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6月11日 その㉒

 

 斯くした理由があって、チーム1は『友情の天秤』をクリアする。

 そして、教室に戻ってきたのは鈴華と愛香のツートップだけであった。


「はい、2人共。お疲れ様です」

 マスコット大先生は、チーム1の皆にそう口にする。俺達は、返ってきた皆を見て色々と疑問に思う。


「あれ...鈴華と愛香だけ?」

 教室に戻ってきたのは、9人いたはずなのに2人だけ。他の7人はどこに行ってしまったのだろうか。


「歌穂と美玲が毒に侵され、奏汰は爆発に巻き込まれたから保健室だ」

「───え?」

 俺は、愛香の口から出てきたその衝撃的な発言にビックリしすぎて思わず固まってしまった。


 俺達が受けた『友情の天秤』には毒も爆弾も無かったはずである。それなのに、どうして毒や爆発なんか出てくるのだろうか。


「ま、まぁ。全員生きてるんだな?」

「何を言っておる、あのゲームは誰か一人を殺さないと出れないんだろう?」

「───」

「殺した。田口真紀を殺害して、妾達8人は外に出た」

「───そうか」


 俺は、愛香達が真紀を殺害したという選択をしたと聴いて少し悲しくなる。俺達と、皇斗のチームは誰も死なずに───正確には、マスコット代先生を殺すことで抜け出せたが、愛香達は気付かなかったようだった。


「───と、栄。生きていたのか?」

「え?」

「このゲーム、ルールを又聞きしてから死んだと思っていたよ。栄ならば死んでしまうだろうな───と。ッチ」

「え、え、今なんで舌打ちをした?」

「栄が死ぬという予想が外れたからだ」

「俺達のチームは誰一人として死んでいないんだから、喜ぶべきでは?」

「───は?誰も死んでいないだと?」


 俺は、愛香と鈴華の2人にマスコット代先生を殺せば外に出られる───という、攻略方法を伝えた。

 すると、鈴華は「やられた」と参ったような顔をしていた。愛香は、いつもと変わらず涼しい顔をしていた。


「ほう、ルールにそんな記載があったとはな」

「読んでないのか?」

「読んでいない。ゴミ共が群がっていたから見る気が失せた」

「おいおい...」

 愛香であれば、5分もかからず見抜けていただろうに、きっと敗因は無理だったのはそこだろう。


「───んで、こっちも気になるんだけど。毒や爆発ってなんなんだ?」

 俺の質問に、愛香は答えてくれなかったけれど、鈴華が代わりに武勇伝的な形で離してくれた。


「───蛇神ナーガ?そんなのが...」

「十分非現実的で非合理的だが、過去にこっくりさんの例もある。マスコット大先生が予め用意していたと考えると納得できそうだな」

 皇斗がそう口にする。彼は天才だが、己の知識に囚われているわけではない。

 彼は、天才であり尚且つ非現実的事象に臨機応変に対応できるのだ。


「マスコット、関与していたのか?」

「さぁ?どうでしょう?」

 マスコット大先生は、被り物の表情を動かさずとも、少しニヤついたような口調でそう答えた。


「───とまぁ、人数は少ないですが今回のテストの点数を開示していきましょう。これが、テストの最終結果となります。ちなみに、最下位だろうと今回の試験で田口真紀さんが死亡しているので死亡することはございません」


 それと同時に、白板に投影されるのは今回の結果であった。


 第一回試験:最終結果

 1位:森宮皇斗  999点

 2位:西村誠   966点

 3位:中村康太  914点

 4位:渡邊裕翔  911点

 5位:宇佐見蒼  875点

 6位:津田信夫  849点

 7位:橘川陽斗  740点

 8位:山田稜   724点

 9位:池本栄   705点

 10位:安倍健吾 697点

 11位:森愛香  693点

 12位:竹原美玲 670点

 13位:結城奏汰 655点

 14位:奥田美緒 640点

 15位:東堂真胡 627点

 16位:細田歌穂 624点

 17位:岩田時尚 621点

 18位:柏木拓人 615点

 19位:斉藤紬  581点

 20位:安土鈴華 556点

 21位:村田智恵 546点

 22位:秋元梨花 481点

 23位:西森純介 444点

 24位:佐倉美沙 419点

 25位:菊池梨央 344点

 26位:成瀬蓮也 333点

 不参加:園田茉裕 ーーー

 不参加:綿野沙紀 ーーー


 ───と、こんな結果に終わってしまった。


「皇斗、満点かよ...」

 我らが皇斗は、各種目333点満点を取って、この試験を完璧に乗り越えていた。


 ───と、皇斗を除いた上位6名は、その皇斗のおこぼれを貰ったような感じだろう。


 7位を取っている橘川陽斗などは、それこそ前回は21位であってその「333点」のおこぼれの影響が顕著に出ていた。


「やったピョーン!BEST5に入ってたピョーン!それじゃ、僕より下なやつは全員僕に平伏すピョン!」

「黙れ」

「げふっ!」


 5位の蒼は、11位の愛香にチョップされる。


「───ッチ、20位か。まぁ、勉強が苦手だからな」

 鈴華は、そう語っていた。


 今回の試験は、最後のデスゲームの影響が大きく出ているような気がした。というか、最後の影響だけで順位は大きく変わっただろう。

 それこそ、俺達はほとんど変化はないけれど愛香などは一気に下がってしまっていた。


 少し可哀想だなと思いつつ、俺は全体で9位に入れた喜びを───愛香に勝てた喜びを、静かに噛みしめるのだった。

上位10名に女子がいない問題。

ってか、この学校で女子ばかりが死んでいる。

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雨城蝶尾様が作ってくださいました。
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― 新着の感想 ―
[良い点] 皇斗のトップは当然ですが、 裕翔も何気に優秀ですね。 嫌な奴だけど、彼もまた天才なのか。 というか阿呆の蒼も何気に五位。 彼は阿呆天才の類いか?
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