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5月7日 その②

 

 ───第4ゲーム『分離戦択』の4回戦に誰が出場するのか決める。


 そのために集まったのは、今日試合に出る俺と健吾・純介と誠の3人に加えて、昨日も試合に出場した稜に康太・歌穂・鈴華と拓人であった。奈緒は残念ながら死んでしまったので、この場にはいない。


「───それで、どうするんだ?」

「どうするもこうするもないよ。ここは僕と健吾に決まっているだろう?」

 健吾の問いに真っ先に答えるのは純介であった。


「僕たちが生き残るには4回戦と5回戦の両方に勝たなくちゃならない。だから、確実に試合は出るんだ。それなら、大トリは嫌だよ」

「靫蔓は、この場にいないからな...5回戦はどうなることか...」


「───で、栄はオレ達が4回戦に出ていいのか?負けたら、出番なんか無く死んじまうんだぞ?」

「負けなければ、出番があって勝てるんだろ?なら4回戦に出てもらって構わない」

「ポジティブ思考だ...しょうがない、それに免じて出ることにするよ。まぁ、元よりそのつもりだったんだけど」


 ───と、これにて健吾と純介の2人が4回戦に出場することが決定した。


「「勝利しに来た。残念ながら、そっちに敗北という2文字は譲ってやることにするよ。こちらからのささやかながらのプレゼントだ。同じ土俵で戦って、同じ土俵になろうぜ?」」

 健吾と純介の、これまでとは一風変わった選手宣誓、宣戦布告。そして、勝利宣言。


「僕と戦って、敗北してくれ。大丈夫だよ、大丈夫。ここで敗北したって靫蔓は見てないから責められる必要はない。それに、負けたってことは戦ったことの証明じゃないか」

「もうこっちは後に引けないんだ。背水の陣でのっぴきならない状態だけど、そっちの力があればオレ達は勝利を獲得してまだ高みを目指せる。さぁ、オレの相手は誰だ?」


 敵の副将として前に出たのは───



 被り物を付けた一人の人物。その人物が被り物を投げ捨てた。



「嘘...だろ?」

「どうして...」


 ───そこにいたのは、俺が───いや、教室にいる全員が一度は会ったことがあった、俺達にデスゲームであることをその身を以てして教えてくれた、俺達に鮮烈な影響を与えてくれた人物であった。


 彼女は、4月1日に俺達の目の前で真っ先に死んだはずだった。なのに、彼女は───松阪真凛は生きていた。


「どうして...」

「松阪真凛改め、松阪マリン!みんな、久しぶり!よりよいデスゲームライフを謳歌してるかな?」


 松阪マリンは生きていたというのか。死亡したはずなのに、生きていたっていうのか。

「信じられない...死んだはずじゃ...」

「まさか、死ぬわけ無いじゃーん!私がチュートリアルで死ぬモブ?そんな風貌に見える?」


 松阪マリンは、己の持ち味である金髪を手で持って教室にいる全員に見せびらかせる。

「でもまぁ、デスゲームであることを皆に伝えるために死んだふりをしたってのもまた事実だし、反論も異論も認めるけどね...」


 今思えば、俺達に席の場所を説明してくれたのだって松阪マリンであった。どれもこれもマスコット先生の手中だったとするのであれば、納得がいく。デスゲームが円滑に進むように俺達を定位置に案内したのであった。

 最初に来て先生から説明するよう指示を受けた───とも思ったが、よく考えてみれば被り物をしている先生が来たら誰かに話すだろう。デスゲームの運営側なのであれば、それだって納得できる。


「それでは、出る人も決まりましたので挑戦者側はカードを引いてください」


 マスコット先生に呼ばれて、健吾と純介は4回戦のゲームの内容を決定するためにカードを引きに行く。残るカードは「ろ過」「抽出」「クロマトグラフィー」「蒸留」の4つであった。


「どうする?」

「別に、僕はどれでもいいよ...」

「じゃあ、原点にして頂点であるろ過にでもしておくか」

 そして、健吾は「ろ過」を選択して、それを裏返した。


 そこに書いてあったのは───


「決定しました、第4ゲーム4回戦!その名も───『限界ババ抜き』です!」


 ───第4ゲーム『分離選択』4回戦が『限界ババ抜き』に決定する。


「このゲームは教室で行いますので。中心の机を3つ並べてください。お互いの手札が見えないように三角形を描くようにお願いします」

 そう指示されて、皆が協力して机をずらしたり、並べたりした。


「今回のゲームは、名前に冠する通りババ抜きで、手札が大切ですのでゲームに参加する人物以外は別室に移動します」

 そう言われたので、俺達は違う部屋───隣の空き教室に移動した。


 ゲームをやる3人だけが移動すればよかったのかもしれないが、それだと空き教室の机や椅子などにイカサマが解かされている可能性があったので、皆がいつも利用している教室を使用したほうがいいのであろう。


 空き教室には、既に映像が浮かび上がっていた。いつの間にかカメラが設置されていたのだろうか。


 カメラは1カメ2カメ3カメの3つがあり、それぞれ座った人物の顔が映るように調整されていた。


 ───そして、4回戦に『限界ババ抜き』に参加する健吾・純介・松阪マリンの3人が着席したところで、ゲームの監視を行うマスコット先生は()()()トランプを取り出した。

【補足というかなんというか】

使用されなかったカードの裏面に書かれていたゲームの名前だけ。


抽出→フルーツバスケットボール

クロマトグラフィー→クライモア・クレイモア(cry more claymore)

蒸留→○×組 (まるばつぐみ)

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雨城蝶尾様が作ってくださいました。
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― 新着の感想 ―
[良い点] 松阪マリン、再登場。 どことなく江ノ島の盾子さんを彷彿させる。 次なるゲームは『限界ババ抜き』。 これも面白そうなゲームだ!
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