4月1日 その⑨
続く、自己紹介は出席番号25番。
立ち上がったのは、とても小柄な少女。140cm程しかない本当に小柄な少女だった。
「わたしの名前は平塚ここあです!静岡から来ました!誕生日は10月1日で、好きなものは塩辛です!1年間、お願いします!」
小柄な少女が、ちょこんと椅子に座った後、立ち上がったのは一人の少女。
白髪で、スラッとした四肢を持ち少し微笑んだ表情をしている少女だった。
「アタシの名前は細田歌穂。誕生日は3月23日で、福岡から来ました。好きな事は、虐殺動画を見ること!皆さんと一緒に、楽しいデスゲームをできることを感謝しています。ふふふ...皆さん、デスゲームを楽しみましょう。ね?」
そんな、危険な思想を持つ彼女が席に崩れ落ちるように座る。
「27番の松阪真凛は、いないから飛ばして次の人、お願いします」
「私の名前は三橋明里。誕生日は8月2日で、和歌山から来た。好きなものは、アニメ」
そう、ぶっきらぼうに自己紹介をして椅子に座る。肩甲骨の辺りまで髪を流した、あまり可愛くのない少女。
次に立ったのは、褐色肌で、髪の短いボーイッシュ女子だった。
「ボクの名前は睦月奈緒。誕生日は2月26日で、香川から来ました。運動はまぁ、得意な方だけど勉強は苦手です。好きなことは...スポーツ系全般かな。デスゲームなんかに巻き込まれちゃったけど、皆とは仲良くしたいと思っているから。よろしくお願いするよ」
褐色美女は、睦月奈緒と名乗った。2度ほど、首を回してから彼女は椅子に座った。
続いて、立ち上がったのは───
「えっと、私の名前は村田智恵です。誕生日は7月25日です。えっと、山梨から来ました!好きなものは...えっと、ケーキが好きです!勉強も運動も得意じゃないですが、頑張っていこうと思います!」
先程遅刻してやってきた、一人の美少女。俺の恋情を掻き立てる彼女。フワッとした印象を持つ彼女。
このクラスで、俺の中で1番の好みは彼女だ。
”バンッ”
机を叩く音と共に、立ち上がったのは同じく遅刻してきた少女。
「妾の名前は森愛香。貴様ら愚民に妾の記念日や来たる場所・趣味や性癖を伝える筋合いはない。ただ、愚物の貴様らは妾に酔心し、遜っていればいいのだ。妾の、逆鱗に触れないように精々気を付けるがいい。首が飛ばぬよう、努力すればいいな」
そう言い、椅子に座る。傲慢この上ない彼女は、懐に手を忍ばせ扇子を取り出し自らを仰いでいる。
「次は貴様だ。妾の声に恐れ慄いたか、もしくは惚れたか?惚れられては困るな。邪魔な男は消え去れば良い」
「残念だな、余は貴様の傲慢さに開いた口が塞がらないだけだ」
そう言って、立ち上がったのは田口真紀と謎の言語で会話をしていた少年。
彼は、男でもわかるほどにイケメンだった。
「余は東京から来た森宮皇斗だ。板垣退助が愛国社を結成した日と、誕生日は同日だ。もちろん、誕生年は違うがな。面白い趣味なんてものは、持ち合わせていない。つまらぬ男ですまないな」
そう言い、森宮皇斗は座った。高身長で、イケメンな彼の後ろに座っていたのは、山田稜だった。
「すごーく、ツンケンとした雰囲気で自己紹介しにくいんだけど、します。山田稜。17歳8月24日が誕生日で、愛知から来ました。趣味はシューティングゲームだ。1年間、よろしくお願いします」
稜も無難な挨拶を終える。
そして、一番窓側まで自己紹介の順序は回ってくる。
「僕は、山本慶太です。17歳で、誕生日は9月14日。あ、沖縄から来ました、車で。趣味は...『分解』することです。よろしく、お願いします」
スポーツ刈りにしている、その少年。タジタジしつつも、趣味は「分解」すること。アナ○イかよ、とツッコミをいれたくなったが、彼を認めるのも友達になる一歩だ。
そして立ち上がったのは、茶髪の少年。
「僕の名前は結城奏汰。結城って、名前じゃなく名字ね。誕生年は629で、岡山から来ました。趣味というか...特技は柔道?です」
その落ち着きのある少年は、自らの自己紹介を終えると席に座る。
「次はオレだな!オレの名前は渡邊裕翔!年齢は17歳だ!誕生日は12月28日で、神奈川から来た!皆、よろしく頼むぜ!」
そう言うと、彼は席に座る。黒髪で、陽キャのような彼はにこやかな笑顔で自己紹介を終えた。
最後、37番が立ち上がる。
「わ...わわ...私の名前は...綿野沙紀です...えっと、17歳で...東京から来ました。誕生日は11月28日です...お願い...します...」
その少女は、大きな熊のぬいぐるみを抱きかかえながら挨拶を行った。
この学校の顔は美女と附子の差が激しい。なので、このクラスでは中の下程度なのだが、一般の学校ならば、クラスで2・3番目くらいの顔面偏差値になるだろう。特段、太っているわけでも痩せているわけでも胸があるわけでも胸がないわけでもない。平凡な彼女が、席に座る。
「んじゃ、全員分の自己紹介が終わりましたね」
先生が、手を2度叩く。
「では、次は寮のチーム決めにしましょう。これから、1年間共に生活する仲間を決めます。いいですか?4人チームになってください。この人となら、仲良く慣れそうだなと思う人と、4人チームになってください。いいですね?」
マスコット先生が、そう説明する。続いて行われるは寮の班決めだ。
───ここでの出来事が、今後のデスゲームに多大な影響を与えることを、皆知らなかった。
急ぎ足で自己紹介を終わらせました。
もうすぐだから!皆、待っててね!