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4月1日 その⑯

高校全体地図。雑でごめん。

挿絵(By みてみん)

 

 マスコット先生が、教室を出ていってしまい俺達は啞然としていた。


 急すぎる展開が何個も何個も連続的に起こり、開いた口が塞がらないのだ。


「と、とりあえず寮に行った方がいい...んだよな?」

 健吾が、そう話しかけてくる。

「あ、うん。そうだね。純介、稜。寮行こう」

「栄、それダジャレか?」

「違う、ダジャレじゃない」


 健吾からのツッコミを、否定で返した俺は3人と寮に行こうとする。


 すると───


「えっと...栄君...だっけ?」

「え、あ。うん」

 話しかけてくれたのは、俺が一目惚れしたとも言える村田智恵さんだった。


「えっと、智恵さん?」

「あ、クラスメートだしさん付けなんてしなくていいよ」

「あ、わかった。智恵...どうかしたの?」

「いや、さっきは助けてもらったからお礼をしたいなって、思って」


「さっき?」

「あぁ、クエスチョンジェンガで赤いジェンガを引くしかなかったところを、わざと崩すっていう道を見つけてくれたから、感謝をしたいなって」

「そ...そうか」

 俺の行動で、9人の命が救われたと思うと少し誇らしくなった。


 ───って、森愛香のいるチームHはパーフェクトジェンガを達成したから8人の命だろうか。


「私達も、寮に行こっか」

「そうだね。あ、稜君たちも一緒に寮に行かない?」

 奥田美緒と菊池梨央に話しかけられる。


「ん、いいよ」

「やった」

 稜が承諾すると、梨央が小さく喜ぶ。稜の目は、ハートになっていた。

 きっと、梨央に惚れたのだろう。


「えっと...菊池さん?」

「あ、梨央でいいよ」

「えっと、わかった。梨央は、この学校のことどう思う?」

「うーん、人が死ぬところは見たくないな。さっきも、ずっと目をつぶってたよ」

「あ、オレもオレも」

 健吾が、稜と梨央が仲良く話しているところに割り込む。


「へぇ、そうなんだ。やっぱり、人が死ぬのを見るのは嫌よね。稜君はどうなの?」

「俺も、人が死ぬのは嫌だな。できれば、全員で卒業できるようになりたいよ」

「稜君って、優しいんだね」

「そ、そうかな...」

 満面の笑みの梨央に、稜は頬を赤らめながら頭の後ろをかいている。


 ここまで、沈黙を貫いていた純介にも智恵達のチーム最後の一人が話しかけに行く。


「えっと、私紬!つむって呼んでね。ええと、西森純介で名前はあってる?」

「え、あ、うん」

「じゃあ、どうしよう...ニッシかな?じゅんじゅんかな?」

「え、あ、あ、あだ名?」

「うん、そうだよ?あ、中学校とか前の高校ではなんて呼ばれてたの?」

「えっと...{おい}とか{そこの(きみ)}とか?」

「うーん...名前すら呼んでもらえてなかったのか...」

 純介の悲しい答えに、紬は頭を悩ませていた。

「じゃあ、今日から純介の名前はじゅんじゅんだ!」

「いや、純介でいいよ...」

「えぇ!じゅんじゅんの方が可愛くていいじゃーん!」


「おーい、みんな行くよ!」

 美緒が声をあげると、俺達は会話しながらついていった。


 そして、教室の外に出る。階段を下って、昇降口にまで移動した。


「寮は...門を出た外だね」

 俺の隣を歩く智恵がそう話しかけた。


「そうだね」

「どこが私の寮だろう」

 そんなことを言いながら、智恵は3つの棟に別れた寮を見比べている。


 そのまま、校門をでて目の前にあったのはチームEの寮だった。

「チームEは遅刻が少なそうだな」

「そうだね、私達はチームFだから...ここだね!」


 智恵達の寮は、校門側から見てチームEの寮の左側にあった。チームEは棟の内の真ん中で、右側はチームDだ。


「んじゃ、オレたちは向こうみたいだな」

 チームDの寮から右側に数十m離れたところにあるのが2つ目の棟。


 きっと、そこがチームA・B・Cの寮があるところだろう。

 俺達は、チームCだからそこの棟にある気がする。


 ───と、そこまで歩いていくと確かにチームCの寮があった。


「んじゃ、入ってみるか」


 ”ガチャ”


 鍵はかかっていなかった。俺たちは、玄関で靴を脱いで中に入っていく。

「これから4人で共同生活かぁ」

 純介が少し嬉しそうな感じで呟いた。


「あ、俺の荷物」

 俺達のキャリーバッグが、リビングの端にまとめて置いてあった。


「うん、いい部屋だな」

 俺達はリビングを眺める。食事するのに適したダイニングテーブルと、その周りに4つの椅子。

 大画面のテレビが置いてあり、冷暖房もしっかり完備していた。


「うん、いいな」

「少し、家の探検に行こうぜ!」

「賛成!」


 俺達は、家の中を見て回った。1階には、洗面所にバスルーム。トイレとキッチンがあった。

 バスルームにはジャグジーがついていたし、トイレは自動で便蓋が開くしトイレットペーパーは2枚重ねだった。お尻に優しいトイレットペーパー。


 キッチンは、大きな冷蔵庫に4口もあるガスコンロ。冷蔵庫の中には、炭酸飲料やオレンジジュースなどの飲み物やアイスやチョコレートなども用意されていた。


「しかもこれ、食べ放題みたいだ」

 健吾が、冷蔵庫の内側の壁に貼ってあったメモを読んでいる。


「なんて書いてある?」

「えっと...食べた分だけ補充されます。だって」

「なんだよ、それ...すげぇな」


 そのまま、俺達は2階の探索も進めた。


 2階には、それぞれの個室があった。部屋の入口のプレートにはまだ名前が書いていなかったので、それぞれで話し合って個室の場所を決めた。


 階段のすぐ右側が健吾。健吾の部屋の隣が純介。廊下を挟んで、健吾の部屋の前が俺 (栄)で、俺の隣が稜だ。

 階段の左側には、7畳の和室もあった。


「すげぇな、この寮」

 デスゲームだけど、その分寮の待遇はいいみたいだ。


 俺たちは、自分の荷物を部屋に持って行ったあとリビングに再集合した。


 ***


 一方、こちらはチームF。奥田美緒・菊池梨央・斉藤紬・村田智恵の4人の寮だ。

 部屋の作りはどこも一緒だが、女子のいるチームには生理用品なども支給されている。


「いい寮だねぇ...」

「そうだねぇ」

 押入れの中から見つけた巨大ビーズソファの上でゆったりしながら、4人はリビングでダラダラと過ごしていた。


「にしても、クエスチョンジェンガは危なかったね」

 美緒がそんな会話を始める。


「全く、智恵がパーフェクトジェンガできないようにしたからビックリしたよ」

「えへへ...でも、栄君の発想で助けてもらったし...」

「今度からは気をつけてよ?ミスは許されないんだから。もう」

「ごめんなさーい」


 そんな会話が繰り広げられる。


 ***


 チームFのクエスチョンジェンガを見に行こう。

クエスチョンジェンガ、連続せずチームを探求しようと思ったときに書くことにしました。

読者もキャラを理解することもできるし。作者も書くのは楽───ではないな。


難点は、話が進まないことですね。でも、それもまた風流(違う)

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雨城蝶尾様が作ってくださいました。
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― 新着の感想 ―
[一言] ちゃんと“トイレットペーパーは二枚重ね”ですね。 こだわりを感じます。
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