閑話 茉裕と課題
時間は少し遡り、4月2日の深夜───。
「ふぅ...やっと、課題が終わった...」
そう言って、自分の個室を出たのはチームBの園田茉裕であった。
チームBは安土鈴華と園田茉裕、竹原美玲に三橋明里の4人チームだった。
「よぉ、遅かったじゃねぇか。茉裕」
「───あ、鈴華ちゃん。どうしたの?」
「お前、課題見せろ」
「え、ちょ、急に何?」
安土鈴華は、園田茉裕の肩に腕を回す。15cm以上もの身長差がある2人は、ここだけを見ると安土鈴華が園田茉裕を恐喝しているようにも見える。
───いや、実際今、鈴華は茉裕に「課題を見せろ」と恐喝しているのだが。
「課題を見せるのはだめだって...」
「いいから、見せろ」
鈴華は、持ち前の筋肉で茉裕からスマホを奪い取る。
「うわぁ、ちょ、ちょっとやめろよ!」
鈴華は、ロックが解除されていた茉裕のスマホを操作し課題を認知する。
「───よし、見せちゃいけないタイプの課題だったな!」
「ちょっと、よしじゃないよ!死んじゃうかもしれないんだよ!課題、見ないでよぉ!」
「よしよし、茉裕!見せてくれてありがとうな!代わりにオレの課題も見せてやるよ!」
鈴華は、茉裕に自分の課題を見せる。そこには「園田茉裕の課題達成を手伝え。園田茉裕の課題の内容を見てしまったら失敗とする。また、このメッセージを喋る見せるなどの方法で伝えた場合課題達成にはならない」と書かれていた。
「嘘───」
茉裕は、そこに書かれていた情報と、今行われた実状の矛盾に理解できなかった。
「なんで、なんで私の課題を見たの?」
「なんでって...そうしろって思ったから?」
「私の課題を見たら、鈴華ちゃんも私も課題達成できないんだよ?死んじゃうかもしれないんだよ!」
「大丈夫、死なない。これは、絶対的なことだ。オレはわかってる。信じろ」
鈴華は、そう言って茉裕の頭を擦る。
「わかんない...じゃない...死んじゃったら責任取ってよね!」
「茉裕が死ぬ時は、オレも死んでる。なにせ、オレも茉裕に課題を見せたからな!」
「───馬鹿ね...」
そう呟いたのは、茉裕だった。鈴華は、茉裕を抱きしめた。15cmある身長差が彼女達をカップルに見せていた。
鈴華は、茉裕を腕に含めてこう呟く。
「死ぬときは一緒だ、それに神もオレたちの味方だ」
そこにあるのは何なのだ?
愛カ?それとも───





