6月20日 その⑦
【訂正】
ルールに「8.3試合目は、50音のカード(46枚)を2セット用意し、計100枚でしりとりを行う」という文言がありましたが、こちらのミスで実際には「8.3試合目は、50音のカード(46枚)を2セット用意し、計92枚でしりとりを行う」となります。数学は苦手です。申し訳ありません。
EXゲーム『仮名奪取クイズ』のルール
1.参加者は両チーム2名ずつの全4人。
2.試合は2点先取の最高3試合とする。1試合目・2試合目は両チーム1名ずつの出場で、3試合目に続いた場合は全員が出場する。
3.本ゲームでは50音(46文字)と、濁点・半濁点・拗音・長音の書かれた計50枚のカードを使用する。
4.1試合目は、50枚のカードでカルタを行う。カードの枚数が多かった人に1勝。
5.2試合目は、取ったカードのみの文字が使える状態でお互いにクイズを出し合う。相手が答えられない・不正解となった場合1勝。
6.濁点・半濁点・拗音のカードは50音の文字に加えることが可能。例:「か」+「゛」=「が」、「や」+「拗音」=「ゃ」など
7.ゲーム性の為、「・(トン)」と「-(ツー)」を使用したモールス信号は禁止する。
8.3試合目は、50音のカード(46枚)を2セット用意し、計92枚でしりとりを行う。
9.お互いに手元にあるカードを出し合って、しりとりを続ける。先に手札が無くなったほうが勝利する。出されたカードは相手の手札になる。
10.言葉が繋げなくなったり、「ん」で終わったら相手が勝利する。
11.2点先取した方が勝利し、もう片方のチームは敗北となる。敗北となったチームは、死亡する。
───純介が「ほ」と「ホ」という音の高低を組み合わせることで、なんとか解答することに成功した。
言語や信号というのは、伝わらなければ意味はないが、幸いにも純介の戦っている相手はモールス信号の達人であるであった。深海ケ原牡丹からして見れば、伝わりたくなくても伝わってしまうだろう。
「───それでは、西森純介君。次はアナタが問題を出す番です」
マスコット大先生は、そう口にする。
「ホホほホほ ホほほホホ ほほホ ほホほほ ほホほホほ ホホほホほ ホホ ほほホ ホホほホ ほホほホほ ホホほホほ ほほ ほホホ ほホほホほ ホホほほ ほほホホほ ほホほホホ ほほ ほほホホホ ホホホホホ ホホホホホ ほホホホホ ホホほホ ほホほホほ ほホほほ ほほほ ほほホホホ ホホホホホ ホホホホホ ほほほほほ ホホほホ ほホほホほ ホほほホ ほホほホホ ほほ ホホホ ほホほホほ ホほホほホ ほホ ほホほホホ ほホ ホほ ホほホほホ ほほほホ ホホほホほ ほホホ ほホほほ ほほ ホほホほホ ホほホ ほホ ホホ ホホほホほ ほホほほほ ほほホホ ホホほほ ホホほホほ ほほ ホホ ほほホ ホホほ ホほホほほ ほほ ほホホ ほほほホ ほほ ホほほホ ほホほホほ ほホほほ ほほ ほほホホ ホほ ほホ ほほホほほ ホほホホほ ほホホホ ホホホ ほホほホほ ホほホほホ ほホ ほほホほほ ほほホ ホホほホほ ほほ ほほホホ ホほほほホ ほホ ホホほホほ ホホ ほほホ ほホほホホ ほほ ホホホホ ホほ ホほホホホ ほホほ ホほホほホ ほホ(週刊少年ジャンプで2001年から2005年まで連載されていた作者が澤井啓夫の不条理ギャグ漫画のタイトルを連載当時の名称で答えなさい)」
「───栄、わかる?」
「ううん。純介のモールス信号が早すぎてあまり聞き取れなかった」
「聞き取れたところで、一般人じゃ解けるような問題じゃないわよ。知識が無くても解けるのは、この状況だけ...」
俺と、俺の腕の中にいる智恵の2人が会話をしていると、それに乱入してくるのは九条撫子だった。
九条撫子は、半分諦めたようなその試合を眺めていた。
「深海ケ原牡丹さん。シンキングタイムは10秒です」
マスコット大先生は、そう告げる。そして、マスコット大先生のカウントダウンはあっという間に過ぎ去っていき───。
「3」
「2」
「1」
「×゛×゛×゛ー×゛・×゛ー×゛×゛」
「───ッ!」
「2試合目、勝者!西森純介!」
深海ケ原牡丹が、唯一使用できない「ほ」を───正確には、それに濁点を付けた「ぼ」を答えたので、深海ケ原牡丹は敗退する。
