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『森羅最強』森宮皇斗 その②

 

『森羅最強』森宮皇斗は、最も純粋な意味で、最も狭義の意味で「最強」だ。

 ジャンルを問わずある程度のことはできて、かつ勝利を確信しても慢心する心はない。それだけでなく、自分よりも弱き者──要するに、他の誰かを救う手を伸ばす際も限度を決めており他者が自分に依存することも許さない。かといって、他人ができないことを強要することはせず「絶対にできない」とわかりきっていれば彼は助け船を出し救う。


 最強という二文字は彼にこそ相応しく、まさしく彼を体現するものだった。

 彼が戦場に出れば百戦錬磨で、敗北を喫することはない。

 ──だからこそ、相手も同じ皇斗となると戦場に決着が付かない。


 皇斗vsブラック皇斗。

 最強とそのコピーの戦闘に、他社が入り込む隙が無い。

 もし入り込めば、それは足手まといになることは確実だろう。だって、弱点が無い皇斗に弱点を付与してしまうことになるのだから。


 ──が、皇斗は愛香を戦闘に引き入れた。


「蓮也はそこでただ見ているだけでいい。愛香が怪我をしたら回復魔法を頼む」

「わ、わかった」

 流石の蓮也も、自分が出ても歯が立たない事はわかっているのか素直に頷いた。そして、少し遠くに移動する。


「──それで、妾は貴様と協力して貴様の偽物を倒せばいいんだな?」

「そういうことだ。余と全く同じ実力を持ち、全く同じ思考回路をしている」

「成程、そりゃ相当厄介だな。面倒だし鬱陶しい。そして小賢しい」

「……概ね同意だ」

「ハッ」


 今がチャンスと言わんばかりに皇斗に対しての小言を口にする愛香を甘んじて受け入れる皇斗。

 2人は、武器を構えながらブラック皇斗を挟み込むようにして立つ。


「──愛香。今から余は余がブラック皇斗であったらどう動くかを考え、それを全て口に出す。過信し過ぎるな」

「安心しろ。妾は貴様の話などいつも話半分にしか聞いていない。それで、貴様がブラック皇斗であったらなんなんだ?」

「……本当に話半分にしか聴いてないんだな」

 これが真実であれば愛香から「話半分にしか聞いていない」と言う発言を引き出せないから、愛香もちゃんと話を聞いているのだろう。だから、皇斗は再三同じ説明をしないし、愛香も聞きはしない。


「──狙うなら、愛香だ」

 そう口にすると同時、ブラック皇斗が愛香の方へと駆け出す。それを追う形で、皇斗も動き出す。


「愛香が何を放っても避けられる。そして、その隙を狙って叩く」

「──ほう。どんな技を放っても避けられるとな」

「あぁ、だから連続行動しやすい技を──」

「ならば、貴様でさえ避けられないような大技を使うしかないなぁ!!」


 元気いっぱいの愛香ちゃんの暴走を止めることは、いくら天才の皇斗君でもできません!


「容赦はしない!貴様をこの技で屠ってやろう!〈森梟の(ペンタプリズム・)慧眼(プロヴィデンス)〉──!」

 愛香が放つ強力な一撃は、正面から走ってくるブラック皇斗へと過去最速で放たれる。


 ──が、ブラック皇斗はそれを見切って横に体を半歩分逸らすことで回避する。

 槍の長いリーチを生かした突き技が回避されて、愛香の間合いにブラック皇斗が闖入する。


「──避けろ」

「断る」

 皇斗の指示──いや、命令にも従わずに愛香はブラック皇斗と睨み合う。回避することは覚悟の上だったのか、愛香は即座に槍を引いて防御の体勢を取るが──


「──右腕を狙う!」

 愛香は現在、右手で槍を持っている。ならば、ブラック皇斗が右手を狙うのは当然だろう。

 ブラック皇斗は愛香の右腕の方へと手を伸ばし、関節を極めるようにして槍を手放すように仕向ける。


「──くっ!」

 愛香の腕から槍が落ちて、ブラック皇斗がそれを左足で蹴り飛ばした。

 丸腰となった愛香は、防御することもできず右腕の関節を破壊され──


「──右腕はくれてやる。だが、お前は逃がさない──ッ!」

 愛香は、残された左腕でブラック皇斗の腰にあった鞘から剣を引き抜こうとする。

 が、ブラック皇斗は素早く愛香の左腕を手刀で叩くことで粉砕した。愛香の体に自分の骨が砕ける音が響き、左手首が痛覚で支配される。


 ──愛香の両腕が粉砕された。


「ならば、残された足で──」

「愛香、避けろッ!」

 皇斗の叫び声のような命令が響くが、愛香が動き出すよりブラック皇斗の行動の方が一枚上手だった。

 愛香の腕を粉砕したブラック皇斗の手刀がそのまま愛香の腹部へと向けられ──



「──がはッ」


 貫通。


 愛香の背中から、ブラック皇斗の赤く染まった手が見えている。

 今の愛香に、これじゃレッド皇斗だな──などと、ブラックジョークを口にする余裕はない。変わりに──


「──掴まえた」

 勝ち誇ったような笑みを浮かべながら、愛香はそう口にする。関節の壊れた右手で、粉砕された左手で、しっかりとブラック皇斗の腕を固定する。


「──」

 ブラック皇斗が焦るようなそぶりを見せる。腕を引き抜こうにも引き抜けない現状に焦っているのだろう。

 必死の抵抗の末、ブラック皇斗はなんとか愛香の体から腕を引き抜く。が──


「──最強の座は譲れないが、最狂の座は譲れるかもな。予想外だった」

 そう口にして、皇斗がブラック皇斗の首を蹴り飛ばす。胴体から断裂したブラック皇斗の首は、そのまま蓮也の方へ転がっていった後に霧消していった。


「協力感謝する、〈超回復(マスターヒール)〉」


 ──皇斗vsブラック皇斗の、最強対最強の決戦は最恐及び最狂の乱入により皇斗の勝利で幕を降ろしたのだった。

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雨城蝶尾様が作ってくださいました。
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― 新着の感想 ―
ブラック皇斗、強かった。 がオリジナルには及ばんかった。 やはり模倣品ではオリジナルには勝てない!!!
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