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6月11日 その⑫

 

 ───康太と皇斗の戦いは、皇斗の圧勝で幕を閉じた。


 1話飛ばして予約投稿してしまったたのか、この作品が掲載されている本誌を先週買い忘れてしまったのか。

 そう錯覚してしまうほどに、あっという間に康太と皇斗の勝負は終わってしまった。


 本当に一瞬だった。「勝負開始!」と言う、誠の声と同時に皇斗は康太へと接近。そして、右手の親指で康太を顎から持ち上げて、地面に叩きつける。康太は、防御どころか皇斗の動きに何一つ対応できないまま敗北していた。


 ───これは、康太が弱いことの証明ではない。


 康太だって俺と戦えば、一般的な高校生と戦えば楽々勝利できるような実力を持っていた。俺が苦戦───というか、タイマンの状態では毎回敗北していると言える裕翔と、対等に戦えるほどの実力を持っていた。


 ───これは、皇斗が強いことの証明であった。


 皇斗のことは、学年最強と言っても大差ないことは知っているだろう。だが、2番手の愛香とさえ大きすぎる差を付けてしまっていた。それほどにまで、皇斗は圧倒的なのであった。


「さて、面倒事は片付いた...」

「───」

 康太に続き、皇斗に受けて立つ人物はいない。そりゃそうだろう、康太は抵抗することもできずに一発で撃沈したのだ。


「───が、康太。余は貴様のクラスメイトを思う心は理解した。すまなかったな」

 皇斗はそう口にして、体育館を後にした。その後、裕翔は康太を背負って保健室まで移動していった。


 ───どこか既視感がある、と思ったら4月6日に皇斗にボコボコにされた裕翔が康太に背負われて保健室に行ったときだろう。


 あの時は、全く立場が逆になっているが、それはそれで対比になっていた風情がある───というものなのかもしれない。


「───と、ワイらは教室に戻るとするか」

「そうだね。これ以上ここにいても何か起こるわけでもないし」

 俺達は、康太と皇斗の勝負がほんの一瞬で終わってしまったのでほとんどUターンで教室へと帰っていく。


 ───と、教室に戻るとそこには一足先に帰っていた皇斗がいた。


 なんだか、気まずい。


「康太がいたから色々言えなかったけど、皇斗はやっぱり一瞬でマスコット代先生を撃つってのが撃ち抜くのカッコよかったよ」

 時尚は、そう皇斗に声をかけていた。


「───と、栄達も誰も減ってないってことはマスコット代先生を撃ち殺したってことでしょう?」

「まぁ、そうだな」

「流石栄だね!」

 だが、ルールを見た瞬間に思いついた皇斗の方が俺よりもすごいのは確かだろう。


「いやぁ、それにしても紬ちゃんが生きててよかったよ」

 そうして、時尚は紬の頭をナチュラルに撫でようとしていたから、紬はそれを避ける。

「ん」


「───」

 2度ほど、紬に避けられて時尚は紬の頭に触れることを諦めた。紬は、智恵と梨央と美緒の方へ移動していった。


「───と、チーム1が誰も死なずに出てきたら試験の点数的に蓮也が死ぬことになるだろうな」

 皇斗は、そう口にする。


 現在のワースト5位までの点数は以下の通りだ。


 22位:田口真紀 401点

 タイ:村田智恵  401点

 24位:西森純介 299点

 25位:岩田時尚 288点

 26位:菊池梨央 199点

 27位:成瀬蓮也 0点


 ワースト5位までと言ったが、智恵と真紀が同点だから6人いる───なんて野暮なことは言ってはいけなない。

 というかそもそも、蓮也は今回のデスゲームで皇斗のおこぼれで貰えたのは「333点」であるから、22位の智恵と真紀の2人はもう関係なかった。


 時尚も、蓮也と同じチームであったから333点を獲得していた。だから、蓮也に追い抜かされることは有りえない。


 問題は、純介と梨央の2人だった。だけど、ゲームを乗り越えた今俺達は安全だった。

 俺達は、145点を手に入れていたのでこれまでの点数と足し合わせると梨央は344点で、純介は444点だ。純介は「444」となんだか不吉な感じがするが、とりあえず2人共蓮也の「333」を超えていたのだ。


 だから、チーム1が全員生き延びてでてきたら、ここで蓮也は死亡するということになる。もう、俺達は全員生き延びたのだった。


「───とまぁ、死ぬのはまだ蓮也と確定したわけじゃない」

「というと?」

「そもそも今回の試験に茉裕と沙紀は参加していない。だから、そのどちらかが死亡する可能性もある───ということだ」

「あー、そう言えば」


 完全に2人の存在を忘れていたが、茉裕と沙紀は今回の試験を全てパスしてどこか───というか、自室に籠もっているのであった。

「この中の内、誰かが死ぬ───ということか」


 別に、この中の3人であれば死んでもいいだろう。

 茉裕と沙紀は、生徒会であるし蓮也は奈緒を殺した。だから、この中の誰が死んでも問題はなさそうだった。すると───


「───皆さん。お疲れ様でした!」

 教室に入ってきたのは、マスコット大先生。マスコット代先生ではなく、マスコット大先生。


「先生!」

「もうすぐ、チーム1の皆さんが帰ってくるでしょう!」

 マスコット大先生はそう宣言した。


 ───チーム1の『友情の天秤』も終了し、試験が全て終了したのだった。

次回から、チーム1の『友情の天秤』を。

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雨城蝶尾様が作ってくださいました。
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― 新着の感想 ―
[良い点] やはり皇斗は強い。 となると気になるのは最下位。 チーム1の状況次第では、 最下位が死ぬ事になるが、 チーム1がどのような選択を選んだか。 次回以降が楽しみです。
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