表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

800/830

勇魔決戦 その㉒

 

「──〈三日月(クレッセント)斬り(スラッシュ)〉!」

 茉裕の放つ〈貫穿する暴風斬(センターオブジアース)〉──風の刃を、私は剣を振るうことで対処する。

 このくらいの攻撃なら、魔獣の森を抜けた私ならへっちゃらだ。


『問題は、どうやって茉裕に攻撃するかだな……』

 イマジナリー栄が、上空にいる茉裕のことを仰ぎながらどう倒すかを考えてくれている。

 そういう作戦を考えるのは苦手だから、こうしてイマジナリー栄がいてくれるのはありがたい。


『斬撃を飛ばす技は届きそうか?』

「──やってみる」

 斬撃を飛ばす技と言えば、前々から習得してたけどあまり使い道がなくて使わなかったこの技が最適だ。


「やっぱり智恵程度でもAランク魔法じゃ──」

「〈夕闇に溶ける幻影(アフターグロウ)〉!」

 茉裕の軽口を完全に無視して、私は茉裕の方へ斬撃を飛ばす。

 さっき私を襲った〈貫穿する暴風斬(センターオブジアース)〉は弧を描くように進んだけど、私の〈夕闇に溶ける幻影(アフターグロウ)〉は真っ直ぐに飛んでいく。


「──私の真似事のつもり?」

 茉裕はそう呆れたようにそう口にすると、横にゆっくりとスライドするように避ける。

 そのため、斬撃は茉裕のいた位置まで届くけれども誰にも当たることはなく天井に当たって消えた。


『これだけ距離があると避けられるか……』

 大量の攻撃の中に斬撃が混ざっていたら結果が変わってくるのかもしれないが、私はあまり飛び道具のような攻撃方法を持っていない。


「このままじゃ一方的に攻撃されちゃう」

『空を飛べる方法は無いのか?』

 イマジナリー栄にそう問われて、何とか空を飛ぶ方法を考える。


「スカイブーツ! ──は、壊れちゃったしなぁ……」

 鯀の討伐作戦の際に『剣聖』から借りたスカイブーツは、鯀との戦いの最中で壊れてしまった。

『剣聖』は壊れた靴の返却を求めなかったから持っているけど、スカイブーツはもうただのブーツになってしまっている。

 愛香なら壊れてないスカイブーツを持ってるかもしれないけど、今から探すのは難しいだろう。


「──方法、思いつかないかも」

『そうか……』

 イマジナリー栄は、顎に手を当てながら考えるような仕草を取る。私なら思いつかないことも、栄なら思いついてくれるかもしれない。


「──何をブツブツ言ってんのかわからないけど、容赦はしないわ。〈暴雷の雄叫び(サンダー・タイフーン)〉!〈大宙(スペース・)紅炎(プロミネンス)〉!」

 茉裕から放たれるのは2種類のAランク魔法。

 炎渦と雷渦の2つが二重螺旋構造を生み出しながら智恵の方へと迫ってくる。


『受けるのは無理だ、避けて』

「わかった!」

 栄の指示に瞬時に従い、私は迫り来る二属性の大渦を大きく飛んで回避する。

 火雷は地面にぶつかり大きな火花を散らした後、下層へ姿を消す。


「とりあえず避けれた……」

『智恵!油断するな!下からくる!』

「──ッ!」

 栄の叫ぶような声と共に、私の立つ廊下が揺れて温度を感じる。

 栄の方へ転げるように飛ぶと同時、先程まで私が立っていた床が崩れて大渦が天高く沸き上がる。


 ──栄がいなければ、死んでいた。

 自分の心臓が大きく跳ね上がっているのを感じる。


「栄、ありがとう……」

『俺は智恵の味方だ。危ないのを知らせるのは当たり前だろ』

 栄がそう口にして笑うので、私の笑顔も隠せなくなってしまう。


『──と、それより作戦を思いついた。智恵もCランク魔法なら使えるだろ?』

「うん。〈焔天の月(ルナ・イグナイト)〉を使うときとかに使用するし。でも、Cランク魔法で攻撃したって大してダメージにならないしさっきみたいに避けられちゃうよ?」

『んや、攻撃するわけじゃない。Cランクの風魔法があればなんとか浮けないかなって思ったんだ』

「成程。頑張ってみればいけるかも」


 ──皇斗は応龍との一騎打ちでCランク魔法〈泥土〉を足場にするという技を見せたが、地面に即席で作った足場を連続でジャンプするのは常人にできることではない。

 だからイマジナリーの栄は、より現実的な風魔法に頼ると言う方法を考えたのだった。


「──〈疾風〉!」

 私はそう口にして、自分の足元に向けて魔法を放つ。フワリと体が浮くような感覚がして、体を撫でるように空気が通る。


『どうだ?』

「行けそう──かも」

「揃いも揃って飛ぼうと画策してる見たいだけど、アホね」

 茉裕がそう口にすると同時、目の前から全てを飲み込むように炎の大渦が迫ってくる。


『智恵!』

 左右に回避は──いや、ダメ。後ろには雷の大渦も控えてる。左右に飛んでも、カバーされちゃう。なら──


「イチかバチか!〈疾風〉!」

 私は、足元に向けて〈疾風〉を放つ。重ね掛けした〈疾風〉は私の体重を軽々と持ち上げて宙へと投げる。


「──飛んだ!」

 まだ茉裕に届く距離ではないけれど、私は確かに宙へと飛んでいた。


 ──が、下から雷の大渦が迫ってくる。こっちを対処しなければ、私は雷に焼かれてしまうだろう。


「──よし。ここは!」

 そう口にして、大きく息を吸って剣を構える。そして──


「〈表裏一閃〉!」

 私は、雷の大渦──〈暴雷の雄叫び(サンダー・タイフーン)〉を一刀両断する。そして、地面に着地した。

 残るは〈大宙(スペース・)紅炎(プロミネンス)〉だけだが──、


「──〈流星斬り(メテオスラッシュ)〉!」

『この声は』

 教室で何度も聞いた声を耳にして、私と栄の2人は反応する。階段近くで戦っていた私達の元へ駆けつけたのは──


「──茉裕、絶対に逃がさないんだからッ!」

「──ッチ。しつこいなぁ、もうアンタの出る幕はないんだけど」


 ボロボロになりながらも剣を茉裕の方へ向けるのをやめない復讐心に燃える少女──秋元梨花であった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雨城蝶尾様が作ってくださいました。
hpx9a4r797mubp5h8ts3s8sdlk8_18vk_tn_go_1gqpt.gif
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