Last Battle その③
俺は、マスコット先生の猛攻から逃げ切るためにB棟4階にある生徒会室から、地面目掛けて───否、俺が指示して用意してもらった高跳びのマットの上にボスリと落ちる。
「遂にか...」
「あぁ、そうだ。頑張るぞ」
俺は、マットを任せていた柏木拓人に顔を任せる。
「さ、栄君!頑張ってね!」
「あぁ!」
俺は、同じくマット班として動いてもらっていた梨央にも応援されて、俺はそのマットを後にした。
そして、拓人はマットをB棟の1階の方へ隠す。俺と同じように、マスコット先生が落下してくることを隠すためだった。
俺は、そのまま体育館の方へ走って移動する。やはり、外は狙われやすいのだ。出入りしやすい体育館に逃げることを、俺は選択した。
体育館に入って、見える範囲には誰もいない。隠れているのかもしれないし、隠れていないのかもしれない。
まぁ、後のお楽しみだ。
───と、その時俺の目の前に3つのボールが現れる。
青い、お手玉のような大きさのボールだった。マスコット先生は、3つ目を何らかの理由で投げたのだろう。
「ポケットに入れておく───ってのは、いざって時投げられないよな...」
2つならば、持ちやすかっただろうけれど、手元にあるのは3つだ。
「しょうがない...」
俺は、右手に1つ、左手に2つを持って、マスコット先生が攻めてくるのを待った。
もちろん、天井や床への警戒も怠ることはしなかった。
「───問題は、マスコット先生以外だよな...」
そう、俺がクラスメート全員を仲間にしたように、マスコット先生は靫蔓にような過去の生徒会メンバーを利用してくるかもしれないのだ。いや、準備期間と同時に消えたということは、声をかけに言ったのだろう。
それならば、余裕はできそうになかった。
「───来る」
俺は、直感でそう理解した。俺は、右手にある青いボールを投げる準備をして───。
「騙しやがって!」
そんな声と同時に、正々堂々と入口から侵入してきたマスコット先生。まだ、単独だった。
だけど、いつ過去の生徒会メンバーを引き連れてくるかもわからない。
「やっと、ボールが手に入ったし、そんじゃ勝負しようぜ!」
俺は、体育館のステージの上で、体育館に入ってきたマスコット先生にそう述べる。
そして、俺は1m程の高さのステージを飛び降りて、そのままマスコット先生の方へ走っていった。
「受けて立つ!」
マスコット先生も、そう言った後に俺の方へ走ってきた。
そして、俺は右手でボールを投げる。マスコット先生は、それを右に───俺から見たら左に体を動かすことによって避ける。
そして、左手でボールを投げた。
「避け───ッ!」
俺は、気付く。マスコット先生は、一気に2発を投げていたのだった。動きを止めてしまえば、そこに追撃するようにボールを投げてくるだろう。だが、左右どちらに避けようとしてもボールは当たってしまうだろう。
「───ならばッ!」
俺は、その直後腰を低くして、しゃがんだような格好をする。
「隙ありッ!」
マスコット先生が、そう声をあげ、ボールを投げようとしたその刹那。
「───あがっ!」
マスコット先生の、上空から降ってきたのは、歌穂だった。
「栄、逃げて!アタシは、マスコット先生の悲鳴を聞きたいから!」
「───クソ、よくもッ!」
歌穂は、体育館の屋根裏に潜ませていたのだ。歌穂は、マスコット先生のことを踏むようにして地面に着地して、マスコット先生に馬乗りになる。
どうやら、俺の血筋は、歌穂に馬乗りにされるのが多い血筋のようだった。4月のいつかを思い出しつつ、俺はその場で馬乗りにされているマスコット先生を狙う。
「───くらえッ!」
「───ッチ!」
「───きゃあ!」
俺の投げる2球目のボールを、マスコット先生は馬乗りになっていた歌穂を振り解くように力に任せてどかして、それと同時にボールを避ける盾に利用した。
「お互い、後1球...」
正確には、相手が投げ終えるまでは後1球───ということだ。
「栄、よくもまぁやってくれるじゃないか!」
「当たり前だろ、デスゲームにだって、友情は存在する!」
「よく言うぜ!」
直後、俺とマスコット先生は同時にボールを投げる。これで、次のボールが配布されるだろう。
───と、その前にこのボールを上手く避けなければならないだろう。
俺は、体を右に捻ってマスコット先生のボールを避ける。マスコット先生は、ブリッジするようにして俺を投げたボールを避けていた。
そして、双方がボールを避け切り、当たらないことが確実になった直後。俺の目の前に3つのボールが現れて───。
「───ッ!」
直後、俺の方に飛んでくるのは赤い、マスコット先生のボールだった。
「避けッ!」
俺は、手元にあったボールの2つを弾かれてしまう。ギリギリで1つはキャッチできたので、それで戦うしか無いだろう。
「大変そうだな、早速2球も落としてしまって」
「別に、1球差だ。何も問題はない」
「いつまで、軽口が叩けるかな」
「よくもッ!」
拮抗しそうな雰囲気を、一瞬にして崩す歌穂。
「栄は逃げて!」
「わ、わかった!」
俺は、その場を歌穂に任せて俺は体育館の外に出る。
「───遂に...」
俺が、グラウンドに出て見たのは、見慣れない5人の人影だった。そして、戦闘を歩く一際身長が高い犬だか狼の被り物をした人物が、俺の姿を見たと同時にこう言い放った。
「自分が池本栄か!この俺率いる第2・3回生徒会連合軍が相手や!」
第2回生徒会・第3回生徒会、見参ッ!