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4月9日 その④

第2ゲーム『スクールダウト』本戦のルール

1.生徒1人付き2つの真実と3つの嘘、合計5つの情報が提示される。

2.情報が提示された以外の5人は、5つの情報の内、真実だと思うもの1つに投票する。

3.投票したものが、真実ならば1ポイント。嘘なら0ポイント。

4.投票数が一番多かった情報のみ、真偽が発表される。発表されなかった物に関しても、真実であれば投票者にはポイントが入る。

5.このゲームにおいて棄権は許されない。もちろん、本戦辞退も禁止とする。

6.棄権or辞退をした者がいた場合、その人は死亡とする。

7.ポイントが一番多かった者が優勝者とする。

8.投票数が被った場合、ルーレットでどちらか1つのみ情報の開示とする。

 

「情報④平塚ここあを殺した犯人を知っている」


「「「───は?」」」

 沈黙が破られ、本戦に参加している津田信夫を除く5人から驚愕の声が出る。いや、驚いていたのは傍観者だってそうだ。


 平塚ここあさんは、4月3日の早朝に殺されたことが発覚した。だが、殺されたのは4月2日の21時以前かもしれないし5時以降かもしれない。


 第一発見者は美緒で、7時11分に教室に来たらバラバラになっていた平塚ここあの死体があった。

 そして、ほぼ全ての生徒に事情聴取をしたが得られた情報は殆ど無かった。


「だが、その犯人を知っている...信夫、どういうことだよ!」

「え...いや...」


 再度、追究される津田信夫は困っていた。


「真実でも嘘でも誰かの名前を述べてみよ。デスゲーム以前でもし仮に人を殺していたことよりも、デスゲーム内で人を殺した方が妾達にとっては重要だ。友達を売れ!」

 津田信夫は唾を飲み込む。そう、「知っている」という情報が嘘かもしれないのだ。


「ワ...ワイは誰か知ってる...誰が平塚ここあを殺した犯人か知ってる!」

 津田信夫は、何かに取り憑かれたようにゲッソリした顔で答える。先程「デスゲーム前に人を殺した」という情報がばら撒かれて精神的に疲れたのだろう。


 ───この顔じゃ、嘘か本当かわからない。


 疑いをかけられた人が、正直に「俺がやりました」と答えるはずがない。それが真実だとしても、嘘だとしても「俺は犯人じゃない」と否定するはずなのだ。


 故に、判別不可能。消去法で「真実」か「嘘」か判別するしか───、


 いや、他にも方法はある。


 投票時にこれが「真実」か「嘘」か発表されればいいのだ。発表されるには1番票数を獲得する必要がある。


「犯人は誰?」

「こ、康太!中村康太や!」


「え、俺?」

 全員の視線が津田信夫から中村康太に移る。


 4月1日には「全員生き残る方法を思いついた!」と声を上げたところ森愛香に怒られ、一昨日は裕翔に「生徒会」だと勝手に認定され、津田信夫には平塚ここあを殺害した犯人扱いされてしまう、少し不憫な康太。


「康太がやったんや!ワイは、知ちょるんや!こ、康太がやったのをワイは見た!」

 津田信夫は、泣きそうな目になりながらそんな事を言った。


「そんな訳ないだろう?だって───」

 康太は、何か弁明しようとする。だが、それもすぐに辞める。そして、代わりにこう告げる。


「いや、何を言ったって信じては貰えないから何も言わないよ...」

 康太は、小さくため息をついた。


「せ、せや!殺された日だって、康太が中心やった!ワイらは上手く騙されとったんや!詐欺師!詐欺師!」

「はぁ、いくらでも言えよ...どうせ、何を言ったって無駄だろう?」


「康太、お前!殺したのか?」

「殺してないよ...でも、反論したってどうせ喚くだけ。なら、静かにしていくだけでいいだろう?」


「図星だから黙り込んだんや!ワイは見たんや!ワイは!」

 信夫は、もう壊れている。


「デスゲーム以前に人を殺した」と言う最も知られたくない情報を暴露されて、冷静さを失った。まだ言っていることの意味が理解できるだけマシなのだろう。


「───冷静さの欠けてる信夫と俺のどちらを信じるかは皆に任せるよ」

 康太はそう言った。


「皆、ワイは嘘をついてない!」

「嘘かどうかなど、()()どうでもいい...真偽は投票すればわかるからな...」

 俺と同じ結論に、森宮皇斗もたどり着いていたらしい。いや、きっと俺よりも早くたどり着いていただろう。


「ならば、早く投票にしようじゃないか!5番目の選択肢など聞かんでもええわ!」

「待つピョン!ボクは5番目も知りたいピョン!」

 宇佐見蒼の顔に浮かぶ笑み。きっと、彼は楽しんでいる。津田信夫が苦しむのを見て楽しんでいるのだ。


「どちらにせよ、全ての選択肢が出揃うまでは投票には行きませんので」

 先生は、そう述べた。


 現在、教室を支配しているのは緊張。どんな衝撃的な情報が来るのか皆、わからないのだ。どれが真実で、どれが嘘か。一つ以外はわからない。


 教室の中心には、もう壊れかけている津田信夫・至って冷静な森宮皇斗・楽しそうにしている宇佐見蒼・ゲームが楽しくて仕方がない森愛香、そして隣で壊れてしまった津田信夫を見て恐怖で何も喋れない智恵。


「では、マスコット!早く情報を開示せよ!妾のターンに早くならないかならないかとウズウズしている!」

「そうですか、誰か優しい人に変わってもらったらどうです?」


「───な、順番の変更(チェンジ)が認められているのか?」

「まぁ、双方が承認していればいいことにしましょう」

「よし、では森宮皇斗!変われ!」


 森愛香の無茶振り、だが、森宮皇斗は眉一つ動かさない。


「残念だが、無理だ」

「ならば、宇佐見蒼!妾と変われ!」

「嫌だピョン!智恵ちゃんが変わってくれるらしいピョン!」

最後(ケツ)と変わったところで意味など無いだろう!では、栄!変われ!」

「え、あ、うん...いいけど!」

「よし!」


 変わらなかったら、全ての怒りが俺にやってきそうだっての交換することにした。

 俺と森愛香と席を交換する。この事で、2番以降が森宮皇斗・宇佐見蒼・(池本栄)・森愛香・村田智恵から森宮皇斗・宇佐見蒼・森愛香・池本栄・村田智恵に変更された。


「───では、皆さん失敗したので津田信夫君最後の情報を」

 先生は、そう言って一度咳払いを挟む。


「情報⑤───」


 マスコット先生の口から放たれるのは、プライドの欠片も感じられないような言葉。やはり、驚くべき内容が公表されたのであった。


「───マスコット先生に賄賂を渡して生き残るようにしてもらっている」

『スクールダウト』

情報の公開される順番 津田信夫・森宮皇斗・宇佐見蒼・森愛香・池本栄・村田智恵

現在 津田信夫 情報⑤の開示





ペースとしては順調。康太はちょい不憫キャラを確立している...

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雨城蝶尾様が作ってくださいました。
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