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5月14日 その㉗

 

 100万円払って俺達で校則を追加する。これを使用すれば、マスコット先生に勝てる。


 ───これなら、行ける。


 だけど、問題はどうやって100万円を集めるかだった。俺が現在保持しているのは6万5000コインだった。


「皆、俺にコインを分けてくれ!目標金額は100万円だ!そうすれば、誰も死なずに勝つことができるかもしれない!」

 この場にいる全員に声をかける。


「なら、オレの所持コインの全てをお前に譲渡する!」

 我先にと俺にコインを譲渡する宣言をしてくれたのは健吾だった。


「健吾...いいのか?」

「もちろんだ!」

「栄、俺もだ!」

「僕も」

「私もよ」

「私のもお願い」


 ブルーチーム全員からコインを託される。ちなみに、紬と梨央は所持コインが0だったので、コインを渡すことはできなかった。


「手元にあるのは35万9000コインか...皆!もっとコインを!」

「オレも協力してやると言ったからには、栄。お前に全てのコインを託してやろうじゃねぇか。ただし、失敗したらわかってるよな?」


 そう言って、俺に10万コインを譲渡してくれるのは鈴華だった。

「栄、オレはお前を信じてんぜ。皆はどうするよ?このまま得体のしれないリスクに怯えるか?」

 鈴華のホワイトチームへの声掛け。


「お前ら、覚悟を見せてみろやぁ!」

「もちろん!」

 そして、ホワイトチームの橋本遥を除いた4人もコインを譲渡してくれる。竹原美玲と三橋明里はコインを持っていなかったので譲渡はできなかった。


「今、いくら集まったんだ?」

「70万9000コインだ!残りは29万1000コイン必要だ!」


 試合に出ている全員からは、もうコインを集め終えてしまった。後は、試合の外にいる誰かからコインを譲渡してもらうしかないだろう。


「皆、頼む!コインを分けてくれ!俺達の命ために!」

「さっきのお返しだよ!」

 そう言って、5万コイン寄付してくれる岩田時尚。だけど、まだ25万コイン弱足りない。


「お願いだ!25万コイン弱!誰か、誰か!」

「池本栄君、早くしてくださいよ。私を倒す算段を思いついたようですけど、それを実行できないんじゃ話になりませんよ?」


「マスコット先生は静かにしていてください!誰か、誰か寄付を!」

「しょうがない...余がしてやる。ただし、後で返せよ」


 皇斗の言葉と同時に、24万9000コインが譲渡される。皇斗は一体いくら手に入れているのだ───などと驚きそうになるが、この譲渡によって、念願の100万コインに到達した。


「お待たせしました、マスコット先生。あなたが望んだあなたを倒す作戦を決行しようと思います」

「へぇ...そうですか。やってみてくださいよ」

 俺は、自分のスマホのアプリ『帝国大学附属高校』の中の、ショップを開く。


 そして、校則で検索。


「やっぱり...」

 100万円を使用すれば「校則を追加」が存在していた。


「これを利用すれば!」

 俺は、フリック入力で、校則を追加する。そして、内容を打って適用させたら───。



[校則 追加]


「マスコット先生、残念だったな!校則追加!お前の策謀は全て無に帰させてもらった!」

 俺はそう宣言する。



「『校則第33条 校則は全て撤廃される。また、今後校則を追加することをできないものとする。───』!」

 俺は、追加した校則を読み上げた。


「やはり...やはりそうしますか...クッソ...クッソ、クッソ!」

 悔しそうな表情を浮かべるマスコット先生。これにて、マスコット先生が追加した『校則第32条 退学となった人物は、全員一律に死亡する』も撤廃されることになった。


「これで...これで、退学が認められる...」

 俺は、安堵する。


「これで、私はデスゲームから抜けられるの?」

 少し心配そうな声を出すのは美緒だった。


「あぁ...そうだよ。美緒、おめでとう...いや、体裁上でも不利益であることを保たないとだから...可哀想にね」

 俺は、美緒にそう伝えた。


「───あの、美緒!」

 美緒のことを呼ぶのは、美緒のことが好きな健吾だった。


「美緒...これが最後になるだろうから...言わせてくれ!悔いがないように言わせてくれ!共に過ごしたのはこの1ヶ月だけだったけど...美緒、アナタのことが好きです!」

 そう宣言するのは健吾だった。


「ありがとう、健吾。アナタのその言葉をずっと待っていたわ」

「───え、気付いてたの?」

「まぁね」

「そうだったのかよ...」


「最後に告白してくれて嬉しい。私も好きよ、健吾」

「じゃあ...」


 どうやら、告白は成功のようだった。


「はは...告白ですか...随分とまぁ、勝った気でいるようで...」

 そう口を開くのはマスコット先生だった。そう。まだ、ゲームは終わっていない。まだ、他のメンバーのリスクの処理は残っている。そう、皆にとってはここで終わりかもしれないが、俺にとってはここからが本番だった。



「まさか、こっちが校則の追加を予測していないとでも?GM権限で校則を更に追加します!『校則第34条 校則第33条は全面的に絶対的に無効化する!これは、第33条の一文[今後校則を追加することをできないものとする]には含まれない』!」


 マスコット先生が、第33条を無効化して、第34条を追加したと同時。マスコット先生は、その場で血を吐いて倒れた。



『校則第33条 校則は全て撤廃される。また、今後校則を追加することをできないものとする。GM権限での校則追加及び本条の無効化を行うような校則を追加した場合、その校則を追加した人物は即座に死亡する』





 ───俺の勝ちだ。


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雨城蝶尾様が作ってくださいました。
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― 新着の感想 ―
[良い点] 先生しんだ! [気になる点] しかし先生はともかくまだいろいろありそうな人物ばかり...
[良い点] 栄の奥の手!! でもその最中に告白するな! そんなリア充イベント許さんヽ(#゜Д゜)ノ┌┛Σ(ノ´Д`)ノ そしてマスコット先生の切り返しを切り返す栄。 これで終わった……のか?
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