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5月28日 その①

 

 ───5月28日早朝。


「───」

 智恵を抱きしめながら眠っていた俺は、目を覚ます。智恵の後頭部に触れて自分の体躯の方へ寄せる。

 柔い智恵の体と、智恵の匂いを独り占めして俺はベッドの中で数分を過ごす。

 最近の、毎日のルーティンとなってしまっている。今は休みだから、何時に起きても大きな支障は無いのだけれど、もう残り数日で学校が始まってしまう。智恵が可愛すぎるあまり準備が遅れてしまうのではないか───などと考えながら俺はベッドの中で智恵を堪能した。


「───ぁ」

 俺が、智恵のことを抱きしめていると智恵が目を覚ます。

「んんん...」

 目を覚ました智恵は、可愛いうめき声を俺の身体に顔をうずめる。そして、俺の身体の後ろに手を回して俺のことを抱きしめた。これで、相互に抱きしめるような形になった。

 俺は、智恵の頭を撫でて、細く艷やかな髪に触れる。


「智恵、おはよ」

「おはよぉ」

 智恵が俺の挨拶に対してそんな声を出した。俺と智恵は、ベッドの中で数分ほどお互いを接種してから起床した。


 マスコット先生が部屋の鍵に仕組んだ使用上、智恵だけでは部屋に出れないから一緒に出なければならないのだった。

 俺と智恵は、代わりばんこに顔を洗う。


「栄、先にシャワー浴びていい?」

「うん、いいよ。朝ごはん準備しとくね」

「ありがと!」

 俺は、智恵にシャワーを譲って朝食の準備をする。どうせ、稜達も起きてくるだろうから5人前の朝食を準備したほうがいいだろう。


 ───ということで、俺は5人前の朝食の準備を開始する。


 まず最初に、俺は食パンと丸い型抜きを用意した。型抜きの大きさは、ハムと同じくらいの大きさだ。

 その型抜きを、パンの中心に合わせるようにしてパンに丸い穴を開ける。今回は、丸く切り取られた方も使用するのでとっておく。

 俺は、5人分のパンの型抜きを終えると、冷蔵庫から卵を5つとハムを5枚。そして、バターとピザ用の細かいチーズを取り出した。


 そして、俺はフライパンを使用し、バターを溶かした後にその上に丸い穴が空いているパンを乗せる。そして、そのぽっかり空いた隙間に生卵を注ぎ込んだ。

 そして、目玉焼きのようになってきたのを目視すると、俺はそこにチーズを適量とハムを1枚乗っける。その上から、先程切り取っておいた丸い形のパンで蓋をすればもうほとんど完成だ。


 俺は、それを5人分作る。そして、5つそれぞれの上からマヨネーズをかけた。

「これでよし」

 俺は、準備を終える。その時、都合好く部屋から出てきたのは稜達3人だった。


「あぁ...栄、おはよう」

「おはよ、稜、健吾、純介」

 俺は、3人に挨拶する。


「そうだ、今智恵がシャワー浴びてるから洗面所行くときは覗かないようにしてね」

「はーい」

「じゃ、顔洗うのは後でにしておこう」

「そんなことより、朝食作ってくれたのか?」

「あぁ。時間あったしね」


 そう言って、俺は先に3人に配膳する。

「栄、ありがと」

「先に食べてていいからね」

「はーい」

 俺は智恵と食べるから今じゃない。俺は、智恵がシャワーから浴びるのを待っているのだ。


「───と、そうだ。稜、昨日バスタオル洗ったのどうした?」

「ん...あ、畳んでそのままかもしれない。智恵に届けてあげて」

「了解」


 俺は、畳まれて元の場所に戻されていない洗濯物の山から紺色のバスタオルを取っては智恵に届けることにする。バスタオルが無いようじゃ、智恵も困ってしまうだろう。

 俺は、バスタオルを持って洗面所の扉を開ける───と。


「───あ」

「───ッ!」

 そこにいたのは、一糸纏わぬ姿の智恵だった。俺と智恵の顔はカァァと、赤くなってくる。


「こ、これ。タオル!」

 永遠よりも長い一瞬。俺は、どうにか言葉を振り絞って智恵にバスタオルを渡した。智恵は、顔を真っ赤にしてそれを受け取る。俺は、その場に留まろうとする体をどうにか動かして洗面所の扉を閉める。


 ───見てしまった。


 女性の裸体を見るのは初めてだった。いや、母親などのはあるのかもしれない(俺が5歳の時に両親が失踪したので、ほとんど記憶にない)けれど、同級生の裸というものは初めてだった。


 こういう時、どういう反応をすればいいのかわからないけれど、キレイだった。何がどうとか詳しく話はしないが、非常にキレイだった。前の学校にいた男子が、こぞって智恵の清純を汚そうとした理由がわかったかもしれない。これは、唆られる。


「───智恵」

「な...何?」

「朝ごはんできてるから、早く出てきてね」

「───うん」


 そんな会話をして、俺は平静を装ってリビングに戻る。だけど、俺の脳裏に智恵の裸体が居座ってしまった。

 その後、智恵が私服を着て風呂から出てリビングにやって来た時に、顔を見合わせてまたお互いに顔を真っ赤にしてしまった。


 今日は、幸せな日だ。そう思ったのは、朝までだった。



 ───そう、事件というものはいつも突然にやって来る。


 俺が作った朝ご飯を智恵と2人で食べた1時間ほど後に、家に飛んできた(比喩)のは結城奏汰。

 普段、焦ることなく冷静に判断できそうな奏汰が、俺の家に駆け込んできたその要件は───






「───栄、杉田雷人が死んだ!」

レシピの詳細

https://www.kurashiru.com/recipes/4edf3df1-53e0-4fb3-9d8d-7ab8cdce2aea


日曜日に作って食べてます。俺は、ハムは入れてません。

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雨城蝶尾様が作ってくださいました。
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― 新着の感想 ―
[良い点] 栄、料理が出来るのはポイント高いですね。 そして良い意味でDTだ。 でもこれはデスゲーム。 だから幸せは長く続かないのさ!
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