4月1日 その⑫
クエスチョンジェンガのルール
1.ブロックタワーの中から、ブロックを抜き取る。
2.抜き取ったブロックは、手元に残しておく。
3.倒さずにブロックが抜き取れなくなるまで(パーフェクトジェンガ)になったら、終了。
4.質問に嘘で答えて死亡したら負け。
5.赤いジェンガを抜き取って死亡しても負け。
6.一人、負けが決まったらゲームは終了する。
7.参加拒否及び、パスすることは不可能。
「ルールを白板に書いておきましたので」
そんな、マスコット先生の言葉が耳に入る。
「俺のターンだな」
稜が、体を左右に動かしてどこのジェンガを取ろうか探している。
「あんまり、下の方ばっか取ってても危険だろ?」
「そうだな」
「んじゃ、ここらへんかな」
稜が触れたのは、下から11段目の真ん中だった。
「嫌いな食べ物?なんだろう...トマトかな?」
「へぇ、そうなんだ。ケチャップは?」
「ケチャップは、セーフなの」
「ミートソースのトマトは?」
「セーフ」
「じゃ、じゃあトマトジュースは?」
「それは、嫌いなんだよねぇ」
「トマトの好き嫌いって曖昧だよなぁ」
「うんうん」
「で、栄の番だぞ」
「あ、うん。そうだね」
俺は、見据えた結果8段目の左側を取り外した。
とったジェンガには「あなたの座右の銘は?」と書かれていた。
「座右の銘か...なんだろう...『先難後獲』かなぁ?」
意味は、難事を先にして利益を後回しにするという意味だ。 まず人のために困難なことを行って、自分の利益になることは後回しにすることだ。
「へぇ、いい心構えじゃん」
「デスゲームだからこそ、皆のことを考えて行動しないとだよな」
稜が、うなずきながらそんな事を言う。生き残りたいのは、皆一緒だ。ならば、協力していかなければならない。
「お互いを敵として見るより、仲間として見たほうがいいもんな」
そんなことを言いながら、健吾は8段目の右側を取る。
「そこ、真ん中だけだからちょっと怖くない?」
「勝負に出てみた」
「倒れたら負けるのに、よく勝負に出れるな」
「───で、なんて書いてあったの?」
「好きな動物だって。うーん...スローロリスかな?」
「特殊」
「いいだろ、別に」
「じゃ、じゃあ僕の番だね。上を軽くしてみるよ」
純介が引き抜いたのは、13段目の真ん中だった。一度、12段目の左側を抜こうともしていたが固かったようだ。
「えっと...って、今まで告白した回数?!」
純介の、少し驚いたような声が響く。
「お、嘘ついたら死ぬけどどうするんだ?」
「い...言うしかないじゃないか...」
純介が少し困っている。やはり、葛藤はあるだろう。
「──かい」
「え?聞こえないなぁ」
「3回...だよ...」
「へぇ、3回かぁ」
「やばい、今日が初対面だから冷やかしもできない」
「せめて冷やかすくらいしてくれ!」
純介のツッコミ。
「んじゃ、俺の番か」
稜は、14段目の右側を取る。上に、1段しかないから安心だ。
「───って、何この質問...虐待を受けていましたかって...」
一瞬にして、空気が重くなる。
「え、あ、答えはNOだよ?NO。虐待なんか受けてないよ?」
稜が、空気が重くなったのを察知してすぐに答えを出す。
稜は、死なない。だから、稜は虐待を受けていないのだ。
「じゃ...じゃあ、俺だな」
2周目の俺のターン。抜き取るのは、10段目の左側だ。
ジェンガブロックには「好きなゲームは?」と書かれていた。
「好きなゲームか...ファイ◯ルファン◯ジーかな」
「あ、アレか。面白いよな」
「健吾もやったことあるの?」
「いや、昔のミームで知ってるだけだ」
「あー...アイツか」
「純介はFFやってるの?」
「僕は、ドラクエ派だったから」
「お、俺もだよ」
どうやら、俺と健吾はFF派で、稜と純介はドラクエ派だったらしい。
「じゃあ、オレの番だな。そろそろ、引けるところも限られるんじゃないか?」
健吾は、2段目の左側を抜き取る。若干、ジェンガタワーが揺れた。
「うお、怖。ヒヤヒヤするわ」
「勝負にでなければいいのに...」
「んで、好きな映画か...」
健吾は、顎に手をおいて少し考える。
「ホーム・ア◯ーンかなぁ?」
「泥棒の奴?」
「そう、それ」
「シャベル殺人鬼」
「それはデマだ」
「えっと...引いていいかな?」
「あぁ、すまんすまん」
俺と健吾で、ホーム・ア◯ーンの話をしていたら待たせていたみたいだ。
「ごめん、ここ引いちゃうね!」
純介は、14段目の左を抜き取る。
「尽くしたいor尽くされたいって...」
純介には、何故か恋愛ばかりの質問が来る。
「尽くされたい...かなぁ?」
純介が少し恥ずかしそうに答える。
「んじゃ、俺の番...って、どこにしよう」
稜が9段目の目の前で手を止める。
「8段目は真ん中しかないしなぁ...」
上を刺激すると、落ちてしまいそうだ。と、なると残っているのは下。
「ここ...だな」
稜は1段目の真ん中を抜き取る。
「家族構成?えっと、父さんと母さんと猫が一匹。兄弟姉妹はいないよ」
「猫、好きなの?」
「あ、あぁ。好きだよ」
「僕も、猫は好きだよ」
「そうか。じゃあ後で写真を見せてやるよ」
「え、本当?ありがとう!」
純介と稜がそんな会話をしている中俺は迷っていた。
どこを抜き取ればいいのか。だんだん、余裕がなくなって来ている。
候補としては、3つだ。12段目の左か、3段目の真ん中。そして、4段目の左だ。
「んじゃ、俺の番だな」
12段目の左を抜き取ろうとする。
───が、固かった。
純介がさっき引こうとして固かったことを思い出す。
「まだ、ダメそうだな」
俺は、そう言って3段目の真ん中を引き抜いた。
書いてあったのは、「このクラスで付き合うとしたら誰?」だ。
「───ッ!」
「おいおい、どうしたんだよ?なんて書いてあったんだ?」
「このクラスで付き合うとしたら誰?って...」
「お、栄!教えてくれよ!誰だ?」
「え...えっと...」
俺は、健吾と稜から迫られて困惑してしまう。
「村田智恵...さんかなぁ?」
「おぉ!そうか、そうか!」
「へぇ、村田智恵さんみたいなのがタイプなんだ、ふぅん...」
「ふふふ、応援してるよ」
「お前ら、うるせぇ」
そんなこんあで、3周目も無事に終了する。
4周目健吾:7段目真ん中
質問:好きな食べ物は? 回答:寿司
4周目純介:15段目真ん中
質問:死ぬか鶏に転生するか、どちらがいい? 回答:鶏に転生
4周目稜:12段目右
質問:アレルギーはある?あるとしたら、何アレルギー? 回答:スギ花粉
───そして、俺の4周目がやってくる。
残り(1段目が下)
1段目 左・ ・右
2段目 ・真ん中・右
3段目 左・ ・右
4段目 左・真ん中・右
5段目 左・ ・右(引いたら死亡の赤色ジェンガ)
6段目 左・真ん中・
7段目 左・ ・右
8段目 ・真ん中・
9段目 左・真ん中・右
10段目 ・真ん中・右
11段目 左・ ・右
12段目 左・真ん中・
13段目 左・ ・右
14段目 ・真ん中・
15段目 左・ ・右