5月13日
───そして、5月10日から早くも数日が過ぎて、5月13日がやって来る。
俺達は、いつも同刻に教室に向かっていた。
曜日としては木曜日なので、第5ゲームが行われるのは明日であった。だから、今日はまだそこまでピリついた様子はない。もちろん、森愛香は目覚めていなかった。
”ガラガラガラガラ”
「皆さん、おはようございます!」
教室に入ってくるマスコット先生。彼はいつもと同じだった。
「さて、明日は待ちに待った第5ゲームです。第4ゲームが始まったのがつい先週だと考えると、早いものですね」
今日が木曜日だとするのであれば、第4ゲームが始まったのが丁度先週なのだ。第4ゲームが始まってから、まだ一週間しか経っていないのである。なんだか、もう3ヶ月は経っているような感じがあった。
だが、そんなことはなく第4ゲームの開始から1週間しか経っていなかったのだ。あの量のデスゲームがもと行われるとなると、かなり先が思いやられる。
まぁ、今回のデスゲームは予戦と本戦の2つだけだから、俺が参加するのは長くても2試合だろう。
マスコット先生は、10日に「負け落ちていく」システムだと言っていたから、第5ゲームで勝ちさえすればいいのだ。
「───と、言うことで。本日は、予戦をするためのチームを決めていただきます。内のクラスで生きているのは33名。ですが、現在保健室にいて復帰が期待できない森愛香さんを除けば32名。なので、8人のチームを4つ作っていただきます。いいですね?」
「「「はい」」」
マスコット先生の言葉を聞いて、俺達は班を作ることになる。まぁ、班を組むとなったらメンバーとしては決まっている。
俺と同じチームCの稜と健吾・純介。そしてチームFの智恵と美緒・梨央に紬の合計8人だ。
「ねぇ、栄。私達でよかったの?」
智恵が、どこか不安そうな声を出す。
「もちろん。どんなゲームの内容かはわからないけど、女子だけが残っちゃったら本戦で死ぬ確率が上がるだろうからさ」
「それは、そうだね。でも、それじゃあ栄達も...」
「俺達だって、好きでやってんだから。それなら、文句ないだろ?」
「まぁ...うん」
───と、言うことで全員参加の第5ゲーム。俺達は、第4ゲームの時とは違って、迷うこと無く同じチームのメンバーが決定したのであった。
この決定が、正しかったのか正しくなかったのか。今の俺には、第5ゲームの顛末を知る由はなかった。
───その後、色々はあれどもチームが決定する。それは、以下の通りになった。
安倍健吾・池本栄・奥田美緒・菊池梨央・斉藤紬・西森純介・村田智恵・山田稜
岩田時尚・橘川陽斗・津田信夫・東堂真胡・成瀬蓮也・西村誠・森宮皇斗・山本慶太
安土鈴華・園田茉裕・田口真紀・竹原美玲・橋本遥・細田歌穂・三橋明里・綿野沙紀
秋元梨花・宇佐見蒼・柏木拓人・佐倉美沙・杉田雷人・中村康太・結城奏汰・渡邊裕翔
俺達と一緒になったチームFの皆の他に、拓人と付き合っている梨花と、人数の埋め合わせとして美沙が男子のチームに入ってきた。
それ以外は、男子は男子・女子は女子と固まったのが見受けられる。
問題になりそうだった蓮也は、来る者拒まずだった皇斗と同じチームに入っていた。勝ちに行くのなら、俺も皇斗のチームに入っていたが、今回は負けさえしなければいい。負けないようにするのなら、きっとこのチームの方がいいと思い、俺は安定の8人を選んだ。
「うーん、このチーム編成。やっぱり、強いのは皇斗のいるところか?」
「そうだね」
「でも、第3ゲームを見てると鈴華もかなり強いぜ?他にも、拓人も第4ゲームの1回戦で活躍してた」
そう考察する健吾・純介・稜の3人。
「皆さん、しっかりチームに属せましたね?デスゲームに休みが出た場合でも、そのメンバーで行っていただきます。休んだからと言って、デスゲーム免除にはなりませんから気をつけてくださいね?」
マスコット先生はそんなことを述べた。
「まぁ、オレ達は休まなさそうだな」
「そうだね。僕も死にたくはないし」
「それでは、球技大会らしくハチマキの色でも決めましょうか!まぁ、色で勝敗が決まる───ってわけではありませんので。私が勝手に割り振ってしまいますね。ハチマキを持ってくるので少しお待ちを」
マスコット先生はそう言うと、教室を出ていった。
そして、十数秒ほどで戻ってきた。早すぎるとは思うが、マスコット先生のことだしどこかに用意しておいたのだろう。こういうのはツッコんだら負けだ。
「ええと、出席番号1番の秋元梨花さんのいるチームに赤ハチマキを。そして、出席番号2番の安土鈴華さんのいるチームに白ハチマキを。それから、出席番号3番の安倍健吾君のいるチームに青ハチマキを。最後に、出席番号4番───いや、5番の岩田時尚君のいるチームに黄ハチマキを」
出席番号順にハチマキが割り振られる。出席番号4番の俺は、健吾と同じチームなので割り振られなかった。別に、マスコット先生から嫌われているから飛ばされたって訳ではない。
俺は、マスコット先生から渡された青いハチマキを皆に配る健吾から、その青いハチマキを受け取る。
「皆で、頑張ろうな」
「「応」」
「「「うん」」」
───第5ゲーム開始は、もう目前だった。
青いハチマキ。チーム名は...そうだなぁ...
「Blue ruler」なんてのはどうだろうか。