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4月10日 その⑫

 

「───え」

「は?」

「───」


 三者三様の反応を見せる。そして、思い出すのは4月5日の、杉田雷人との会話。


 {やぁ、ボンジュール。栄君。君も紙を探しに来たのかい?}

 {あぁ、そうさ...どこかにあったか?}

 {そこに一枚。でも、その紙は()()()誰のでもないと宣言できる}


 そして、その紙にはこう書いてあった。


 年齢:18 誕生日:7月25日 身長:168cm

 体重:50.7kg 血液型:O型 出身地:山梨


 年齢は18。皆より1歳年上ならば、18でもおかしくはないだろう。

「智恵、誕生日は?」

「え...誕生日?」

 俺が、智恵に誕生日を問う。ハッキリ、「年齢は?」と聞いてはいけないことはわかっていた。


「7月の...25日...だけど...」

 智恵は自信なさげに───いや、自分の誕生日なのだから自信が無かったわけではない。


 この情報の真偽が明らかになるのを恐れて躊躇いがちに答えたのであった。

 そして、7月25日は俺と杉田雷人の2人で見つけた紙と一致する。


 ───ならば、智恵は本当に18歳なのだ。


 本来ならば大学1年生であったが、いつかはわからないが、何らかの原因で留年してしまっている。


「栄...もし、これが真実ならどうする?」

「どうもしないよ。年齢が違うからって愛さない理由にはならない。俺は()()()愛してるんだ。太っても痩せても、伸びても縮んでも、姿が変わっても俺は智恵を愛するよ」

「栄...」

 智恵は自分の両頬を両手で2度叩く。


「ありがとう、栄」

 智恵はそう言った。


 誰も、この点に突っかかって来たりはしなかった。


 この情報は、智恵の「どうでもいい」情報に含まれたのだろうか。信夫の情報③「嫌いな数字は『5』だ」や森宮皇斗の情報①「8分ほどなら息を止められる」に宇佐見蒼の情報①「両親はウサギだ」などの言ってしまえば「どうでもいい」情報に含まれているのだろうか。


 言ってしまえば、このどうでもいい情報は情報公開時においての休みになっているのだ。

 その情報が真実であれ偽物であれ、そこは一種の休憩地点となっている。


 赤っ恥をかかなくてもいい時間になっているのだ。だが、智恵の情報の場合は真偽の情報の全てにおいて重い内容のために休憩地点である「どうでもいい情報」の場合もインフレが起きて「どうでもよくない情報」に変貌してしまっている可能性だって考えられる。


 ゴール地点分までの燃料が足りない飛行機を、ゴールまでひとっ飛びで飛ばすことは不可能なように、どこかで一度着陸し給油する必要がある。

 それと同じで、情報①から情報⑤までノンストップで続けてしまうと、精神が壊れてしまうので、どこかの情報1つで精神を安定させる必要があるのだ。


 そう考えると、森愛香の「どうでもいい」情報は情報④の「暗所恐怖症だ」ではなく情報①の「両親は仕事をする上で、政治家に根回ししている」になるのだろう。

 そして、俺の「どうでもいい」情報は情報②の「村田智恵に恋している」になるのだろう。


 もっとも、俺や智恵にとっては人生の最重要事項とも言えるのだが。


 智恵の「情報③」が、どうでもいい情報に分類されるのだとしたら、きっと智恵は精神が休まっていない。


「マスコット先生、少し休憩を挟みませんか?」

 智恵の精神を安定させる為に、俺はそう提案した。


「───時間稼ぎですか?」

「いや、違う。俺からの提案だ」

「却下させて頂きます。このまま、村田智恵さんに失踪されたりしてもらっちゃ困りますからね」


「じゃあ、逆だ。俺と智恵以外の全員を外に出してくれ」

「───何をするんですか?」

「密談だ」

「却下させていただきます」


「何故?不都合なことがあるのか?」

「不平等ですので」

「そっちは、生徒会を暗躍させようとしていたのにか?」

「不確実ですので」


 マスコット先生は、のらりくらりと避けていく。

 俺と智恵の密談は「不平等ですので(拒否します)」と言われ、俺が揚げ足を取るように述べた意見は「不確実ですので(悪くない)」と避けていく。


 随分と面倒だ。だが、提案を飲んで貰えないことは確かだった。

 だが、このままでは智恵が狂ってしまう可能性があるのは確かだった。


 智恵の精神衛生上、このままゲームを続けるのはよろしくないが、マスコット先生はそんな理由でゲームの終了を飲み込むような人物では無かったし、一時の休憩をも許してはくれなかった。


 もう一度「情報①」のような情報が来てしまったら智恵は本当に壊れてしまうだろう。俺ができるのは「情報②」のような情報が来るのを願うだけであった。


「マスコット先生、ゲームが終わったら一発殴らせてくれ」

「内申、下がりますよ?」

「ハッ!デスゲームに内申なんかあるのか?それこそ、()()()じゃないか?」

「───そう言われると困りますね...では、()()にするために殴るのは許可しません」

「そうかい」


 憂さ晴らしもできないようだった。言葉選びを間違えたような気がする。

「無意味な議論は終えたか?ならば、次の情報を余は聞きたいのだが」

 森宮皇斗はそう口を開いた。


「そうだピョン!栄のは時間稼ぎ、尺稼ぎだとしか思えないピョン!何か企みであるピョン?」

「智恵の精神の安定を保とうと思ってな。恋人として当然だろう?」

「イチャつきやがって...ぶん殴りたいけど、ボクがそんな事をしちゃうとイメージダウンしちゃうからできないピョン...」

「言ってる時点でもう遅いとは思うのだが...」


「私のことを心配してくれてるなら、もう大丈夫だよ。落ち着いた」

 智恵が、俺の手を握ってそう述べた。


「んじゃ、マスコット先生」

「わかりました!情報④───」


 マスコット先生は「情報④」を公開する。そして、いくら気持ちが落ち着いたとしても思い出してしまう嫌な記憶は払拭できないことを智恵は身を持って痛感することとなる。


 そう、それは「情報①」と共通する思い出したくない「元彼」との凄惨な記憶。









「───処女だ」

『スクールダウト』

情報の公開される順番 津田信夫・森宮皇斗・宇佐見蒼・森愛香・池本栄・村田智恵

現在 村田智恵 情報④の開示


スクールダウト『花浅葱編』

①愛知県在住だ

②男性だ

③血液型はO型だ

④高校生だ

⑤書き溜めを投稿している


投票数が多かった情報の真偽は後々の後書きに書いたり書かなかったり?あ、住所性別年齢血液型は投稿当時の物を正解とします。


だから、1年後に真偽を発表するとて俺が性転換してても、今俺が男だったら答えは「◯」で今俺が女だったら答えは「×」ってコト

後書きでクソどうでもいい情報を書いてしまった...

本編、割と荒れてるのに...

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雨城蝶尾様が作ってくださいました。
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