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6月11日 その①

 

 ───6月11日。


 第一回試験最終日。

 本日は、デスゲームにより試験が行われるらしい。要するに、特別試験。


 マスコット大先生の言う「デスゲーム」は、言葉と情報を頼りに正解を当てる『スクールダウト』だったり、特殊なドッジボール『投球困窮四面楚歌』だったり、頭を使うものから体を使うものまで幅広い。


 ───今回のデスゲームは、マスコット大先生の話を聞く限りチーム制でやるようだけど、どのような試験内容となるのかは、俺は知らなかった。


「───んん」

 俺の胸の中で声を出すのは、智恵であった。強く抱きしめすぎてしまっただろうか、俺は智恵を抱きしめる手を緩める。


 ───なんだか、朝のイチャイチャも慣れてしまった。

 だからと言って、智恵に手を出してしまうと過去のトラウマを思い出させてしまう可能性もある。


 マンネリ化していることを自覚しつつも、童貞な俺は───というか、恋愛経験が浅い俺に取ってはどうすればいいのか知らない。

 だから、こうして智恵を抱きしめることしかできなかった。



 ───そして、デスゲームが行われる特別試験だと言うのに、いつも通りのマンネリ化した朝の準備をして、学校へと向かう。


「智恵、行こっか」

「うん」

 俺と智恵は制服に身を包み、教室へ向かう。稜や健吾・純介は最近は、空気を読んで先に行ってくれる。

 別に、登下校中じゃなくとも、俺の私室ではいつも2人きりなのだけれども、嬉しい配慮だ。


「今日、どんなゲームをするんだろうな」

「さぁ?栄にわからないんじゃ、私に聞かれてもわかんないよ」

「はは、そうか」

「でもさでもさ、チーム制らしいんでしょ?同じチームになろ?」

「うん、いいよ」

 2人組を組めと言われたらきっと、付き合っている俺と智恵・健吾と美緒と言うペアができるだろうから、結果的に稜・純介と梨央・紬というペアになりそうだった。


「3人組でも4人組でも、何人組でも同じチームになろうな」

「うん!」

 俺は、智恵とそんな約束をした。


 ───そして、俺達は教室に到着する。


「おはよ」

「応」

 俺が教室に到着すると、既に来ていたのは隣の席の鈴華であった。


「昨日の試験は振るわなかったみたいだな」

「別にオレは勉強が得意じゃねぇからな。2桁じゃないだけでも大満足だ。それに、初日は満点だしな」

 鈴華はそう口にする。鈴華は腕組しながら、片目を瞑ってそう口にした。


 ───と、まぁ片目に眼帯を付けているので俺が見えている片目を瞑れば結果として鈴華の目は全て塞がれているのと同義なのだが。


 ───などと話をしていると、教室に入ってきたのは時尚だった。


「栄に鈴華ちゃん、おはよう」

 そう言って、時尚は挨拶する。


「鈴華ちゃん───」

「それで、昨日の話をしようか」

 鈴華は、時直の「ちゃん呼び」に引っかかっていたようだが、時尚は華麗に無視して俺に無限に続くにも思われる艦隊の話をされる。


 もちろん、俺は適当に聞き流した。


 ───それで、十数分後教室にやって来るのはマスコット大先生であった。


「皆さん、おはようございます!本日は第一回試験最終日!生き残る準備はできていますか?」

 マスコット大先生の言い方からして、今回の試験はデスゲームなようだった。


「───と、最後の最後で美沙さんは休みですか...」

 出席を取っていたマスコット大先生は、美沙が休みであることを伝えた。

 でもまぁ、遥や奈緒が死亡したデスゲームに対して、恐怖を持つところがあるのだろう。もっとも、遥はデスゲーム中に禁止行為で死亡していたから、ひとまとめにデスゲームが怖い───だとは言えないだろうが。


