5月6日 その②
靫蔓から明かされた第4ゲームの名称は『分離戦択』というものであった。きっと───というか、絶対に「文理選択」とかけたものだろう。
俺は、靫蔓の言葉に耳を傾ける。
「まず、俺達が生徒会側。そして、参加者が挑戦者側と名付けることにする」
第4ゲーム『分離戦択』のルール
1.チームは生徒会側・挑戦者側の2つに別れる。
「このゲームに出場するのは、生徒会側が5人。そして、挑戦者側が10人だ」
2.生徒会側は5人・挑戦者側10人の参加者とする。
「ゲームは最大で5ゲーム行い、ゲームの形式は、生徒会側が1人、挑戦者側が2人の1vs2になるようにする」
3.ゲームは最大で5ゲーム行うこととする。
4.1ゲームにつき生徒会側が1人、挑戦者側が2人出場する。
「ゲーム開始前に大怪我や死亡などの要因で試合に出れなかった場合、6人目または11人目の新たな参加者を用意する」
5.有事でゲームに参加できなかった場合、補欠として新たな参加者を用意する。
「ゲームは最大5回行われると言ったが、ゲームに合計3回勝利すればそっちのチームの勝ちだ」
6.先に3勝したチームの勝ち。
「それと、ゲームの内容は毎回変わる。まぁ、同じゲームを5回行っても面白くないからな。スポーツ系の肉弾戦と、頭を使う頭脳戦を用意してある」
靫蔓はここまでズラズラとルールを羅列して説明している。説明に不足はないし、わからない点もない。
「ゲームの内容は、ゲーム開始前に挑戦者側が指定する。どんなゲームかはわからないようにナンバリングしてある───という感じだな。」
7.ゲームの内容は、ゲーム開始前に挑戦者側が指定する。
「質問だ。どうして、挑戦者側なんだ?」
康太が、靫蔓に質問する。
「そりゃあもちろん、俺がゲームを作ったからだ」
「───ッ!それじゃ、攻略方法を───」
「そんな訳無いだろ?俺は正々堂々勝負しに来たんだ。そうじゃねぇと、大和の弔いにはならないだろうしよ!」
第3ゲームの臨時教師の名前が廣井大和と廣井大和であったことは、もう皆に知れ渡っている。
「公平を期す為に、俺が行うゲームは、マスコット先生に制作を依頼しているから大丈夫だ。俺が仲間に攻略方法を教えているわけでもない。そこは、信用してくれ」
「だけど、それじゃあ納得できないだろ!」
「康太、落ち着け。靫蔓はそんなことをする人ではない」
康太を宥めるのは、誠であった。
「でも、誠だって靫蔓にボコボコにされたんだろ?!」
「あぁ、ボコボコにされた。だからこそ、靫蔓のことがわかる。靫蔓は、イカサマもズルも狡猾な真似もしない。だから、安心しろ」
誠は、言葉に抑揚もつけずにそう言った。
「お前は...えっと、主人公紛いのやつか。俺の信用を買ってくれたのはありがたく思うぜ」
靫蔓は誠にそう言った。主人公紛いだとかそんなことを言う。
そう言えば、俺と初めて邂逅した時───4月27日も俺を見て「主人公だと思う」だとか言っていたような気がする。
彼の言う「主人公」が漫画の主人公などと一緒なのなら、褒められたということだろう。
「そんで、ゲームの説明に話を戻すぜ?いいか?」
教室にいる半数以上がうなずく。
「えっと、ゲーム内容のところまで説明したから...次は勝敗決定後だな。負けたチームは全員が死亡する」
8.負けたチームは全員死亡する。
「挑戦者側が勝利したら、参加した10人に一律5万コインをプレゼント。俺達が───生徒会側が勝っても何もなし。もちろん、生徒会側が負けたら死亡するぜ?」
9.挑戦者側が勝利したら、参加者に5万コインを配布する。
10.生徒会側が勝利しても、賞金に値するものはない。
「───と、説明し忘れてた。挑戦者側が敗北したら、人質にした村田智恵も死亡する」
11.挑戦者側が敗北したら人質も死亡する。
説明されていた通り、智恵は完全に人質に取られていたようだった。彼女を取り戻すために、チームを集めたまでもある。連れ拐われたのが智恵じゃない他の女子だったら、俺は行動に移していなかったかもしれない。
「抱えてるのは自分の命だけじゃない...か。緊張するぜ...」
俺は、わかりきっていたことをカッコつけるようにして呟く。
「───と、まぁルールはこれくらいだな」
靫蔓はルールの説明を終わる。これは、第4ゲーム全体のルールであって5個行われるゲームの詳しいものではないようだった。
第4ゲーム『分離戦択』のルール
1.チームは生徒会側・挑戦者側の2つに分かれる。
2.生徒会側は5人・挑戦者側10人の参加者とする。
3.ゲームは最大で5ゲーム行うこととする。
4.1ゲームにつき生徒会側が1人、挑戦者側が2人出場する。
5.有事でゲームに参加できなかった場合、補欠として新たな参加者を用意する。
6.先に3勝したチームの勝ち。
7.ゲームの内容は、ゲーム開始前に挑戦者側が指定する。
8.負けたチームは全員死亡する。
9.挑戦者側が勝利したら、参加者に5万コインを配布する。
10.生徒会側が勝利しても、賞金に値するものはない。
11.挑戦者側が敗北したら人質も死亡する。
「───それじゃ、早速第4ゲーム1回戦を始めようじゃないか。いいんだよな、先生?」
「あ、少し待ってください」
先生が、ゲームの開始に待ったをかける。まだ、し忘れていた説明が何かあったのだろうか。
「本日は、第4ゲームの1回戦から3回戦までを行います!そして、明日4回戦と5回戦を行うことにします!ですので、早ければ本日決着がつくことになりますので!」
どうやら、第4ゲームは今日と明日の2日で分けて行うようだった。
俺は、一刻も早く智恵を救ってあげたかったが、仕方あるまい。マスコット先生が決めたならそれに遵守しなければならないだろう。それこそ、逆らって智恵が殺された───なんてなったら本末転倒だし。
「そんじゃ、挑戦者側。10人はもう決まってんだろ?」
「あぁ、もちろんだ」
俺は靫蔓の問いかけに返事をする。
「そんじゃ第4ゲーム『分離戦択』の1回戦。誰を出すか選択しろ!」
───こうして、第4ゲームは幕を開くことになった。