4月19日 その③
予告通り、日曜日は更新できませんでした。
体調が不良。
後、ゲームごとに章管理をする方針に変更します。
月ごとだと、ゲームが行われている最中に章が変わって、少し面倒なことに気付いたので。
『パートナーガター』を行うパートナーを決定し、全グループでペアができた。
平塚ここあ・小寺真由美の2人は、もう死んでしまっているので彼女達が所属していたチームHとチームIは、余った一人ずつがお互いにチームを組んだようだ。
「それでは、全員ペアが決まったようですね!」
1秋元梨花・12佐倉美沙
24橋本遥・29睦月奈緒
2安土鈴華・28三橋明里
14園田茉裕・16竹原美玲
3安倍健吾・23西森純介
4池本栄・33山田稜
5岩田時尚・17橘川陽斗
18津田信夫・32森宮皇斗
7奥田美緒・9菊池梨央
11斉藤紬・30村田智恵
8柏木拓人・34山本慶太
19東堂真胡・21成瀬蓮也
26細田歌穂・37綿野沙紀
15田口真紀・31森愛香
13杉田雷人・35結城奏汰
白版には、チームAから順に、ペアが貼り出される。
「では、ペアも決まったことですし早速、『パートナーガター』を初めて行きましょう!」
「───おい、そこの女」
マスコット先生が、ゲームを始めようとした時に声を上げたのは、鬼役として臨時教師となった、体中に腕を括り付けた人物。その人物が指を指したのは、チームF───智恵達がいるチームであった。
「そこの茶髪と黒髪の間のような色をしたお前だ」
「わ、ワタシ?」
臨時教師は、梨央を指差す。
「お前...手が美しい。私の作品にならないか?」
臨時教師は近付き、梨央の手を掴む。
「や、やめて!」
「キレイな手だ。箸より重い物は持ったことがないような手をしている...私が頂こうではないか」
臨時教師が、懐から刃物を取り出す。
「い、嫌!」
「やめろよ!」
臨時教師にタックルするのは、稜だった。
臨時教師は、稜に押されて地面に刃物を落とす。
「梨央に触るんじゃねぇ!嫌がってんだろう!」
「アナタに任せたのは鬼役です。私の指示に従いなさい」
「だが───」
「従え」
「───ッ!」
体をゾクリと動かすのは、臨時教師であった。まるで、神託かのように思われたマスコット先生の言葉。
「───わかりました」
「そんなに、腕が欲しいのなら『パートナーガター』で捕えればいいじゃないですか。最後まで、捕らえておけば殺すので、その時に腕は差し上げます」
「そうか、理解した」
「絶対にさせねぇ!」
稜は臨時教師に中指を立てて宣戦布告する。
「小童が。年上を敬え」
「───ッ!」
稜が、臨時教師に向けて立てた中指が、臨時教師が少し触れただけで変な方向に折れ曲がる。絶対に、そんなところで折れないと思う方向に。
「───ッ!」
稜の、悲鳴にならない悲鳴が教室中に響き渡る。稜は、骨を折られたのだ。梨央の腕がすぐに手に入らないという苛立ちから。
「全員が、私に一々宣戦布告するのも時間の無駄だ。故に、私一人が皆に向かって一斉に宣戦布告する。全員、捕まえてぶち殺してやるよ」
全員に向けて行われる宣戦布告。今回の敵は、マスコット先生ではない。臨時教師だろう。
「では、ステージに移動しますよ!」
”パチンッ”
マスコット先生の指パッチンの音がすると同時に、俺達は教室から消える。
「ここは...」
移動した先に目に映ったのは、これまでの校舎ではなく原っぱであった。
「学校じゃ、どこかの教室に入ったらもう逃げ道は窓から飛び降りるくらいしかないので、公園に移動してきました!やはり、鬼ごっこをするのは公園ですしね!」
見ず知らずの公園にやってきた。この辺りは原っぱだが、奥には木々が大量に生えているゾーンもあるし、その反対側には、パルクールなどを行えば鬼をまくことができそうな色々な人工物が置いてあるゾーンなどがある。その近くには、公園らしい遊具が置いてあったり建物があったりもする。遊具の反対側には、川もあった。
地図にしたら、ザッとこんな感じだろう。本当に、ザッと書いたんだけどね。
「逃げる場所も、自由ですがあまり遠くに行き過ぎると迷子になるかもしれませんので、気を付けてくださいね!それと、別にパートナーと共に逃げる必要は全くを持ってございませんので!」
マスコット先生はそう言うと、背中に風船を付け始めた。
「な、何をしているんですか?」
「鬼ごっこの邪魔にならないように空中に行こうと思うのです」
「風船で飛ぶって、くまの○ーさんじゃないんだから...」
俺は、思わずツッコんでしまった。
「そんな事はどうでもいいです!捕まった時の檻は中心のここにしますので!捕ったら、ここに移動するようになってますので」
マスコット先生は、そう説明した。
「4月24日になる直前まで、逃げて逃げて逃げ延びてください!5日間に渡り開幕される鬼ごっこは、今からで開始されます!」
そう、この鬼ごっこは5日間ぶっ通しで行われる長い長いものだ。体力だったり、食料をいつ食べるかだったりの問題は色々あるだろう。だが、スマホは全員持っているのでそこで注文しろということはわかっている。
「では、10分後鬼は動き始めます!それでは、皆さん逃げてください!」
マスコット先生がそう言うと同時に、檻になる場所の上空に巨大なストップウォッチが表示される。それは、
10:00
から一秒ずつ事件を狭めて09:59
09:58
09:57
と、鬼が出てくるまでの時間を刻んでいる。こうして、『パートナーガター』は幕を開けた。