表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

194/746

5月6日 その④

第4ゲーム『分離戦択(ぶんりせんたく)』のルール

1.チームは生徒会側・挑戦者側の2つに分かれる。

2.生徒会側は5人・挑戦者側10人の参加者とする。

3.ゲームは最大で5ゲーム行うこととする。

4.1ゲームにつき生徒会側が1人、挑戦者側が2人出場する。

5.有事でゲームに参加できなかった場合、補欠として新たな参加者を用意する。

6.先に3勝したチームの勝ち。

7.ゲームの内容は、ゲーム開始前に挑戦者側が指定する。

8.負けたチームは全員死亡する。

9.挑戦者側が勝利したら、参加者に5万コインを配布する。

10.生徒会側が勝利しても、賞金に値するものはない。

11.挑戦者側が敗北したら人質も死亡する。

 

 靫蔓(うつぼかずら)が、発表した第4ゲーム一回戦のゲームの名前は『リバーシブル・サッカー』であった。「リバーシブル」も「サッカー」も理解できる。でも、それを繋げると理解ができない。


(なな)」も「(ゆう)」も納得した読み方けど、「七夕(たなばた)」になると少し納得できないようなやつと同じだろうか。

 前に由来を調べてみたが、あんまし納得はしなかった。昔の人ってよくわからん。


 ───と、今大事なのは『リバーシブル・サッカー』のルールだ。


「そんじゃ『リバーシブル・サッカー』のルールを説明する」

 そう言うと、靫蔓(うつぼかずら)は白板に何かを張り出した。そこに書いてあったのは───


 第4ゲーム1回戦『リバーシブル・サッカー』のルール

 1.ゴールをコートの両端に用意し、そのどちらかにボールを入れたら、ボールを入れたチームが一点を獲得する。

 2.得点が入ったら、コートの中心に戻り、点数がはいっていない方のボールから始まる。

 3.最終的にシュートした際の点数が多かった方のチームの勝利。

 4.ボールは基本足で触れる。腕でボールを触った場合、どちらかのチームに点数が入った後に5分間ゲームの出場が停止される。

 5.試合は1R45分。


『リバーシブル・サッカー』のルールが公開される。

 ルールは普通のサッカーとほとんど同じ。だが、一番違う点はコートの両端にあるどちらのゴールにボールを入れても得点になるというところだ。


 要するに、オウンゴールが存在しないということだ。本来のサッカーなら、オウンゴールしたら相手のチームの得点になるが、『リバーシブル・サッカー』ならばオウンゴールしても自分の得点になる。


「サッカーのゲームバランスが崩壊してる...」

「ちょっと待ってくれ、これはサッカーへの冒涜か?」

 そう抗議の声を上げたのは、他の誰でもない康太であった。彼は、純粋無垢なサッカー少年であるから抗議したいのもわかる。


「サッカーへの冒涜じゃない。サッカーへの挑戦だ」

 靫蔓(うつぼかずら)はそう述べる。サッカーへの挑戦以外にも、こう言い換えることができるだろう


 ───サッカーへの革命、と。


 ゲームバランスの崩壊。それが、本来のデスゲームの姿だろう。


「拓人、大丈夫。オレはこれで問題ないよ」

「オレもだ。古典的なスポーツだが、それは逆に革新的で前衛的だ」

 拓人と鈴華は納得しているようだった。


「私も問題ない、と強がって言ってみるが、内心心臓がバクンバクンとなっていた。私は心理戦を得意としているから、サッカーなどのスポーツは苦手なのだ。負けてしまったら申し訳ない、と私は心の中で仲間に謝りながらも、1回戦に対して強気に望むことにした。」


「それじゃ、グラウンドに移動しようぜ」

 拓人の声掛けによって、俺達はグラウンドに移動する。すると───


「用意させていただきました、サッカーグラウンドです!」

 教室の窓からは見えなかったはずなのに、人工芝が敷かれたサッカーグラウンドが用意されていた。いつの間に用意していたのだろうか。


「今回はこちらのコートで行っていただきます!3人は...ユニフォームにチェンジ!」

 そう言うと、プ◯キュアみたいな感じで拓人と鈴華・飛騨サンタマリアの体が光っている。


「うわっ、なんだこれ。モゾモゾする、くすぐったい」

 どうやらくすぐったいようだった。プ◯キュア、毎週のようにくすぐったいのは少し大変そうだな。


 ───と、拓人のはともかく他2人の着替えをマジマジと見るのはやめておいたほうがいいので、俺は人工芝のコートの方を見た。


 人工芝のコートの両端には、サッカーゴールが用意されていた。これのどちらかに入れれば得点になるのであろう。


「───と、着替えが終わったようですね!」

 マスコット先生の声を聞いて、振り向くとそこにいたのはサッカーのユニフォームを着た拓人と鈴華・飛騨サンタマリアであった。もちろん、拓人達のユニフォームと飛騨サンタマリアのユニフォームは別の色だ。


「それでは、コートの真ん中に移動してください!最初は、挑戦者からのボールとなります!」

 マスコット先生が、マイクを持ってそう述べる。俺達は、人工芝の外に用意されていたパイプ椅子の上に座る。


 俺の右隣に座ったのが稜。左隣に座ったのが康太だった。

「康太は、サッカーが好きなんだっけ?」

「あぁ、そうだよ。だから、この『リバーシブル・サッカー』はあまり納得行ってない」

「どうして?どうしてって、こちらが圧倒的に有利すぎるんだよ」

「そうなのか?」


「あぁ、どっちのゴールにボールをシュートしても点が入るのなら、最初から相手のいる方向にツッコんでいくわけがない。だから、ほぼ確定で自分の後ろにあるゴールに───本来のサッカーなら自陣のゴールの方に移動していくはずなんだ。そしたら、試合はほとんどマンネリ化しちゃう。それに、こっちが2人いるなら相手の勝ち目はほとんどないはずなんだ」

「あぁ...そういうことか...」


 数で有利だから、このまま何も無ければ勝利することができる。ならば、1回戦は安寧だろうか。


「───それでは、第4ゲーム『分離戦択(ぶんりせんたく)』1回戦は『リバーシブル・サッカー』!最初で最後のラウンドを開始しようと思います!」

 マスコット先生の声がグラウンドに響く。


 ”ピー”


 笛が鳴り、試合が開始する。最初は、こっち側のボールだ。


 最初にボールに触れたのは鈴華。




 ───鈴華は、ボールを手に取るとラグビーのような体勢になり、タックルで自分の目の前にあるゴール───通常のサッカーでシュートを狙う方のゴールに突っ込んでいった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雨城蝶尾様が作ってくださいました。
hpx9a4r797mubp5h8ts3s8sdlk8_18vk_tn_go_1gqpt.gif
― 新着の感想 ―
[良い点] リバーシブル・サッカー、なかなか斬新なルールですね。 そして鈴華、そう来たか。 これはこれで有効な戦術かもしれない。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