやつじゃない」


「そうだけど...もしかしたら、荒れてるのは演技かもって...」

「───え?」


「これだけ違うって言ってるから、本当に違うのかもって...」


 ───あの反応は本当だった。


 それが演技とするのならば。


 あの焦り。狂乱化。憤怒が演技とするならば。


 ───そう、あえてポーカーフェイスを実行せず嘘で驚くほどに騒いだとしたら。


 俺の、議論は智恵の言葉によってかき乱される。


 言われてみれば、あれほどまで真実だとわかりやすい反応をするだろうか。これが全て、津田信夫の作戦で、俺らが手の上で踊らされているとするのならば。


「こそこそ話などしてどうした?」

 森愛香に目をつけられる。


「どうせ、痴話だピョン!歌穂さんと付き合ってるのに浮気だピョン!」

「───は?違うし」


 俺は、智恵の方を見る。智恵は、俺の手を握る。そして───


「栄...私は...信じてるからね?」

 若干、涙目になった智恵がそんな目で見てくる。


「本当に付き合ってないわ。もし仮に、本当に付き合っていたとするならば智恵ちゃんは今頃バラバラになっているだろうしね」

 歌穂が、そうやって声をあげた。


「───それでは、そろそろ投票に移りましょう。6人は目の前にあるタブレットで投票してください。あ、どれにいれるか話し合ってもらってもいいですよ」


「平塚ここあを殺した情報の真偽を確かめた方がいいのだろう?ならば、それに入れればいいだろう?」

「そうだピョンね!」

「真実でも嘘でも確かめるのは大切だしね」


「じゃ、じゃあ私も4番(それ)に...」

 俺は4番に投票した。そして───


「5人全員の投票が終わりました!それでは、投票数を!」


 津田信夫の情報

 ①1票

 ②0票

 ③0票

 ④4票

 ⑤0票


「───ッ!」

 非協力的な誰かが一人混じっている。


「おっと、④の『平塚ここあを殺した犯人を知っている』が投票数一位ですね!では、真偽を発表します!」

 マスコット先生は、「でけでけでけでけ」と口で言っている。ドラム音くらい用意すればいいのにと思いつつ、発表を待つ。


「情報④平塚ここあを殺した犯人を知っているはダウト!」


 俺のタブレットには青色の「×」が浮かび上がった。そして、画面の右端ではマスコット先生の被り物がカービィのように生首から手足が生えた状態で乱舞している。地味にイラッと来る。


 ───ここで、大切なのは情報が嘘だったということ。


康太は、勝手に犯人扱いされた可哀想な人って感じになるのだ。結局平塚ここあの犯人当て情報は何一つとして手に入らなかった。


「信夫君は平塚ここあを殺した犯人を知りませんね!」

 結果が発表されて、少なくとも4人は0点であることが明らかになる。情報①に票を入れた誰かは1点を手に入れたのだろうか。


「現在の得点状況は発表されるのか?」

「いえ、ポイントは最後に発表されます!」


「では、自分自身のポイントもわからないと言うことか?」

「はい、投票した情報が少数だった場合は正解かどうかもわかりませんね。結果は最後までお楽しみ───と言うことで!」

「───ッチ!」

「これじゃ、勝負しているような感覚がないピョン!ゲームとして楽しくないピョン!」


「なら、辞退(死んで)もらってもったも構いませんよ?」

「───それは...嫌だピョン...」

 宇佐見蒼は、先生に折れる。


「では、2人目。森宮皇斗君の番ですね!」

「ワイの番がやっと終わった...お前ら、覚えておけよ?全員に屈辱を見せてやるからな!」


 津田信夫はそう言うと、極悪犯罪者のように笑う。彼の番はもう終わった。俺は、自己紹介の前のように少し緊張していた。


「では森宮皇斗、情報①───」


 マスコット先生が最初の情報の提示を開始する。そして、ある意味驚くような言葉が言い放たれた。




「───8分ほどなら息を止められる」


 森宮皇斗の情報

 ①8分ほどなら息を止められる

 ②???

 ③???

 ④???

 ⑤???

『スクールダウト』

情報の公開される順番 津田信夫・森宮皇斗・宇佐見蒼・森愛香・池本栄・村田智恵

現在 森宮皇斗 情報①の開示

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雨城蝶尾様が作ってくださいました。
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― 新着の感想 ―
[良い点] ヤバい。 どれが嘘か、どれが真実か、まるで分からん。 >「───8分ほどなら息を止められる」 これなら水中でスタンドバトルも可能ですね。 というか情報開示がマジで面白くなってきました!…
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