 今日の休みは、茉裕と沙紀に加えて美沙の3人だ。今回のデスゲームに参加するのは26名。


「はい、では皆さん。3チームに分かれてください。本日の出席は26名ですので、9人チームが2つと、8人チームが1つですね」

 マスコット大先生はそう宣言した。早速、デスゲームは開始されるようだった。


「栄、同じチームに───」

「時尚!ワイとチームを組もうやないか!どうせ、栄は智恵と組むんやろうし」

 時尚に絡まれそうになったけれども、信夫の言葉もあり、俺はチームCとチームFの8人───俺と智恵に加えて、稜と健吾・純介や美緒に梨央・紬の8人でチームを組むことになった。


「これで、8人だな...」

 と、ゲームの内容を伝えられていないものの、俺達はチームを組んだ。


 そして、結果として以下のようなチームが結成した。


 チーム1 秋元梨花・安土鈴華・柏木拓人・田口真紀・竹原美玲・東堂真胡・細田歌穂・森愛香・結城奏汰

 チーム2 安倍健吾・池本栄・奥田美緒・菊池梨央・斉藤紬・西森純介・村田智恵・山田稜

 チーム3 岩田時尚・宇佐見蒼・橘川陽斗・津田信夫・中村康太・成瀬蓮也・西村誠・森宮皇斗・渡邊裕翔


「愛香と皇斗は固まらなかったみたいだね」

「そうだね。最強タッグではなさそうだ...」

 俺は純介とそう話し合う。もし、ここで敵になるのであったらかなり凶悪だし、バラけたのはいいことだった。ちなみに、チームの割り振りは出席番号が若い人がいる順番である。


「それでは、皆さん。それぞれのチーム番号が書かれてある扉に入ってください」

「扉?」

 マスコット大先生は、俺達の疑問に答えるように後ろを指差す。そこに書いてあったのはそれぞれ「1」「2」「3」と書かれた3つの扉であった。


 俺達は、マスコット大先生の言葉に従いその部屋の中に入る。



 ───そこは、部屋の中央に1つの長机と8つの席が用意された白い部屋。


 そして、俺達8人が全員入ると扉が閉まり───


「───ここは『最低一人殺さない出られない部屋』よ!さぁ、犠牲になる人を一人選んでね♡」


 そう口にするのは、俺達よりも5m程高いところにあるバルコニーのような小さな足場の上に立っていたのはピンク色のワンピースに身を包んだマスコット大先生と同じ被り物と声をしている人物であった。


 第一回試験デスゲーム『友情の天秤』

 1.ゲームが行われる部屋には、ゲームの参加者の数だけ椅子と1発だけ弾の入った銃が与えられる。

 2.ゲーム会場の中で、誰か一人が死亡しないと抜け出すことはできない。

 3.誰も死亡していない状態で銃弾を放つと、発砲した人物が自分を除く人物に「当たれ」と心の中で思うや口に出す等をすると、その人に命中する。避けることはできないし、銃弾が当たった人物は例外なく即死する。

 4.何も考えずに、無作為に発砲した場合はデスゲームに参加している人物の中から一人、ランダムに射殺される人が選ばれる。その場合、銃弾は不自然に空中を周回する。

 5.誰かが死亡してから5秒以内は、発砲可能。その場合は、銃弾を避けることも可能である(避けれるかどうかはその人の身体能力に依存する)

 6.試験は、部屋を出た時を終了とする。

 7.試験のポイントは、333点満点から6秒毎に1点ずつ減少する。

 8.1998秒(33.3分)経った時点で部屋から出ていない人物は全員死亡する。

栄は友達を殺す決断ができるのか!

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雨城蝶尾様が作ってくださいました。
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― 新着の感想 ―
[良い点] 『友情の天秤』。 これまた嫌らしいゲームだ。 大先生、ガチで性格悪い。 でも読み手としては、こういう展開は歓迎です。 今回は必ず一人は死ぬのか、それとも……。
[一言] 仲良い同士で組んだのが仇に・・・ 栄には無理そうだけど智恵や純介あたりは割と撃てそうではある チーム3の成瀬蓮也が死にそうすぎる
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