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5月6日 その⑪

 

 第4ゲーム『分離戦択(ぶんりせんたく)』の1回戦『リバーシブル・サッカー』を勝利で終えた俺達。

 試合終了直後、梨花が拓人に告白してめでたく付き合うことになった。


 まだ諸問題は残っているのかもしれないが、初っ端から勝利できたし告白も成功して雰囲気も上々なのでいい雰囲気で次のゲームをプレイできるだろう。


「それじゃ、2回戦の準備だ!」

 そう声を張り上げるのは、生徒会側のリーダーでもある靫蔓(うつぼかずら)であった。


「ゲーム───より先に、誰が出るか決めてくれ!」

 第4ゲームに参加することが決定している8人───安倍健吾・中村康太・西村誠・西森純介・細田歌穂・睦月奈緒・山田稜は第1ゲームの観覧席として用意されていたパイプ椅子を丸い形にして集合する。


 1回戦に参加した鈴華と拓人の2人は、梨花となんか話しているので会議に抜かした。

 2人共もう出てしまったから、これ以降試合に出る権利はないだろうし。


「先に1勝してる俺達が、今は断然有利だ。だから、できればここでもう1勝掴みたいと思ってるし、なんなら今日で第4ゲームを終わらせたいとも思ってるよ」

「オレもそれには同感」

「俺もだ。智恵さんの安全面も考慮しないとならないしね」

「それで、第2ゲームは誰がでるの?」


 純介が投げかける疑問。



「───俺が出る」

 俺は、純介の疑問にそう答えた。


「今日で決着を付けるためには、今日でなんとかする必要がある。なら、より勝ちやすい4人を試合に出したほうがいいとは思わないか?」

「それは...そうね」

「ボクもその考えには同感だよ」


「んで、栄の勝ちやすい4人って誰のことなんだ?」


 勝ちやすい4人。その例として、俺があげたのは───


「誠・康太・稜。そして、俺だ」

「───ほう」


「僕達は入らなかったか...」

「純介、ごめんね。純介のことはもちろん信用してるし仲間だと思ってるよ」

「大丈夫、わかってるよ。信用してくれてるのと勝利できるかどうかは別だもんね。僕も、デスゲームに参加しないのであればそっちの方が安全だと思ってるし」

「そうか、そう言ってくれるとありがたいよ」


「───それで、どうしてこの4人なの?」

 俺に説明を求める歌穂。


「ペアとしては、俺と稜。そして、誠と康太だ。理由としては───」

「同じ寮で、協調が取りやすいから───だろ?」


「───正解だ。俺のセリフ取らないで...」

 誠にカッコつけられるところのセリフを取られてしまった。少し悔しいような気がする。


「稜が一緒ってことなら、健吾や純介でもいいんじゃないの?」

 そう問うのは康太であった。


「もちろんそうだよ。でも、俺と稜は第3ゲームでも共に行動していたしさ。そっちの方が協調性はあるのかなぁ...って考えて」

「あぁ、そういうことか」


「それとは別で、運動神経にある程度確証があるってところかな」

 俺は、そんな理由も述べた。俺だって人間だ。差別こそしないが区別はする。


 できるだけ、勝ちやすいように取捨選択をさせてもらっているのだ。


「───それじゃ、今回は栄と稜が出るってことでいいのか?」

「俺は構わないよ」

「オッケー。じゃあそうしよう」


 稜の快い返事が聞けたので、俺と稜が2回戦に出ることに決定する。







 ───と、思ったら。


「栄が出るだってぇ?んなの、駄目に決まってるだろ!主人公は最後に出るって相場が決まってるだろ?2勝してるならともかく、まだ1勝じゃねぇか!駄目駄目、栄の代わりの1人を決め直してくれ!」

 靫蔓(うつぼかずら)に、随分と理不尽な理由で断られてしまった。


 どうやら、俺はまだ試合に出れないらしい。どれだけ頼み込んでも、靫蔓(うつぼかずら)は納得してくれないだろう。


「じゃあ、待って。そっちのリーダーは靫蔓(うつぼかずら)だから、靫蔓(うつぼかずら)も2勝しないと出ないってこと?」

「残念だが、俺は主人公じゃねぇ。だから、俺は好きな時に出るぜ」

「んな、不平等だ」


 俺が抗議しても、ギロリと睨まれるだけだった。しょうがないので、俺の代わりになってくれる人物を決める必要があった。靫蔓(うつぼかずら)の言い分的に考えると、稜はもう出なきゃならないみたいだし。


「───で、俺の代わりはどうする?健吾か純介のどっちか、お願いできる?」

「僕は...」

「え、オレは...」


 2人が、お互いに顔を見合わせる。すると───


「全く、男子のくせにナヨナヨしてて恥ずかしくないわけ?アタシが行くわよ、アタシが」

 そう言って、自ら志願したのは歌穂だった。彼女は、持ち前の白髪を揺らしながら前に出る。


「勝てば文句はないでしょう?なら、勝つわよ」

 歌穂はそう言った。俺も、歌穂の強さは認めているし彼女に任せてもいいだろう。


「それじゃ、歌穂。任せたよ」

「任されたわ。稜君だっけ?」

「稜でいいよ」

「わかったわ。じゃあ、稜。アタシの足を引っ張ったら可愛い悲鳴を効かせてもらうからね?」

「おー怖。これは失敗できませんわ」


 稜と歌穂は、そう言うと靫蔓(うつぼかずら)達の方へ移動する。そう言えば、1回戦をしていた飛騨サンタマリアの姿が見えない。どこに行ったのだろうか。


 ───と、稜と歌穂はお互い見交わす。そして───


「「勝負をしよう。醜くてもいい。格好良くなくてもいい。綺麗じゃなくてもいい。可愛げがなくてもいい。何一つ飾らない、剥き出しの魂をぶつけるような勝負を(アタシ)達としよう(ましょう)」」

 2人の声を合わせた選手宣誓。宣戦布告。意思表示。


「アタシに可愛らしい悲鳴を聴かせてくれるのはどこの誰かな?あぁ、駄目だ。悲鳴を聴けるとなると、嬉しくって悲鳴をあげてしまいそう。嬉しい悲鳴の絶叫クイーンになれるかもしれないわ」

「デスゲームってのは、あんまり乗り気じゃないけど、友達の願いってなら聞き入れてやるってのが男ってもんだよな。ま、歌穂がペアなら乗り気じゃないデスゲームを大船に乗った気持ちで行えるからノリノリで頑張れるぜ」


 敵の次鋒として前に出たのは───


神戸トウトバンダー(名乗るほどでもない。)これが俺の名前だ(適当に読んでくれ)


 一言で、2つのことを話す異様な口を持っている人物───神戸トウトバンダーであった。


 そして、彼もまたマスコット先生と同じ被り物を外す。そこにいたのは、キレイなブロンズ色の髪をもった好青年であった。

嬉しい悲鳴の使い方、歌穂は間違えています。

まぁ、説明しなくてもわかるでしょうしほんとうの意味は割愛しますが。

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雨城蝶尾様が作ってくださいました。
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