Last Battle その①
復活したマスコット先生によって宣言される予戦・本戦を超えた先に現れた決戦。その名も『ジ・エンド』が俺達に襲いかかろうとしていた。
「でも、マスコット先生!俺は本戦を生き抜きました!正確には、試合終了後のリスクを受けさせることをできない状態にした!だから、本戦を生き抜いたと思うのですが!」
「えぇ、そうですね...確かに私は池本栄、お前の策に殺された...だからこその決戦だ!」
マスコット先生はそう述べる。随分とまぁ、暴論だ。というか、そこに論はない。完全なるマスコット先生の我儘だった。
「これまではゲームだった...だが、ここからはゲームではない。ここからはバトルだ。息子だからって、容赦してもらえると思うなよ?死ぬことに理由が付くと思うなよ?」
随分と、マスコット先生はお怒りのようだった。
「そうかよ...じゃあ、その喧嘩買ってやるよ。そして、勝ってやるよ。敗北したらどうする?死ぬか?それとも、生かされるか?」
「じゃあ、お互いに相手に勝った時の相手への罰を決めようじゃないか!俺はもう決まっているので、先に提示する!」
そして、マスコット先生が提示した、俺が敗北した際に背負われる罰は次の通りだった。
「まず、池本栄───お前は死亡する。そして、今回の傍観者を交えてもう一度第5ゲーム本戦『キャッチ・ザ・リスク』を最初からやり直す!そして、その場合リスクを定めるのはこの俺だ」
どうやら、俺が負けたら俺以外の皆にも迷惑がかかるようだった。マスコット先生が「リスク」を決めるということは、平気で「死ぬ」よりも辛い何かが待ち受けているのは確かだった。
「そうかよ...じゃあ、こっちも決まった。もちろん、これはバトルだ。生半可なものではないから、断ったりしないだろうな?」
「あぁ、もちろんだ!」
俺が付けた条件。それは───
「───これまで行った及びここにて行われている他、これから行う予定のデスゲームの被害者全員を救え。もちろん、俺達も含めて───だ」
俺が付けた条件。それは、唯それだけだった。マスコット先生に危害を加えようとしても無駄。
マスコット先生に、どれだけマイナスを積み上げさせても無駄なのだ。元からマイナスであるマスコット先生に、マイナスをかけ合わせようと、結果的にマスコット先生にとってはプラスになる。
ならば、誰かを救うといったプラスの行動をさせればいいのだ。そうすれば、マスコット先生にとってマイナスになるのだ。
「もちろん、デスゲームに参加している俺達のことは解放するだろ?そして、今後永遠にデスゲームを行うな。他にも、過去に行ったデスゲームの被害者全員を救え。もちろん、死んだ人物もだ。いいな?」
「わかった、マスコット先生として約束しようじゃないか!」
マスコット先生は、そう述べる。
「んで、マスコット先生。ルールを提示してくれ。第5ゲーム───いや、バトルなんだっけか?第5バトル?第1バトル?それともラストバトル?どれでもいいけど、『ジ・エンド』の内容を教えてくれないと正々堂々したバトルにはならないだろ?」
「言われなくても、発表するに決まっているだろう?」
マスコット先生は、そう言った。そして、マスコット先生は空間をめくるようにして何かを用意した。
そこに書かれていたのは、ラストバトル『ジ・エンド』のルールだった。
ラストバトル『ジ・エンド』のルール
1.試合開始時に、ボールを3つ配布される。
2.ボールを相手に当てたら勝利。
3.お互いに3球ずつ投げたら、再度ボールが配布される。
4.勝敗がつくまで試合は続く。
「簡単なルールだ、これならば理解できるだろう?」
「もちろんだ。お前にボールを当てればいいんだろう?球技大会だし、丁度良いじゃねぇか!」
「それと、栄。お前はいつものように生徒の皆に協力を頼んでもいいことにする」
「いいのか?」
「あぁ。だが、生徒会の皆に告ぐ!お前らは、俺に協力しろ!」
マスコット先生は、生徒会に協力を要請する。だが、マスコット先生は生徒会のことをもうなんとも思っていないだろう。
───あ。
もしかしたら、マスコット先生の虚を突けるかもしれない。生徒会メンバーが誰かはわからないが、全体に声をかければ済む話だろう。
「マスコット先生、俺はお前にボールを当てればいいんだな?」
「あぁ、そうだ。そして、俺はお前にさえボールを当てれば勝てる。その代わり、誰かにボールを託すだなんてことはするなよ?自分で投げろ」
「もちろんだよ、そっちの方こそズルはするなよ?」
「当たり前だ。俺は人間だが、公平が好きだからな。フィールドはこの学校全体。じゃあ...5分後に試合を開始しようじゃないか!最後のバトルと最期の景色を楽しんで」
その直後、マスコット先生はどこかに消えていってしまう。どうやら、マスコット先生は俺の声を聞くわけでは無いようだった。だから、俺は皆の元に声をかける。
「お願いだ!皆で生き残るためにも、デスゲームを終わらせるためにも俺に協力してくれ!そして───」
俺は、誰か、何人いるかもわからない生徒会メンバーに向けて言葉を投げかけた。
───これならば、勝てる。
ラストバトルです。