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First Genesis その②

 

 マスコット大先生と名乗るのは、ステージの上で揺蕩いながら言葉を紡ぐ、黒いローブを身に纏った俺達がこれまで戦っていたマスコット先生と同じ被り物をして同じ声を持つ人物。


「「「マスコット大先生?」」」

 全員の声が重なり、大きな疑問となってマスコット大先生へ跳ね返る。


「はい、マスコット先生に代わる新たなる先生、マスコット大先生です!なので、私はマスコット先生ではありません!」

 マスコット大先生は、自分はマスコット先生ではないとそう述べた。屁理屈だけど、デスゲームに理屈などなかった。だから、いくら反発しても無駄だろうし、譲歩を逃してしまうかもしれない。


「じゃ、じゃあまだ俺達はデスゲームから解放されないってことか?」

「当たり前ですよ。校則は無くなってもGMはいるんですから」

 マスコット大先生は、マスコット先生とほとんど同じ口調でそう述べた。というか、マスコット先生=マスコット大先生で、概ね間違いないだろう。だけど、マスコット大先生はマスコット大先生なのだ。


「───じゃ、じゃあオレ達はデスゲーム続行なのかよ!」

「はい、そうです!本日行った協力も、戦いも友情も全部無駄になったんです!」

 俺達は、デスゲームから解放される一心でマスコット先生と戦っていたのだ。もちろん、ブーイングが起こる。


「はいはいはい、しーずーかーに!理不尽にぶち殺しますよ!」

 マスコット大先生はそう言って手を叩いた。口調を変えずに、俺達のことを脅すのもマスコット先生の名残がある。


「マスコット先生が死んで、私が代わりにやってきた。だから、マスコット先生に突きつけたデスゲームから解放されるという条件は飲み込まれない。これは、過去から今までの話です。ここからは、これからの話をします!大事なのことなのに一度しか言わないので、聞き逃さないでくださいね!」

 これからの話───などと言っているが、これまでと変わらずにデスゲームだろう。俺達に安寧の日々はやってこない。そう思っていたのだが───



「まず、どっかの誰かさんが校則を無くしてしまったので、現在禁止行為が適用されていない状態です!そして、どっかの誰かさんが全体を巻き込んだデスゲームを提案し、校舎をボロボロにしてしまったので修繕が必要なのです。だから、今日から2週間───キリがいいところに合わせるために、5月31日までは休校とさせていただきます!」

 マスコット大先生は、そう宣言した。


 これから一生デスゲームから解放される───というわけではないが、2週間の安寧の期間ができることを、俺達は約束されたのだった。


「───それは...本当か?」

「はい、本当です。私が───違う、マスコット先生が嘘をついたことはありますか?私もそれと一緒ですよ」

 今、「私」と言った。やはり、マスコット大先生はマスコット先生だ。


 ───いや、正確にはマスコット大先生もマスコット先生も、俺の父親である池本朗でありGMなのだろう。


 一体全体どう言った原理で何人もいるのかはわからないし、聴いても教えてくれないだろう。


「ですので、5月31日までは禁止行為もデスゲームも無く安心安全に生活できるんです。いいですね?」

 俺達はそれで納得することにした。それで納得しなければ、デスゲームを続行されてしまいそうな感じがしたからだ。


「では、過半数以上が納得したようですので。私は5月31日まで、デスゲームを安心安全に行えるように復旧を頑張ります!応援して待っていてください!」

 誰がそんな応援なんかするか───などと言いたくなったが、デスゲームのない休みがやって来たとなると、体にドッと疲れがやってきた。そして、全身に痛みが走ったのだった。


 アドレナリンが出て、気付かなかった痛みが体に正常に伝わってきたのだ。俺は、そのままガックシと膝から倒れ落ちる。


「怪我をした人はこちらで用意した病室に送りますし、元気な人は寮に自分で戻ってください!」

 そう言われると同時、俺が瞬間移動させられたのは見知らぬ天井を眺めることができるベッドの上だった。


「見知らぬ天井...じゃない!この天井の正式名称はロックウール化粧吸音板だ!なーんだ、知ってたわ。安心安心───じゃない!体に激痛が!」

 俺は、第3ゲームを終えて目を覚ました後に口をした言葉を思い出すような感じで口にして余裕ぶってみるけれど、体に走る激痛に耐えきれずにその場で身動ぎする。


 ───と、激痛の中で冷静に判断するけれど、保健室と同じ天井であるがここは保健室ではない。


 ロックウール化粧吸音板はどこにでも使われているけれど、ベッドがあって仕切りも目に入ったここが、どこかの救護室であると理解するには時間がかからなかった。

 マスコット大先生が用意したのだろう。


「───栄、大丈夫?」

 仕切りの奥から、智恵の声が聞こえてくる。仕切りは、パーテーションのような感じだったので畳むことができたので、仕切りは開けられた。


「大丈夫───ってカッコつけられない程に痛い...」

「無理しちゃ駄目だよ、栄は頑張ったんだから」


 ───と、色々と謎が残る中、俺達は一時の安寧を手に入れることに成功したのだった。

次のデスゲームの開始までチマチマと総まとめをしていきますので、デスゲームはしばしお待ちを。

色々まとめるべき情報が多いのです...

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雨城蝶尾様が作ってくださいました。
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