708話 捜索中
ぎっくり腰には気をつけましょう
打ち捨てられたゲートを調べる。この目標を共有しつつ素材フェスに向けて計画を立ててはや半月。グループ分けとしては50階層から55階層付近で素材を集める組と、それ以降で集める組とで分けてから潜る事となった。
祭壇への手掛かりが掴めるかもと青山やバイトも投入したし、フェリエットも獣人の視点から見たら何か違うものが感じ取れるかもと潜らせたが、フェリエットについては神志那や青山と共に40階層辺りまで足を伸ばしたが、それ以降はまたこれていない。まぁ、下位なので頑張っている方だろう。
フェリエットの戦闘映像は職に就いた獣人達への資料映像と言う事で配信されているが、比重と言う部分が中々興味深い。青山と潜る時は一歩引いて魔法主体で支援するし、逆に神志那と潜る時はメインとして前に出る。
そして3人で潜るなら遊撃として走り回る。ちょいちょいもぐもぐタイムと言うか、高カロリーバーを食ったり肉塊を取り出した焼いて食ったりと忙しいが、それでも肩を並べるパートナーとしては十分で、神志那が鑑定しながらフェリエットを見ても魔法と扱いは結構上手いそうだ。
ただ飛ばしてどうこうよりも、武器のマニキュアを全身に浴びてから襲い掛かる方がいいのか、近から中距離での行動が多い。何気に3人で潜ると魔法で空飛べるのはフェリエットだけなので、その辺りも考えているのかも。
実際神志那にしても青山にしても接近戦がメインになるし、神志那にいたってはかなり向上したものの、パワードスーツがなければ総合的な体力問題もあるのでそのスタイルなのだろう。まぁ、その神志那も中位なので回避メイン遠距離型としてバカスカ銃は撃つし、オカルトとして暴露もあるので結構エゲツナイ事をしている。
寧ろモンスター鑑定しながら攻撃しているので、一撃必殺とまではいかないものの割と綺麗にモンスターを倒せている。本人は早く最適化されたいらしいが、40階層辺りだとモンスターもさらに強くなりだすし、この前は喋るモンスターと戦ったと言っていたな。
フェリエットと神志那がタッグを組、青山が周りを倒しつつ援護と言う布陣で戦ったといい、映像を見せてもらったがフェリエットにしても神志那にしても結構ヤバかった。流石に空間攻撃は飛んできていなかったが、霧の様なモンスターが進化したのか羽虫の様にバラけたりするし、その羽虫が高速で飛びながら普通に斬り裂いてくるのでパワードスーツはスクラップにされるし、フェリエットは武器を貫かれたり尻尾を切り飛ばされたりと血が舞っていた。
最終的にはフェリエットがモンスターを水に閉じ込めて電撃を流し、磁石の様にくっついた所を神志那が双剣で切りまくると言う方法で倒していた。神志那曰く霧型のモンスターは少なかったが、体内でクリスタルをバラしたり出来るらしい。他のモンスターもそれを引き継いでいるかは分からないが、ムカデなんかの分裂する奴もいるし面倒だな・・・。
「さてと全員が全員時間を取れるわけではないですが、今回のメンバーは揃いましたね。」
「打ち捨てられたゲート・・・、鑑定して大丈夫だと思おもいます?宮藤君。」
「どうなんでしょう?そもそも自分には鑑定すると言う感覚がないですからね。それよりもひっくり返したりする方が面倒じゃありませんか?その辺りはクロエさんがするにしてもかなりモンスターは多いですし。」
「この為に私もバックアップとして来ましたからね宮藤さん。女性がクロエさんしかいないのは酌ですが、回復や負傷時の守りは任せて下さい。」
「相変わらずの夏目さんですね。なんにせよ僕と雄二に宮藤さんは橘さん達のバックアップなので、盛大に暴れさせて貰います。」
「暴れるのはいいけど卓もモンスター綺麗に倒せよ?素材フェスで放出する用でもあるんだからな?そう言えば、先行して入ってる赤峰さん達はどうなってるんです?」
