4月2日 その⑰
以下の文字を入れ替えてできる文の答えが部屋の鍵の解除ナンバーである。
i h u d r a r y w s h i t b n y o e
hint1:4月2日20時に配信
hint2:4月3日15時に配信
答え _ _ _ _
***
わかっているのは、この18文字を使ってできる文が英文であること。
そして、文の答えと言われているほどだから疑問に答える形になっているということ。
「んじゃ、疑問形を並べてみるか?」
まずは、5W1Hを書き出してみる。
What Where When Which why How
の6つだ。数えていないがWhoseもあるだろう。
「後は、be動詞のAreとIs。そして、DoとDoesとDidだな」
「んで、Eが1個しか無いし...18文字だからあんまり長い文章でも無さそうだな...」
アルファベットの出現率で、最も多いのはEとされている。theでもheでもsheでも使うE。
その次に出現率が高いのがTだ。TもEも1個だけなのでそれは有益な情報であった。
俺の知識を自慢したいだけだが、アルファベットの出現率で3番目に多いのはAで4番目がOだ。
なお、最も出現率が低いのはZだ。
「えっと、Eが2つも無いならwhereは作れないよな」
「5W1Hで使えないのは、whereとwhichか...Didも使えないな」
逆に言えば、残っているのはWhatとWhenとWhyとHowとAreとIsとDoとDoesの7つだ。
「うーん、他に絞れるのはあるかな...」
疑問詞の後には、be動詞か一般動詞(do,does,did)が入るはずだ。
───あ。
「───って、Wasとかもあるじゃん。付加疑問文とかも考える必要もありか?」
面倒くさくなってきたぞ。なんで、思い出してしまったのだろうか。
「付加疑問文の可能性があるなら、助動詞かもしれないし...」
俺は、疑問文の最初に何が来るか考えるのを諦めた。
「しょうがない、20時まで待つか?」
時計を見ると、現在の時刻は17時28分。まだまだ、時間は経っていない。
「───ッチ。ヒントを待つのも時間の無駄かもな」
俺は、舌打ちをしつつ再度問題に目を通す。
若干、手詰まり感が出ていたのだ。
「誰かに聞こうかな...」
俺は「帝国大学附属高校」の「チャット」を開く。
「んじゃ、健吾にでも聞いてみようかな」
俺は、健吾に「答えわかる?」と送った。
───が。
「なんだよ、wifiの接続がされてないって...あ!」
スマホの左上と見ると「圏外」と表示されていた。先程までは、ネットも見れたのに見れなくなっている。
「おいおいマジか、逆になんでさっきのリンクだけ開けるのがおかしいぜ...」
小さくため息をつくと、18文字と再度にらめっこを始める。
i h u d r a r y w s h i t b n y o e
「しょうがない、パット見で作れそうな単語でも羅列していくか...」
あんまり賢いやり方だとは思えないのだが、その方法で解読することにした。
「hundredは...Dが足りないか...libraryはlが無い。anyoneはnが足りない。bornは作れる...」
そんな事をブツブツと呟きながらやっていた。そんな中、呑気に画面をトコトコと歩くのは二息歩行のキツネだった。
「あ、そうだ。コンに聞いてみればいいんじゃないか?」
そんな、解にたどり着く。コンなら使えるはずなのだ。
「コン、問題のヒントを教えて」
『こんな簡単な問題も解けないんですか?赤子からやり直したらどうですか?です』
煽られた。
「無理だ...もう、解けないよ...」
そんな事を言いながら、俺はベッドの上にダイブする。ベッドはモフモフで俺の思考を妨げ眠りへと誘おうとしてくる。
「うぅ...稜達は解けたんだろうか...」
そんな事を呟く。自室は防音になっているようで、廊下の様子も隣の部屋の様子も全くわからない。
見えるのは、窓の外から見える校舎だけであった。
「窓も開かなくなってたし...どうすんだよ...」
出れなかったら、中で餓死するんだろうか。それとも、月曜日になって学校にいなかったら殺されたりするのだろうか。
「うーん、ヒントがどんなものかもわからないのに、ヒント頼みになるのもちょっとな...」
そもそも、ヒントも暗号だという可能性は大いにある。
「でも、思いつかないものは思いつかないからなぁ...」
そんなことを考えながら、俺をだんだん視界が狭まっていく。フカフカのベッドの上で俺はそのまま眠りにへと落ちていき───
***
「パーフェクトジェンガ、達成だな」
「みんな、流石だね!」
生徒会室にて。クエスチョンジェンガは、いとも容易くパーフェクトジェンガになった。
「まぁ、この程度当然でしょう」
生徒会メンバーの一人がそう告げる。その言葉を聞くと、真凛は嬉しそうに微笑む。
「いやぁ、皆が生徒会メンバーに入ってきてくれて私も頼もしいなぁ!私の作業も、手伝ってもらおうかなぁ...」
そう告げた。
「───って、もうそろそろ皆戻ったほうがいいんじゃない?」
「そうだね」
「では、戻らせてくれ」
「わかった、また会おうねー!宿題、頑張ってね!」
真凛は、生徒会メンバーに手を振る。生徒会メンバーは忽然と消えた。行きと同じように、各々の部屋に戻っていったのだ。
「懐かしいなぁ...私も前は頑張ったよな...デスゲームは」
松阪真凛は、池本栄達が参加しているデスゲームの一つ前に開催されたデスゲーム───第4回デスゲームの参加者であり、そこで生徒会に立候補した5人の内の一人であった。
今回のデスゲームは、5回目である証明である。





