表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/746

4月1日 その⑧

 

 15番の謎の言語を交えた自己紹介を、終えて次の自己紹介は16番に。


「ワタシの名前は、竹原美玲(たけはらみれい)!年齢はピチピチの17歳よ!誕生日は12月13日で、秋田から来ました!趣味は料理です!一年間、よろしくお願いします!」

 黒髪ロングのその少女。大きな二重な彼女。目には闘志のような何かが宿っている。


「そして、先生!ワタシはあなたに宣戦布告をする!ゲームの運営ごととっちめてやるんだから!」

「───ッ!」

 そんな、宣戦布告。デスゲームの漫画の主人公が行うような挑発が行われた。


「そうですか...面白いですね。その戦争、受けて立ちましょう」

 マスコット先生も、その言葉に受けて立った。


「で、気は済みましたか?次の自己紹介にしたいのですが...」

「なッ、ワタシの宣戦布告は軽く流されていいものじゃないわよ!」

「とっちめたいならとっちめてくださいよ。あなたなんかに潰されるような運営でもないので」

「クッ!覚えておきなさい!」

 そして、竹原美玲は椅子に座る。次に立ち上がったのは、一人の少年だった。


「僕の名前は、橘川陽斗(たちばながわようと)です。誕生日は8月28日で東京から来ました。趣味はアニメを見ることです」

 その少年は、これといった特徴がなかった。イケメンだとも、ブサイクだとも区別が付かない顔。

 背だって、高いほうじゃないし太ってるわけでもない。黒目黒髪のその少年の特徴があげられない。


 すぐに、橘川陽斗の自己紹介は終わる。次は───


「よろしくお願いしまぁぁぁぁぁぁす!」

 教室に、大きすぎる声が響く。その声を出したのは、橘川の後ろに座っている出席番号18番の少年だった。

「ワイの名前は津田信夫(つだのぶお)やで!誕生日は7月19日で大阪から来たんや!好きなもんは、野球や!ここで、皆になぞなぞや。火曜日と金曜日は確実にホームランが打てるで。なんでだ!」

 坊主頭の少年。その声のデカい少年は、津田信夫と名乗った。そして、唐突に披露されたなぞなぞ。


 答えは、もちろんわかっている。「カキーン」というホームランの打たれる音が、火曜と金曜だからだろう。


「なんや、皆こんな簡単ななぞなぞさえもわからへんのかいな。ほな、ワイが答えを教えたる。ホームランを打つときって、カキーンいう音がなるやろ?火曜と金曜も繋げるとカ・キーンやろ?だから、火曜日と金曜日とはホームランが打てるんや。まぁ、ワイは毎日ホームラン三昧やけど」

 教室は、沈黙に包まれる。つまらないダジャレのような一発ギャグ。


「なんや、皆。ここは笑うところやで?あー、やっぱあれよのう。関東の人とかは、皆お笑いのセンスがないからわからへんのや。だから、東京03もサンドイッチマンも面白うないのや」

 おいおい、失礼だぞ。だなんて、頭の中で突っ込むも話に入ろうとはしない。関わっても、ろくな結果にはならなそうだったから。


 津田はなぞなぞを出して満足したのか、満面の笑みで席に座る。そして、立ち上がったのは津田と同じように背が高い一人の少女───いや、少年だった。

「私の名前は東堂真胡(とうどうまこ)です。兵庫から来ました。誕生日は、4月9日です。好きな物は、テディベアです。えっと、よろしくお願いします...」

 東堂真胡と名乗った少年。でも、パッと外見を見るだけではボーイッシュな女子に見えてもおかしくはない。

 少女のような容姿をした少年。彼は、女々しいお辞儀をすると、席に座った。


 これにて、窓際から3列目の自己紹介も終える。残りは、半分だ。


「んじゃ、俺だな。俺の名前は中村康太(なかむらこうた)。京都から来たぜ。誕生日は2月20日だ。好きなもの───ってか、趣味はサッカーだな。よろしく」

 出席番号20番の黒髪の少年。彼は、皆の方へ向き、微笑んだ。

 若干ボサッとした髪を触り、そして椅子に座った。


 次に立ち上がったのは、小柄な少年だった。

「僕も、中村君と一緒で京都から来ました。誕生日は7月24日で、名前は成瀬蓮也(なるせれんや)です。趣味は...ゲームです。よろしくお願いします」

 どこか、陰鬱とした小柄な少年。その髪は、少し紫がかった色をしていた。前髪は長く、目までかかっていた。自己紹介を終えると、すぐに椅子に座ってしまった。


「俺の名前は西村誠。千葉から来た。誕生日は1月5日だ。趣味と言えるような趣味は持ち合わせていない。よろしく」

 痩せ細ったその少年は、挨拶を終えると席に座った。落ち着いた印象を持つ西村誠は自らの髪をかきあげて、一つ大きな欠伸をした。


 そして、立ち上がったのは23番の少年。

「ぼ...僕の名前は西森純介(にしもりじゅんすけ)です。栃木から、来ました。誕生日は9月15日...です。趣味は...ボカロ曲を聞くこと。よ、よろしくお願いします...」

 挨拶を行い、すぐに座ってしまう少年。その動作一つ一つに恐れや慄きなんてものが感じられた。


 そう、今俺らはデスゲームを行っている真っ最中なのだ。だから、恐れているのも仕方がないだろう。

 きっと、彼は気が弱くてビビりなのだろう。そう、捉えた。


 そして、次に立ち上がったのは一人の少女だった。

「わ...私の名前は橋本遥(はしもとはるか)です。どこから来たとか、誕生日はいつだとかは言いたくないです...趣味は...うーん、なんでしょう...」

 そのオドオドとした少女は、自らの情報を名前以外公開しなかった。自己紹介の意味があるのかわからないが、初対面の俺らが信用できてないことだけは理解できた。


 ───そうだよな。俺らは信じあっていいのか、わからないな。


 そんなことを、思ってしまう。折角、新しい学校でこれから頑張っていこうと思っていたのに。

まだ、自己紹介は続く。

早く、話を進めたいというのに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雨城蝶尾様が作ってくださいました。
hpx9a4r797mubp5h8ts3s8sdlk8_18vk_tn_go_1gqpt.gif
― 新着の感想 ―
[良い点] 津田、悪い意味での典型的な関西人。 でもこういうキャラは動かしやすそう。 自己紹介も良いけど、やっぱり早くデスゲームが見たいです!!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