閑話 平塚ここあの過去
平塚ここあ───あたしは生まれつき背が小さかった。
生まれた時の女子の平均は48.5cmなのに、わたしは39cmと10cm近く差があった。
そのまま、あたしの背がグングン伸びるということもなかった。
小学4年生の頃にやっと120cmを超えて、高3で143cmだったのだ。
あたしは、その身長が自分のコンプレックスだった。
周りから「小さい」と嘲笑うような視線が送られてきたのは、日常茶飯事だった。
だからと言って、あたしは諦めなかった。
あたしは背が小さい。その事実は変わらない。
───ならば、あたし以外に低身長で悩む人が少なくなればいい。そう考えたのだ。
安直なあたしは、医者を目指すことにした。医者を目指すことを決めたのは、小学3年生だった。
あたしは、中学受験を頑張った。時には、自分の体重の4分の1くらいの重さのリュックを背負って塾に通った。
その甲斐あって、あたしは地元の静岡で最も頭のいい私立中学校に入学することができた。
静岡で一番偏差値の高い中学校に入学したからって、あたしは諦めなかった。ずっと、勉強を続けた。
少しでも背を伸ばすために、睡眠の時間は欠かさなかった。
勉学を行うにおいて、睡眠が最も大事だ。テスト前に徹夜で勉強するよりも、毎日コツコツ勉強する方が成績はあがるのだ。
そして、学力をキープし中学での学年一位を保守したまま、中学を首席で卒業した。
そのまま、高校は連絡進学であがりそこでも学年一位を保ち続けた。
あたしは、学校内で「アルファの獅子」と呼ばれていたらしい。
あたしをそう呼ぶのは同学年の男子達だった。それは、畏敬の念と若干の軽蔑が含まれていた。
「アルファの獅子」が表しているのはしし座のα星。固有名はレグルスだ。
レグルスの別名は「小さな王」で、永年学年一位であるあたしを「王」と例え、伸びない背から「小さな」という形容詞を付けた。
他にも「ミルククラウン」などと呼ばれていたのだが、あまり気にすることはなかった。
そして、高校2年生のある日。あたしに一枚の封筒がやってきた。これは、学校で個別に貰った手紙だった。
Dear平塚ここあ
素晴らしき才能を持つ皆様、お元気にしていますでしょうか?今から
言及致しますのは、あなた達の18歳の過ごし方でございます。
1年間、私達の運営する「帝国大学附属高校」で活動するというプログラ
ムです。このプログラムに参加して卒業すると、大学には「帝国大学」
に通うことが可能です。高大の一貫というわけです。是非とも、
参加していただけないでしょうか。拒否するのであれば、断ってもかまいませ
ん。ですが、勧誘のチャンスは一度きりとなります。是非とも、参
加して頂きたいのです。プログラムの内容は、参加者にのみ、後日詳
しく伝える旨のメールを送ります。プログラムの参加者は、以下の電話番号
または、メールアドレスにまでご連絡ください。なお、参加しない方はメッ
セージ等は不要です。他にも、ご質問等ございましたら、メールに連絡をな
んなりとしてください。皆様のご連絡を、私達はお待ちしております。これ
からの学生生活に幸あれ。
電話番号 0○0ー○○○○ー××××
Gmail ??????????????.com
帝国大学は、今日本で一番頭がいい大学と言われており「帝国大学医学部」───略して「帝大医学部」もかなりの秀才が集まる学部だった。
「あたし...これに応募したい!」
あたしは、両親に頼み込んだ。両親は、快諾してくれた。
───この時、あたしは知らなかった。この手紙を縦に見ると「De素言1ムに参ん加しまセんか」───すなわち、「デスゲイムにさんかしませんか」になり、実際にデスゲームに巻き込まれることになるなんて。
手紙の部分、スマホで閲覧している方は画面を横にしてください。
そうすれば、表記通りになります。





