6月19日 その⑭
───『無事故無違反サイコパス』細田歌穂vs『操られ人形』綿野沙紀。
勝者:綿野沙紀
嘘、どうして...どうしてこのアタシが負けた?
1話前まではまだ勝ち目がありそうだったのに。なんだこの急展開。
まさか、昨日の分の書き溜めを投稿し忘れて展開が飛んでいる?おい、8月17日分の更新サボんな、花浅葱!いない読者が待ってるぞ!
それともあれか?しおりのアプデの影響で、前話を読んでないけど間違えて開いてしおりが移動したのに気付かず前話を読み飛ばしてるとかか?!いや、そんなことはないなぁ!
「はぁ...はぁ...私をここまで追い詰めるとは...歌穂も随分と強キャラに成り上がったじゃない。でも、敵キャラ補正のかかっている、今の私にゃ越えられない」
沙紀はそう口にして、動きの止まった歌穂の持つピッケルを取り返す。沙紀が握った部分は、ベッタリと血がつく。
そのピッケルの汚れは、沙紀のウォーミングアップの過酷さを語っていた。
───と、その時。
「稜ォォォォォォォォう!俺はここだぁぁぁぁぁぁぁ!」
そんな、聞き覚えのありすぎる一人称視点の声が、空から響き渡る。動けぬ歌穂はその声を耳に収めるだけで、動ける沙紀はその声の方向を、声は咆哮を、しっかりと聞き分け上を向く。
「───どうやら、ウォーミングアップが終わって本番が呼んでいるみたい。アナタはここで大人しくしてて。私はウォーミングアップからウォーキングアップ。上を向いて目を剥いて歩こう」
そう口にして、ピッケルを奪い取った沙紀はその場から姿を消し、何故か空から聴こえた栄の声を追いかけるように移動していった。
───そして森林の中、一人で動けなくなった歌穂は思案する。
マズい、この状況は非常にマズい。
このまま、沙紀に逃げられたらアタシは信夫の二の舞いになっちゃう。そうなったら、おしまいよ。
どうにか、今から3時間経過するまでに、沙紀を見つけてタッチしないと。
幸い、さっきの戦闘でそれなりにダメージを与えることができたから、沙紀にはほとんど体力は残っていないかもしれないけれど、このまま失踪されちゃ困る。
───って、沙紀は空から聴こえた栄の声を追っていたような。
何が目的なのかしら。アタシを殺すチャンスだったのに殺さないだなんて。
アタシの命なんかよりも、栄の命を刈り取る方が優先事項が高いということかしら。
「多分そう...っていうか、絶対にそう...」
生徒会にとって、自分はそこまで低く見積もられているのだろうか───などと思ってしまう。
でもまぁ、それで命を救われたのだから少しは感謝しなければならないのかもしれない。
「まぁ、栄の活躍の為にアタシの戦闘が一変するのはごめんなんだけど...」
今回のサブタイトルは「その⑭」ではなく「その⑮」の方がいいのではないか。アタシの活躍を、『無事故無違反サイコパス』と沙紀に呼ばれて「それならアンタは『操られ人形』ね」などと煽り返したその会話を、イキイキしていた自分の戦闘を伝えたいのに、それを許さないとは何事だ、と抗議したいのだが、それを誰にしたらいいのかは知らない。
「マスコット大先生め...カットするように仕向けやがったな...」
休みなんて、台風7号による計画運休か───などとツッコみたくなるが、1週間後にはこんな思考も意味不明になることを知って、苛立ちが生まれる。
わざわざ4時に予約投稿しているんだから、17日には書き終わってるはず───ってか、前話についた感想の返信に今話の投稿日が書かれているってことはその前日の16日には書き終わって予約投稿を終わらせて安心しているはずだ。
───って、そもそもこんなメタくていいのだろうか。
「ヌルフフフ...色々と大変そうですね」
「殺───すぞ!マスコット大先生」
「ひどい!」
歌穂のところに現れたのは、神出鬼没の被り物をした人物───その正体は池本栄の父親であるマスコット大先生であった。
「何?アタシを嘲笑いに来たの?」
「はい!」
「ひどい!」
「だって、暇ですし。それに、今回色々と崩壊しているので私が直さないといけないんですよ」
「はぁ...」
「全く、ひどい話ですよね。あ、活躍をカットしたのはごめんなさい」
「あ、やっぱり犯人はマスコット大先生だったんですね」
「はい、最終決戦も近いのに、こんな戦闘で時間食ってちゃいけないんですよ。だってのに、結局こんな話に1話使ってしまいました。このままのペースじゃ間に合いません」
「え、何に?」
「サブタイトルの表示ってコードの都合上『その㊿』までしか出せないんですよ。だから、それまでに間に合わないなって」
「そんな長引く予定なんですか?」
「はい。色々とカットしたほうがいいですかね...」
「えぇ...別に好きにしたらいいんじゃないですか?」
「あ、スネてる。ごめんなさいね、次の活躍の場はカットしませんから」
「はいはい、そうですか」
そんなことを口にしていると、ドサリと歌穂の体が地面に落ちる。どうやら、「6.時限爆弾オニに触れられた人物は、5分間その場から動けなくなる」という縛りによる拘束が終わったようだった。
「───と、雑談タイムはこれで終わりです。それでは、また」
そう口にして、マスコット大先生は第6ゲーム『件の爆弾』のデスゲーム会場から、四次元へと戻る。
「───どうだった?朗様」
「いや、別に。しっかりと、正しい方へ進んでいると思いますよ。人間甘言唯々諾々君」
四次元に戻ったマスコット大先生───池本朗にそう声をかけるのは人間甘言唯々諾々であった。
「そうか。心配はいらなそうだな?あの怪鳥は───マスコッ鳥大先生は大丈夫そうだということだな?」
「はい、大丈夫です。一瞬で世界を滅ぼすようなことはしないと思いますよ。私の力を与えると同時に、私の力で制御しておりますから」
「そうか。それであれば安心だな。だが、ゲームが───朗様の目的が崩壊しかけた時は、俺を呼んでください。どの三次元にいようと駆けつけます」
「あぁ、そう信じてるよ」
そう口にした人間甘言唯々諾々は、四次元から姿を消してまた別の三次元へと移動していった。
───忘れ去られた歌穂は、その後に空間が割れるような音を聞き、そちらになにか手がかりがあるのではないかと動き出していた。
最終決戦に参加するメンバーは、着実に揃っている。
───それでは、最後の参加者を迎えに行こう。
【事後報告/事故報告】
めちゃめちゃメタネタ注意