「───TAHWたし負けましたWHAT」
「勝った」
───純介の、勝利。
やはり、勝利できない体質の深海ケ原牡丹は、こんなに有利な状況でさえも勝利できないのだ。
彼女の体質は本物。彼女は、死ぬまで勝つことはできない。
「-・・- -・-- ・・-・ ・-- ・--・ ・-・-- ・-・・ ・-・ --・-・ ・- ・-・ --・--」
深海ケ原牡丹は、いつも通りのモールス信号に早変わり。どうやら、これがデフォルトなようだった。
それにしても、モールス信号の方が発音が流暢だとは、変な話だ。
「───これで、3試合目が確定ってわけね」
「そういうことですね。3試合目は、お二方がペアになって戦ってもらいます」
要するに、智恵と純介。九条撫子と深海ケ原牡丹───ということだろう。
相手に、深海ケ原牡丹がいる───ということは、それ則ち負けることがないのだ。
引き分け以上は確定だから、もう死ぬことはない。
「智恵、もう安心していいよ。次のゲームでヘマをやっても、死ぬことはないから」
「ん。わかった」
「───クッソ、不利になったのは私達ってことね...」
九条撫子は、そんなことを口にして顔をしかめる。現在、深海ケ原牡丹の体質からほぼ確実に勝利することができない九条撫子の方が、智恵や純介よりもピンチなのである。
良くて引き分け悪くて敗北。敗北の可能性の方が大いにある状態の中で、九条撫子は純介や智恵と戦わなければならない。少し可哀想な気もするが、勝負を挑んできたのはそちらだ。
死んでも、文句は言わないでもらいたい。
8.3試合目は、50音のカード(46枚)を2セット用意し、計92枚でしりとりを行う。
9.お互いに手元にあるカードを出し合って、しりとりを続ける。先に手札が無くなったほうが勝利する。出されたカードは相手の手札になる。
10.言葉が繋げなくなったり、「ん」で終わったら相手が勝利する。
「さてさて。それでは、3試合目に入りましょう」
そう口にすると、マスコット大先生は先程使用したカルタの中から「濁音」「半濁音」「長音」「拗音」を抜き出した。
そして、ポケットからもう一つ同じカルタを取り出し、そこからも同じカードを抜いたのだった。
「それでは、両チームにこの『あ』から『ん』までが1文字つつあるカードを渡します」
マスコット大先生は、そんなことを口にしてカードの配布を行う。
「これから、この46枚でお互いにしりとりをしていただきます。使用した手札は、相手に渡す。先に手札が無くなったら勝利。言葉を繋げなかったり、『ん』で終わったら負け───要するに、相手の勝利となります」
マスコット大先生が、そう簡単にルールを説明を行う。
「それでは、生徒会側から始めてください。最初のカードのみ、こちらから指定します。生徒会の『い』から行きましょう」
マスコット大先生はそう口にして、先ほど抜いた濁点のカードを出す。見ようと思えば「゛」が「い」に見えなくもないが、完全にゴリ押し。
まぁ、要するに最初だけ代理で置くような形であろう。
「───しょうがない、わね」
九条撫子は、覚悟を決めたような顔で「゛」の隣に「え」と「い」を並べる。
「遺影」
「では、西森純介君か村田智恵さん。『え』のカードを回収して、『い』から始めてください」
「わかりました」
そして、純介は「え」を回収して手持ちの札を並べる。それは───
「いろはにほへとちりぬるをわかよたれそつなねらむういのおくやまけふこえてあさきゆめみしえひもせす」
「───やはり」
純介は、1ターン目で「ん」以外の全てのカードを消費することに成功したのだった。
その時、俺は九条撫子・純介両名の作戦に気がついた。
「隙」
「菌」
「西森純介・村田智恵ペアはカードを全て減らしたので勝利!そして、最後が『ん』で終わったので敗北!要するに、両者引き分けです!」
───そんなこんなで、1勝1敗1分けという、結果的に誰の勝利でもない形でEXゲーム『仮名奪取クイズ』は幕を閉じたのだった。
結果的に、深海ケ原牡丹は関わった試合において、一度も勝利していなかった。
深海ケ原牡丹の戦績
2試合目 敗北
3試合目 引き分け
EXゲーム全体 引き分け
色々あったけどキレイな終わり方。
チャンチャン