6月20日 その③
「EXゲーム『仮名奪取クイズ』のルールは、以下の通りです!」
EXゲーム『仮名奪取クイズ』のルール
1.参加者は両チーム2名ずつの全4人。
2.試合は2点先取の最高3試合とする。1試合目・2試合目は両チーム1名ずつの出場で、3試合目に続いた場合は全員が出場する。
3.本ゲームでは50音(46文字)と、濁点・半濁点・拗音・長音の書かれた計50枚のカードを使用する。
4.1試合目は、50枚のカードでカルタを行う。カードの枚数が多かった人に1勝。
5.2試合目は、取ったカードのみの文字が使える状態でお互いにクイズを出し合う。相手が答えられない・不正解となった場合1勝。
6.濁点・半濁点・拗音のカードは50音の文字に加えることが可能。例:「か」+「゛」=「が」、「や」+「拗音」=「ゃ」など
7.ゲーム性の為、「・(トン)」と「-(ツー)」を使用したモールス信号は禁止する。
8.3試合目は、50音のカード(46枚)を2セット用意し、計92枚でしりとりを行う。
9.お互いに手元にあるカードを出し合って、しりとりを続ける。先に手札が無くなったほうが勝利する。出されたカードは相手の手札になる。
10.言葉が繋げなくなったり、「ん」で終わったら相手が勝利する。
11.2点先取した方が勝利し、もう片方のチームは敗北となる。敗北となったチームは、死亡する。
「これは...」
どこからともなく現れたマスコット大先生が、いつものようにどこからともなく取り出したのは、EXゲーム『仮名奪取クイズ』のルールであった。
どうやら、最高で3回戦まで行われるゲームで、俺に参加する資格はなさそうだった。
「これだったら、僕も智恵もできるかも」
そう口にする純介。智恵と純介の2人でのプレイ───って聴くと、少し純介に嫉妬してしまうけど仕方ない。
「俺は人の為になるソファでも座って見てるかな」
俺はそんなことを言いながら、押入れの中から巨大ビーズソファを取り出した。すると───
「あ、池本栄君。用意してくれてありがとうございます。使わせていただきますね」
「おい、俺のだぞ」
「知りませんよ。私は父親ですよ!ここまで誰が育ててあげたと思ってるんですか!」
「大部分は浩一おじさんだよ!」
俺はそうツッコミながら、もう1つ押入れの中から取り出してきた。デスゲームが今から始まるというのに、マスコット大先生はふざけていた。
そして、観客である俺がソファに座った───いや、横になるが正しいのか?
とにかく、腰掛けた状態になったらマスコット大先生も俺と同じような状態で進行を開始した。
「デスゲームと言えども、EXゲームでカードゲームなので、会場の移動などはございません。ここで行います。これは、深海ケ原牡丹さんがデスゲームに参加していた当時に開発したゲーム。そして、彼女から言語を奪い取ったゲームとなっております」
「・-・ ・--・ ・-・・ --・-・ ・- --・-」
「えぇ、そうね」
マスコット大先生の司会進行に、そんな反応を見せる深海ケ原牡丹と九条撫子。
どうやら、ゲームの発明者が目の前にはいるようだった。
「ちょっとちょっと、ゲームの開発者がいるってこっちにすごい不利じゃない?」
すかさずそう割って入るのは純介だった。純介だって、ここでは死にたくないからこんな反応をしているのだろう。
「大丈夫です。ゲームの開発者が、一概にそのゲームのプロというわけではございません。実際、深海ケ原牡丹さんはそのゲームに大敗して、言葉を失っておりますから」
「---- ・・- --・-・ ・-・-- -・-・ -・・ ・-・-・ ---- ・・ ・--- --・-・ -- ・・- --・-・ ・-・-- ・-・ ・- ・・-- -・・・ -・- -・ --・-・ ・-・・ ・・ -・-- ・・ ・--・- - -・-・ -・・- -・-- -・ ・-・・ ・・・」
「そうだとしても...」
「ええい、文句は言わせません!まずは1試合目から行きますよ!誰が出ますか?」
マスコット大先生はそう口にして、出場メンバーを決めさせる。1試合目と2試合目は、出れるメンバーが片方ずつだから、誰を出すかによって勝敗が変わってくるだろう。
「智恵、どうする?」
「えっと...私、多分2試合目のクイズは駄目そうだし、1試合目のカルタに出てもいいかな?」
「もちろん!」
「───って、結局私の相手は智恵になるの?」
「あ...」
智恵のことを、鋭い視線で睨むのは、どうやら智恵と同じく1試合目に出場することになった九条撫子であった。
九条撫子は、智恵に対して「七つの大罪を全て宿している」だとか言って殺そうとしていた。
きっと、今回の2人の襲撃はそれが目的なのだろう。純介は、深海ケ原牡丹とラストバトル『ジ・エンド』内で行われたEXゲーム『モールスしりとり』での因縁があるようで、そのために巻き込まれたのだろう。
「カルタですし、床で行いましょう」
そう口にすると、マスコット大先生は床に50音の書かれた46枚のカードと、濁音・半濁音・拗音・長音の書かれた4枚のカード、計50枚をランダムに撒いていった。
───EXゲーム『仮名奪取クイズ』1試合目。
村田智恵と九条撫子の勝負は、開始する───。
人の為になるソファ。
元ネタはもちろん人をダメにするソファー