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冒険の始まり その③

 

 チュートリアルが終わったと同時、茉裕に襲いかかるのは、剣を武器にしている梨花であった。

 茉裕は、第6ゲーム『件の爆弾』の時の沙紀を彷彿とさせる鎌を持っている。


「襲いかかってくるとは思ったけど、まさか梨花が来るとは思わなかった。何か私に恨みとかあったっけ?」

「───ッ!このクソ野郎ッ!」


 梨花は、茉裕に操られていたである鈴華に恋人である拓人を殺されている。

 鈴華は栄がタイマンで戦って勝利を掴んだものの、茉裕はまだ生きている。

 だから、梨花は茉裕を殺そうと企んでいた。第7ゲームの途中では無理だったが、今回は殺害も可能だ。


 ならば、逃げられるよりも先に茉裕を殺す。


「死ね、茉裕ッ!」

「嫌よ」

 そんな言葉と同時、梨花の剣と茉裕の鎌がぶつかる。


 梨花は今日で初めて剣を握ったはず───それなのに、剣をある程度正確に振るうことができた。


「───早速、戦闘をするとは。若いから暴れたくなるのはいいですが、程々にしておいてくださいね」

「マスコット大先生」

「マスコット大先生ではありません、マスカット大臣です。それで、何かようですか?」

「マ、マスカット大臣。どうして梨花はああやって茉裕に普通に攻撃が出来ているの」

「教えてあげましょう。ここはゲームの世界。最初から剣の振り方はわかっているでしょう?照準を合わせて、攻撃を放てば攻撃になるんです。ガードもまた然り」

「あぁ...そういうこと」


 現実での戦闘経験がなくとも、ゲームの世界であれば戦うことが可能だ。このデスゲームでも、同じである。

「戦闘したことがない人にとっては有利ではあるが、余にとっては不利だな」

「安心してください。クリティカル等といった要素もありますから。森宮皇斗君や森愛香さんの才能を腐らせるつもりはございません」

「そうか。そうなると、リアルタイム制───ということだな?」

「そんな感じです」


 ───この世界での戦闘について。


 家庭用ゲーム『RPG 〜剣と魔法と古龍の世界〜』では、リアルタイム制の戦闘が用いられています。

 と、「リアルタイム制の戦闘」と言われてもわからない人がいるかもしれません。


 簡単に説明してしまえば、ターン制のように交互及び順番に行動して攻撃するドラクエやUNDERTALEのような戦闘方法ではなく、順番を待たずに好きなように行動できる龍が如くやモンハン・原神のような戦闘方法のことです。

 要するに、好きな時に隙なように動いて攻撃・回避・防御・逃亡ができる戦闘方法である。

 言ってしまえば、現実と変わりません。現実は、リアルタイム制の戦闘が行われていると言っても過言ではありません。


 ───以上、本ゲーム解説役のコンでした。


 コンによる、戦闘の説明が皆の脳内に垂れ流されながらも、梨花と茉裕の戦闘は続く。


「───おい、皇斗。参加しなくていいのか?」

 そう質問するのは、康太。どうやら、傍観に徹している皇斗にそう疑問に思ったようだった。


「ここからバラバラに動くだろうが、なんだかんだ言って出会うことは多そうだしな。この世界に慣れてからの方が得策だ。それに───」

「それに?」


「何をやっている、お前ら!こんなところで戦っていいと思っていいと思っているのか!その武器を早くしまえ!」

 2人の戦いを止めるために入ってきたのは、数人の重装歩兵。


「───ッチ、捕吏ね...」

「ちょっ、茉裕!逃げるなッ!」

「捕らえろ、捕らえろッ!」

 重装歩兵に捕らえられる梨花と、彼らから逃げていく茉裕。

 どうやら、王城の前で戦闘を行い始めた2人は捕吏に捕まってしまうようだった。


 国王陛下が連れてきた勇者様御一行であるから、流石に殺されるようなことはないだろう。

 だが、それなりの足止めはされそうである。


「───離して、離してッ」

「いいや、駄目だ!話は聞かせてもらう!」

 そう口にして、梨花だけが連れて行かれていく。


「ほら、君達も散った散った!」

 重装歩兵の1人にそう言われ、他のプレイヤーは、梨花を連れて行く重装歩兵から離れるように動く。


「皆さん、もう自由行動可能なのですから。早くプラム姫を救出しに動いたほうがいいんじゃないですか?」

 そう口にして、マスカット大臣は手を叩く。きっと、皆を急かしているのだろう。


「───茉裕も行っちゃったし、俺達は栄とプラム姫を救出するためにも、どこかで作戦会議でもするか?梨花だけを遅らせてスタートをさせるわけにもいかないし」

 栄がいないので、クラスの中心として機能し、皆にも認められている康太の提案に、皆は同意する。


「それじゃ、夕方になったらここに集合だ。こういうゲームなら、時間の概念もあるはずだし。それまでは、一回この都市を見て回ろう」

 康太がそう口にすると、自由行動の時間が開始する。


「それじゃ、オレ達も行こう」

「あぁ、そうだな」

「この世界のこと、もっと知らないと」

「栄の情報とかも集めたいしね」



 ───そして、智恵に健吾と稜・純介と紬・美緒・梨央の7人も行動するのであった。


 この自由行動が、この世界での初の自主的な行為。この行動を持ってして、冒険が始まっていくのであった───。

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雨城蝶尾様が作ってくださいました。
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― 新着の感想 ―
栄がいないといまひとつ信用して良いのかどうか微妙なキャラになりつつある康太がリーダーになるか... あの裕翔となぜか仲が良かった康太を他のキャラがどう見ているのか とくに禍根もなさそうな雰囲気だけど
龍が如く形式か、 ターン制は小説だと表現が微妙になりますしね。 茉裕も相変わらずの糞っぷりでブレませんね。
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