「赤峰さんや兵藤さん達は54階層の次へ行くゲート付近で戦ってるみたい。そこなら最悪次がセーフスペースだから多少の安全マージンも取れるし、全員が上昇アイテムも持ってるから簡単にはくたばらないよ。」
橘がいる関係上いきなり60階層へは行けないので55階層セーフスペースからのスタートとなる。55階層へ行くまでに打ち捨てられたゲートを見かけもしたのだが、毎回ランダムに俺達が出現するから記憶を頼りにしても意味はないし、どこまでも密林の様な中層では空からの捜索も厳しい。なので打ち捨てられたゲート探しつつ、橘を更に奥に連れて行く為に60階層を目指す事となった。
なんだかんだで鑑定術師って有用なのよね・・・。流石に打ち捨てられたゲートをいきなり鑑定しろとは言わないが、仮にエネルギー注入とかで起動出来ると言われればちょっと考えてしまうし、そのゲートに祭壇なんて文字があったらもうね・・・。流石に閉門してるけど祭壇は作ったなんて言う嫌がらせはしないと思う。しかし、設計図やら理論書考えると無理難題言ってきそうなんだよな・・・。でもゲートを弄るのは嫌がるだろうし、ないとは思うんだが・・・。
「事前に情報共有しましたがカブトムシみたいな奴は空間攻撃してくる。それ以外の個体が進化しているか、或いはカブトムシの前段階ならやはり空間攻撃してくる可能性がある。私は勝手に巻き戻るので、消し飛んでも全裸で現れても気に留めない。いいですね?」
(クロエさんが全裸で現れる・・・。見るよな?)
(個人の名誉の為に言うが・・・、僕も見る。)
「肉を削られても見たかったら見てもいいですよね?駐屯地では何度も見ましたけど。」
「その娯楽に身を捧げて死んだら元も子もないないですよ夏目さん・・・。下手すると脳を持っていかれますからね?」
「脳なんて脂肪の塊ですよ。なら、胸でも尻でもおおよそ脂肪があればどうとでも。」
夏目がナチュラルに人間辞めているが、それも今更か。既にスィーパーと言う存在は人の枠には収まらない。いや、人と言うモノの常識が変わったから人なのか。仮に俺1人なら完全に人外認定されるのだろうが、夏目みたいに多少の欠損なら戻せる人も増えたしなぁ・・・。まぁ、だからこそ妻と話て巻き戻りを公表することにもしたし・・・。
「脂肪はいいですけど全損したら流石に夏目さんも死にますからね?」
そんな話をしつつ統合基地から55階層へ行き56階層へ。当たりなのか今回は待ち伏せは・・・、いたな。さっさと雄二が斬ってしまったが木の上に何体かいた。しかし、先に切ったので集まる様子も今の所ない。
「探すのは次へ向かうゲートと打ち捨てられたゲートです。当然モンスターも狩りますが、出来る限り気付かれずに狩りたいですね。木の上に行きましょう、ムカデが押し寄せても面倒だ。」
俺と宮藤、橘は木間を縫う様に飛び、卓や雄二、夏目は木の枝をアスレチックの様に渡りながら進む。流石に枝に地雷は仕掛けられていないが、箱がめり込んだりしているので回収しつつモンスターを倒す。しかし、相変わらず視認性が悪い。ミサイルはまだいいが、実弾とビームは音もなく迫って来るので気を抜けばぶち当たる。
「フェムはエコーレーダーに集中、ゲート状の物があったらすぐに知らせて下さい。」
「無駄口はいいから引き金を引く。モンスターの知らせは?」
「感知していますよ。引く前に夏目さんが狩りましたけどね。」
「卓!右の枝の上!」
「悪意の波動を正義の味方は見逃さない!そのクリスタルを頂く!」
「貫手で貫いてもクリスタルが掴めてませんね。」
「仕方ないですよクロエさん。本当はモンスターは素材じゃなくて倒すべきゴミなんですから。・・・、今は大人しいですけどパーティーが始まると思います?」
「総てのモンスターが狩れない以上、何処かでブレイクスルーするでしょう。出来ればその前に打ち捨てられたゲートを検証したいんですけどね。」




