5月5日 その⑦
「どれだけ妨害しようと、俺がそれを全て埋め合わせれば問題ないだろう?だから、仲間になってくれ!」
皇斗・愛香に断られた今、裕翔に仲間になってくれなければ非常にマズい。
こちらは、裕翔の強さを認めている。今は、敵だろうとその力が必要なんだ。
相手がマイナスだろうと、こちらは裕翔を手に入れて結果的に勝利に導く───。
「はぁぁぁぁぁぁ...お前も、物分りが悪いやつだなぁ...」
そう言って、裕翔はため息をつく。
「オレは、お前の手伝いをしたくないから、あの手この手を使って断ってんのに、結局ハッキリ言わせんじゃねぇかよ。オレは、お前のことが大嫌いで、お前の彼女を救うことなんざしたくねぇんだよ。別に、誠や康太が手伝うのは自由だし、構わねぇよ?だけど、オレはそんなことしたくねぇんだよ。わかんねぇのかなぁ...」
苛立ちを隠せていない裕翔。そして、大きなため息をつく。古文単語で表すのなら「あさまし」だろうか。
───そして、本当に俺の仲間になりたくないのだと、知る。
「どんなに頼み込んでも駄目か?」
「どんなに頼み込んでも駄目だ!」
どうやら、了承は得られないようだった。
「栄、裕翔は諦めたほうがいいんじゃないか?」
そう、声をかけてきたのは康太であった。
「裕翔がいなくても、俺と康太がついている。それに、宇佐見蒼が手伝ってくれるかも───」
「嫌だピョン」
「宇佐見蒼も無理そうだけど、俺と康太がいればなんとかなるだろう」
宇佐見蒼は、否定が早かった。まぁ、蒼の性格を鑑みて協力してくれそうな人物ではなかったし当然だろうか。
「───それで、次の人物はどうするんだ?」
今、第4ゲームの参加を表明してくれたのは池本栄と山田稜・安倍健吾・西森純介・細田歌穂・西村誠・中村康太の7人であった。
「皇斗がアドバイスくれた人が一人いるけれど...残り2人は決まってない」
「そうか」
「それじゃ、俺もなにか協力しようか?」
「いや、今回のメンバーはできるだけ自分で決めたいんだ。2枠余ってるなら、元々仲間に引き入れるつもりだった東堂真胡を入れるつもりだし」
「わかった。じゃあ、チームメンバーは栄に任せるよ」
「俺も同じだ」
「ありがとう。それじゃ、次の人のところに行ってくる!」
俺は、チームEののアジトを出て皇斗が推薦してくれた人物の元に向かう。そこは、チームAのアジトであった。
───って、待てよ?
皇斗が断ったってことは、もし俺があげた他のメンバーの全員に断られなくとも、最終的に1枠余る。それなのに、どうして皇斗は「東堂真胡の代わり」にしたのだろうか。
皇斗の腹を探るも、納得できるような答えは出てこなかった。やはり、皇斗の考えていることは何十歩も先に進み過ぎている。
───そして、俺はチームAのチャイムを押す。
「───何?」
中から、少し不快そうな訝しそうな表情で出てきたのは、梨花であった。
「ごめん、睦月奈緒を呼んでくれないかな?」
「いいけど...栄と奈緒って、接点あったの?」
「接点があったって言うか...今からできるって言うか...」
「ハッキリしないわね...でも、まぁいいわ。ちょっと待ってて」
そう言うと、梨花は玄関の扉を閉めてしまった。話すとしても、玄関だろう。
美沙は梨花の仲直りしたから、チームAに入れるようになっているが、まだ男は怖いのだろう。
「えっと、ボクに何かようかな?」
玄関から扉を開けたのは、睦月奈緒であった。176cmある俺に迫りそうな長身に、日に焼け、小麦となったキレイな肌。ボクっ娘の彼女こそが睦月奈緒であった。
「えっと、少し話をしたいんだけれど、いいかな?」
「あぁ、いいよ。栄君...かな?とは、話すのが初めてだね」
「そうだな。同級生だし、栄って呼び捨てにしてくれて構わない」
「わかった。彼女持ちに呼び方を指定するのは少し気が引けるけれど、奈緒って呼んでくれると嬉しいよ」
智恵は、他の女子の名前呼びになんとも思ってなさそうだったので、俺は紬や美緒・梨央も呼び捨てにしてしまっているが、智恵だけ特別感を出すために他の女子は名字に呼んだほうがいいのかもしれない。
「それじゃ、とりあえず俺の話を聞いてくれるか?」
「うん。なんだか、大事な予定そうだしね」
俺は、稜達・皇斗・愛香・誠達にした話を繰り返した。再三再四言うことでもないが、話の精度が上がっている。それと、奈緒には追加で皇斗からの推薦であることを伝えた。
「ボクが、森宮君からの推薦か。嬉しいには嬉しいけど、そこまでボクは凄くないんだよな...」
「そうなのか?」
「あぁ。でも、森宮君からの推薦となっちゃ、ボクも栄に手伝おうと思うよ」
「本当か?」
「うん」
「よっし!8人目!」
「ボクと栄の他に6人いるのか。どんな仲間が集まったか楽しみだな」
「それじゃ、よろしく頼むよ?」
「あぁ、任されたからには責任を持って行うよ。目指すなら勝利、だよね」
「もちろんだ」
───こうして、奈緒も味方になった。さて、残りの2人をどうしようかと考えていると───、
「おい、栄。オレも仲間に入れやがれや」
チームBの玄関の扉を蹴り開けて俺達の前に姿を現したのは、一人のスケバン───安土鈴華であった。
栄メンバー初期案
池本栄
山田稜
安倍健吾
西森純介
森宮皇斗
西村誠
中村康太
渡邊裕翔
東堂真胡
森愛香
最終メンバー
池本栄
山田稜
安倍健吾
西森純介
西村誠
細田歌穂
中村康太
睦月奈緒
安土鈴華(?)
???