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6月16日 その①

 

 デスゲームが無い日の流れは早く、すぐに14日・15日は過ぎ去り、6月16日になってしまう。


「さぁ、皆さん。本日は皆さんと個人面談を行いたいと思っています」

 マスコット大先生が、ホームルームの際にそう口にする。


 個人面談。

 それは、一昨日───6月14日に、俺と愛香で押しかけた時に「やる」と言っていたものだ。


「個人面談?俺達はここさえ生き延びれば帝国大学に行けることは決定してるのに何を話し合うんですか?」

 康太が、マスコット大先生にそう質問する。実際、このデスゲームを生き延びさえすれば俺達は帝国大学に入学できる───とされている。


 マスコット大先生が、校則でそう記している───というか、デスゲームへの参加の手紙でその旨が書かれていた以上、守られるべき約束だろう。


「平等」を第一に掲げているマスコット大先生であるから、ここらへんでホラを吹くとは思えなかった。


「いい質問ですね。中村康太君。確かに皆さんはこのデスゲームを生き延びることさえできれば、帝国大学に入学できます。言わば、このデスゲーム自体が入試であると言っても過言ではありませんね。とまぁ、そんなことはどうでもよく。本日、皆さんとお話したいのは皆さん自身についてのことです。私は皆さんと同じ───いや、皆さん以上の天才ですが、真の天才と呼べるだけの才能を持っておりますがね。皆さんの心の奥底で感じていることを正確にわかっているわけではないんですよ。それに、色々なことができると言っても全知全能な訳では無いですし」

 マスコット大先生は、そう語る。


 確かに、四次元云々などのデスゲーム運営のパワーを見ると、並々ならぬ力を持っていることもわかる。

「ですので、本日は皆さんの話を聴きたいんです。こちらから、何個か質問しますのでそれに答えてくれれば」

「それに、何の意味があるんですか?」


 そう質問するのは誠であった。

「意味───ですか。そうですね...今後、皆さんに真摯に向き合うためにも必要なことだと思いまして。それに、どの学校でも面談はあるでしょう?先生は皆さんの先生なのですから、皆さんのことを知りたいと思うのは当然です」


 マスコット大先生は、そう語る。本当に知りたいと思っているのかはわからない。

 そもそも、マスコット大先生に「本心」や「真意」があるかどうかすら怪しいのだ。行き当たりばったりでその場しのぎで行動して発言している可能性だって十分にあり得る。


「他人とは解り会えないと解りきっている皆さんのことを解りたいのです。分からず屋だと罵っても構いませんが、私は皆さんの話を聞きますからね。ということで、出席番号順に私と隣の教室へ行きましょう」


 ───とのことで、最初に俺達のいる『3-Α』の隣にある空き教室へ連れて行かれたのは梨花だった。


 ***


「───さて、秋元梨花さん。面談です」

「別に面談は構いませんけど、他の人にこれ以上質問をさせない───みたいな感じで教室を出てきたんですか?」

「面倒だったからです」

「面倒って、えぇ...」

「それに、面談のことを面談で質問されようと私は構わないと思っています。それで、納得してもらえるかは別ですけれども」


 マスコット大先生はそう語り、梨花に椅子に座るように促す。

「面談は今日で終わらしたいですし、30人弱いるのでテキパキ進めましょう。早速、質問させてください。アナタは本当に、柏木拓人君のことを愛してますか?」


 マスコット大先生の質問に、一瞬眉をひそめた梨花は「当たり前じゃない」と答えるのだった。


 ***


 教室に戻ってきた梨花は、どこかゲッソリしていた。

「鈴華、次」


 梨花は、鈴華に対してそう声をかける。俺の左隣である鈴華は「応」と返事をすると、椅子から立ち上がり教室から出ていく。

「面談、どうだった?」


 俺は、梨花が鈴華への声かけのために近くまで来ていたので折角だからそう声をかけた。

「───別に。質問の内容は話さないけど、色々と性格悪いわよ」

「まぁ、マスコット大先生だからな」

「アタシだって、マスコット大先生の性格が悪いことくらいわかってるわよ。『友情の天秤』なんていうお手軽友情崩壊ゲームを思いついちゃうくらいの奴なんだから。栄の想像する、10倍は性格悪いわよ。今日のマスコット大先生は」

 梨花が、そう教えてくれる。彼女は、マスコット大先生の名前を出す時に少し嫌な顔をしていた。


 一体、どんな面談が行われているのだろうか。俺には、皆目検討もつかない。


 ***


「───では、鈴華さん。最後の質問です」

「とっととしろ、クソ教師」


 鈴華は、これまでの質問に苛立ちながら返事をする。罵倒されたマスコット大先生は、微塵も気にしていないようだった。


「園田茉裕さんは生徒会です。それで尚、アナタは園田茉裕さんへの絶対的で妄信的な博愛の念を貫き通しますか?」


 マスコット大先生の質問に、鈴華は即座に「もちろんだ」と答える。

 鈴華は、この学園に入ってすぐに茉裕に操られていた。


 ───知っての通り彼女こそ、現在3人存在している茉裕の操り人形の2人目なのである。

茉裕の操り人形

1人目 綿野沙紀

2人目 安土鈴華

3人目 ?(作中表記"彼")


別に、3人目は隠すほどでもないです。もうその描写はありますし。

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雨城蝶尾様が作ってくださいました。
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― 新着の感想 ―
[良い点] 個人面談。 案の定、最悪のようですね。 確かにマスコット大先生は性格悪い。 この面談も結局は彼の遊びなんですかね?
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