4月1日 その⑩
「それではぁ、寮のチーム決めを行います。丁度、一人いなくなったので36名。4名ずつのチームで9チーム作ってくださいねぇ!」
マスコット先生が、一度クラップを入れる。
「んじゃ、栄。一緒に組もうぜ」
「あぁ、いいよ」
健吾に、そう誘われる。
「なぁ、2人共!一緒に組もう!」
稜も仲間に入れて後一人だ。さて、残りの一人は皆目検討も付かないのでどうしようか。
なんて、考えていると。
「園田茉裕はいるかぁ!」
叫んだのは、健吾の前に座っていたスケバン風の女子───安土鈴華であった。
「え、あ、わ...私?」
「あぁ、そうだ。オレと同じチームになれ」
「は、はい...」
園田さんは、安土さんに睨まれていた。少し可哀想だなと、心の中で同情する。
「誰か、俺と組まない?ねぇ、ねぇ?そうだ!紬ちゃん!俺と組もうよ!」
岩田時尚に声をかけられたのは、斉藤紬だった。
「え、えっと...つむは...」
紬さんが、助けを乞うようにこちらを見てくる。だけど、ここで会話に入ってしまったら俺らの班に来ることになるだろう。失礼かもしれないが、こんなうるさいのと1年間同室で暮らすなんて勘弁だ。
「つむぎちゃん...だっけ?私達と一緒に組まない?」
助け舟を出したのは、健吾の左隣に座っていた少女───菊池梨央と、梨央の2つ前に座っていた奥田美緒だった。
「え、あ、うん。そうする!」
紬さんは、助け舟を出されて少し、嬉しそうな顔をしていた。いや、かなり嬉しそうだった。
男子と一年間同室だなんて、何をされるかわからないから恐怖この上ないだろう。
「えぇ...あ、じゃあ栄達は俺と組んでくれるよな?」
「え、えと...」
「それは...」
「あぁ、ごめんごめん。もう、オレ達は4人で組んでるんだよ」
「え、嘘。栄に健吾に稜。残りは誰だよ?」
「そこに立ってる純介だよ」
健吾が指差したのは、まだ誰とも組んでいなかった一人の少年───西森純介だった。
「そうなの?」
岩田は、西森純介君に詰め寄る。
「え、あ、うん。そ、そうだよ」
チラリと、健吾の方を見てから、そう言った。まだ、誰とも組めていなかったから利害が一致したとも言えるだろう。見た目からも、人に話しかけるのが苦手そうだったのでこれでよかっただろう。
「ちぇ、駄目だったか」
岩田は小さなため息をつく。
「んじゃ、別の人誘いに行ってこよー!」
そして、他の人のところに誘いに行った。
「すげぇ、切り替え早いな...」
「あ、あの...」
「西森...君?勝手に入れてごめんね」
「ぼ...僕で本当にいいの?」
「え?」
「チームってことは、共に行動するってことでしょ?それ...僕でいいの?岩田君よりかはマシって考え方じゃなくて、僕で正解なの?」
そう、問われてしまう。
「最適解かどうかはわからないけど、俺らに加担してくれたならノリがいいことだけはわかった。なら別に、文句はないよ」
「そうか...そう言ってくれて嬉しいよ」
「西森君もいれて、これで4人だね」
「あ、純介でいいよ」
「じゃあ、俺のことも稜って呼んでくれ」
「オレは健吾だ」
「俺、栄。よろしくな」
「う、うん。よろしく」
流れで、純介を仲間に引き込んだ。俺たちは、固まって皆がチームを組み終えるのを待っている。
「ちゃんと、4人集まってよかったねー」
「そうだね」
「智恵ちゃん、よろしくね!」
「うん、紬ちゃんも梨央ちゃんも美緒ちゃんもよろしく!」
俺達の隣に、奥田美緒・菊池梨央・斉藤紬そして、村田智恵の4人が集まってくる。
梨央と美緒の席の近くに集合することになったのだろう。
「あ、そうだ。アイスブレイクをするって言ってたけど...何するんだ?」
「さぁ?そこの4人に聞いてみる?」
「そうだね、そうしよう」
俺らが、女子4人の会話に耳を傾けていると、こちらにも話題が飛んできた。
「えっと君...名前は、なんだっけ?」
健吾に話しかけたのは、菊池梨央だった。
「オレか?オレは健吾だ」
「健吾君は、アイスブレイクって何するか知ってる?」
「さぁ?でも、ミニゲームでもするんじゃないか?」
「そうだね...協力戦かもしれないね」
「あ、協力戦だったらさ。この8人で協力し合わない?」
「お、いいな。それ」
「負けたら死ぬ───みたいな感じかもしれないし、協力する人手は多いほうがいいでしょ?」
「そうだね」
こうして、話しているとマスコット先生が2度手を叩いた。
「はぁい、それじゃ全員決まりましたねぇ!出席番号1番がいるところがチームA。その後も、出席番号が若い人がいるチームを順にチームB、チームCって付けていくぞ!」
そして、チームが決まった。
チームA 1秋元梨花、12佐倉美沙、24橋本遥、29睦月奈緒
チームB 2安土鈴華、14園田茉裕、16竹原美玲、28三橋明里
チームC 3安倍健吾、4池本栄、23西森純介、33山田稜
チームD 5岩田時尚、17橘川陽斗、18津田信夫、32森宮皇斗
チームE 6宇佐見蒼、20中村康太、22西村誠、36渡邊裕翔
チームF 7奥田美緒、9菊池梨央、11斉藤紬、30村田智恵
チームG 8柏木拓人、19東堂真胡、21成瀬蓮也、34山本慶太
チームH 10小寺真由美、26細田歌穂、31森愛香、37綿野沙紀
チームI 13杉田雷人、15田口真紀、25平塚ここあ、35結城奏汰
俺達は、チームCだった。
「では、始めましょう!アイスブレイクを!これは班で行うデスゲーム!その名も...クエスチョンジェンガ!」
マスコット先生と共に、クエスチョンジェンガが幕を開けた。
ついにデスゲームっぽくなってきた!!!