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4月7日 その⑪

本日2話目。書いているのは昨日だから、実質3話目。

 

 俺は、メモをした紙を自らの懐に入れて生徒会室の外を出る。


「───なんだか、スカッとしたな」

 今日は、怒涛の1日だった。


 朝、智恵に誤解されて、その後に小寺真由美さんが目の前で死に、その犯人と疑われ、マスコット先生と対談し「デスゲーム」の核心に手をかざした。


「まだまだ謎は多い...もっと、頑張らないと」

 そう、まだデスゲームが始まって1週間なのだ。それなのに、これほどまでに話が進展してしまっている。


 もう、3人も死んでいるのだ。一週間で3人。早すぎる。


「それに、マスコット先生との話もかなりデスゲームの核心に近付いていたし...」

 デスゲームの終わりが近いのかと、考えるも卒業は3月の31日だ。月日が反転したってまだまだ卒業できないくらいだと言うのに。


「───毎日が充実していると言ったほうがいいのか...それとも、話の流れが早すぎると言えばいいのか...」

 俺は、そんな事を思いながら時計を見る。時刻は12時23分。デスゲームに参加している事を除けば、何一つ変なところは無い普通の日であった。


「───はぁ、暇だなぁ...」

 そんな事を呟きながら、俺は学校を散策する。教室に戻るつもりはなかったし、戻ってもいい事が無いのはわかっていた。


「───そうだ」

 俺は、スマホを開く。純介は、どこでゲームの残り参加者とポイントを見ていたのだろうか。


 聞きに行くのもいいが、教室に戻らなければならない。


「───って、教室の白板に投影されてたじゃん。でも、聞きに行くのも面倒だって、スマホがある!」

 流れるかのように会話が進んでいく。独り言なので当たり前だ。


「えっと、純介に連絡しよう」


 俺は、残りの人数とポイントをスクショで送ってもらうように純介に頼んだ。


 純介「いいよ」


 そうチャットが返ってくる。流石は、純介。既読が早い。


 そんな事を思っていると、写真が送られてきた。


 4池本栄  126pt

 6宇佐見蒼  14pt

 9菊池梨央   8pt

 11斉藤紬   4pt

 18津田信夫 26pt

 19東堂真胡  8pt

 22西村誠   6pt

 30村田智恵 12pt

 31森愛香  40pt

 32森宮皇斗 50pt


 人数は、10人に減っていた。小寺真由美は死亡した為。橋本遥はポイントが0になった為脱落してしまったようだ。


「───残り4人減れば第2ゲームの本戦か...」


 まだ『スクールダウト』と呼ばれるほど「ダウト」な要素はない。まだ、誰も(ダウト)に関連することはしていないのだ。


「個人情報の書いてある紙も嘘だとは言い難いしな...」

 本戦は、きっと予選とはガラリとルールが変わる。


「森宮皇斗と森愛香・津田信夫とは確実に戦うんだろうな。死にはしないけど、死にたくなる...ってマスコット先生は言ってたし...どんなゲームなんだろう...」

 俺は、そんな事を考える。予選の、勝ちは確定しているのだ。



 ───そして、そのまま学校中を散策して1日を終える。



 ***


「ただいまー」


 俺は、教室に戻らずに寮に戻った。


「あ、おかえり!」

 リビングから顔を覗かせたのは稜だった。


「栄、小寺さんは殺してないよな?」

「そう言ってるだろ?」

「だよな、やっぱ裕翔が言ってるのはデタラメだよな!」

「うん、そうだよ」


「よかった...ずっと、栄のことが不安だったんだ...栄は人を殺すような性格じゃないのに...生徒会な訳ないのにって!」

 稜はそう安堵する。


「小寺真由美さんの死亡原因は禁止行為だ。その禁止行為は、『時速40km以上で移動したら死亡』だってマスコット先生が俺にだけ特別教えてくれた」

「時速40km以上で移動?」


「そうらしい...え?」


 自分で言っていておかしいことに気付く。時速40kmを秒速に直すと40000/3600=11.11・・・となっていく。もちろん、単位はメートル毎秒だ。


「11.1m/秒で移動?」

「早い...早すぎる...50m走が4.5秒だよ...」


 人間が出せるスピードじゃないことが確かだ。ならば、どうして小寺真由美さんは禁止行為に引っかかったのか。


「栄、もしかして平均の速さじゃなくて瞬間の速さだったりするのかな?」


「あ、そうかもしれない...」

 それならば、納得がいく。それならば、時速40kmと言うスピードを出すのも可能だ。


「継続は難しくても、一瞬ならできる...ってことか...」

 加速した理由は俺らにはわからない。


「───でも、禁止行為が『◯から始まり◯で終わる言葉を言ったら死亡』みたいなのではないこともあるってのがわかった。これは有益な情報だよ!」

「そうだな。でも、そしたら生活の全てを気をつけないと...それに、今回みたいに無意識のうちに達成しちゃう可能性もあるし...」


 俺らはそんな事をブツブツ考える。まだまだ、謎は深まるばかりだった。


 まだまだ、謎が解明することなんてのはない。なにせ、デスゲームは始まったばかりなのだから。



 ───こうして、デスゲーム開始から最初の1週間が終わる。





 ───そして、4月8日の朝を迎える。本日は第2ゲーム『スクールダウト』の予選最終日だ。

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雨城蝶尾様が作ってくださいました。
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― 新着の感想 ―
[良い点] マスコット先生の王になる為の講義。 意外と勉強になりますね。 極論だけど一理はある。
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