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閑話 名前のお話
「なぁ、栄。栄の発音って、栄市と一緒でいいの?」
食事を終え、リビングでスマホを見ながらダラダラしていると稜が話しかけてきた。
風呂は今、純介が入っている。
「いや、俺の栄は栄町の栄とは違う」
要するに、「さかえ」の「え」が高くなる訳ではないのだ。
「どちらかと言うと、カエサルの{カエ}みたいに若干音が下がる感じかな」
「ほーん。名前って難しいな」
稜がそんなことを言っている。
「あ、ちなみに俺の名前をカタカナにだけはしちゃだめだぞ?」
稜が突如、そんなことを言ってくる。
「え、どうして?俺の名前がカタカナになったら、完全に別のキャラになるからだよ!ベーシスト!」
「あー...」
どういうことか、理解した。
栄町の発音があってるかは不明。
でも、「栄」の発音を知ってもらいたかった。
音はあがりません。
ミカエルの発音じゃない。カエサルの発音だ。





