5月6日 その㊱
「───ここは、どこだ?」
「四次元だ」
「ほう、四次元というのはキ◯肉マンに登場するブラックホールとペンタゴンの───」
「四次元殺法コンビの四次元ではねぇよ!いや、その四次元であってるけど!普通、ドラ◯もんのポケットの方だろ!」
「しょうがないのではないか、そっちの方が先に出てきてしまったのだから」
「普通、2010年生まれのJKがドラ◯もんより先にキ◯肉マンが出るとかありえねぇよ...」
「そんな話はどうだったいい。この四次元ってのは?」
「四次元の説明をしたほうがいいのか。ここを説明すると、三次元でもある縦横高さの他に、時間という概念も追加された場所だ」
「何に追加されたんだ?」
「すまん、抜けたな。自由に移動できるものだ」
説明しよう。
三次元は、縦と横、そして高さを自由に移動することができる。人が三次元で東奔西走でき、宇宙にロケットを放てるのはそのおかげだ。
それと同じく、4次元は縦と横と高さに加えて、時間までもを自由に移動することができるのだ。
よって、過去を遡ることも未来へ移動することも可能なのだ。
「過去や未来に行けるのはわかった。どうして、三次元に生きるはずの妾達が四次元に来れているのだ?」
「まず、四次元に来れる根本の理由ってのを説明する。それは、GMが四次元に移動できる方法を秘密裏に開発したからだ。GMは、科学者だからな」
「そうなのか...それで、どうして妾達は来れる?」
「ザッと説明するなら、この四次元はお試し版みたいなもんだ。最近の言葉で言うなら...ホログラムみたいな感じかな」
「───要するに、2次元を3次元のように見せる技術があるから、3次元を4次元に現すことができる───みたいなものか?」
「大体そんな感じだ」
「随分と興味深いではないか。それで、しっかり三次元に戻れるのか?」
「当たり前だ。ホログラムだって消えたり付けたりできるだろ?それと一緒で、四次元から三次元に戻るのは簡単なんだよ」
「ほう、そうだったのか...」
───と、愛香と靫蔓はそんな話をしながらマスコット先生の元へ向かった。
そして、5分ほど散策して見つけた。マスコット先生であった。
「おい、マスコット。学校外で出会うのは久しぶり初めてか?」
「あら、森愛香さん。ここは、普通来れないはずですよ───なーんて、知らないふりはしません。靫蔓さんと一緒に、私と勝負しに来たんですよね?」
「見ればわかるだろう。それとも、貴様には妾と靫蔓が四次元デートしているように見えるのか?それならば、貴様の目は腐っているから早く目以外も腐らせた方がいい。直訳するなら、くたばれ───だ」
「そうだよ。俺だってこんな我儘女とデートなんかしたくねぇ。それに、コイツには惚れた男がいるんだと───って、痛ぇ!お前、足踏むな───って、痛い痛い痛い!つま先をグリグリしないで!言わない、言わないから!」
「わかりますよ、森愛香さん。池本栄君のことが好き───」
「ふんっ!」
「ごへぁ」
靫蔓は愛香に右足でつま先を踏まれて、マスコットは愛香に履いていた靴を顔面にぶつけられた。
「貴様ら、妾のことを怒らせない方がいい。死期が早まるぞ」
「私は初日にあなたに1回殺されているんですけどね...」
「───んで、人のことを茶化すのも戯言も戯言も終わりだ。マスコット、覚悟しろよ?」
「貴様をボコボコにしてから、妾の両親のことを洗いざらい聴いてやる。覚悟しやがれ」
「愛しい生徒達に暴力なんか振るえませんよ...でもまぁ、背に腹は代えられないですね。教育として、拳を震わせて頂きます」
───こうして、愛香と靫蔓vsマスコット先生の戦いは開幕した。
「容赦しねぇぜ、マスコット」
直後、靫蔓がマスコット先生との5mほどの距離をダッシュで一気に詰め寄った。そして、マスコット先生へ膝蹴りをお見舞させる。
「───ッ!」
そして、マスコット先生の付けていた被り物が取れた。そこにいたのは───
「んなっ!お前は!」
被り物が取れたマスコット先生のその顔は、4月1日に愛香がノコギリで殺害したマスコット先生と同じ顔だった。髪は黒く、鼻は少し低め。耳は普通くらいの大きさのイケメン。
「初日殺したはず!なのに、どうして!」
「簡単な話ですよ。生き返ったんです」
「だからって、同じ顔にはならないだろ!」
「はぁ...完全にこの四次元を理解している訳ではないんですね。ですが、まぁいいでしょう。本来なら、理解してもらうものでもございませんし」
「まぁ、いい。生き返るってなら、いくら殺したっていいということだろう?ならば、尚更笑わは容赦はしない!」
そして、愛香も靫蔓に続いてマスコット先生に接近する。
「アナタも飛び膝蹴りですか?」
「な訳あるわけ!このたわけ!」
直後、森愛香がマスコット先生の腹に放つドロップキック。
───と、愛香と靫蔓vsマスコット先生の戦闘は、この程度で記載を終わりにしておこう。
どうせ、この勝負の勝敗は明日にはわかっているのだから。
5月6日、これにて終了!
閑話を挟んで、5月7日へ!